第11話
感染って何か病気に罹ったのか。物騒すぎる称号だな。
そしてもう一つの色々フラッシュバックするってテキトーな説明。フラッシュバックはさっきの映像のことか? なんとなく中世の時代っぽい感じだったけど。でも悪魔共もいたし。よくわからん。
「大晴?」
「あ、すいません。大丈夫です! ちょっとくらっとしただけ」
さすがに今のを説明して凪さんに頭がおかしくなったと思われると耐えられないから誤魔化しとこ。
「それよりコア壊れちゃいましたね。どうなるんでしょ」
「わ、わからな——」
凪さんの言葉の途中で、ダンジョンが大きく揺れ始めた。
「お、おお? こ、これはやばいやつ?」
「や、やばそうね」
‘’なになに!?‘’
‘’なんか周り崩れていってないか?‘’
‘’やばくない!?‘’
「東京駅の名残が残ってる場所とかはもしダンジョンが消えても大丈夫そうじゃないですか?」
「確かに! そこまで急いで避難しよう! さすが冴えてるね、大晴」
ええ、そりゃ何といっても直感持ちですからね。
俺たちは急いで地下4階のエレベーターがあった場所まで戻ると、ダンジョン化していた部分が粒子となり、どんどん消えていく。
「ダンジョンが消えてく。人外魔境化してしまった場所を取り戻せる..」
凪さんは消えていくダンジョンを見ながらそんなことを囁いている。俺としては最速で成り上がれればそれでいいのでこれからもどんどん攻略していくつもりだけどな。
「凪さん、外に出ましょう? もう大丈夫そうだし」
「そうだね。あ、ちょっと待ってね」
凪さんはドローンに向いて、話し出す。
「みんな、世界初の人外魔境攻略完了だよ。次の配信は未定だけどまた見にきてね」
‘’姫! 今日も最高でした‘’
‘’普通にすごいんだけど‘’
‘’これって日本中の魔境を全部奪還出来そうじゃない?‘’
‘’『デコピン』やばい‘’
‘’『デコピン』ぱない‘’
‘’デ・コ・ピ・ン! デ・コ・ピ・ン!‘’
デコピンデコピン連呼するんじゃねーよ。
ここで配信は終了し、俺と凪さんは東京駅から脱出した。
「ふー。ちょっと疲れましたね。凪さん、俺は地元のギルド支部で魔石を換金して家に帰りますね」
「大晴、何言ってるの? 東京駅ダンジョンを攻略したんだから本部に報告に行くよ。君もついてきてくれないと」
「え? 本部って新宿でしたっけ? 支部じゃダメなんですか?」
「ダメ。さすがに事が事だから本部で報告しないと」
「なんか報酬出ますかね?」
「そりゃ出ると思うよ。人類初の快挙だからね」
「急いで行きましょう」
俺はキリッと切り替えて答える。報酬と聞いたらお伺いしなければなるまいよ。
「ふふ。大晴は現金だね」
凪さんが微笑みを向けてくる。
「そりゃ、成り上がるためにいままで努力しましたからね。評価は喜んで受け取ります」
「そういう素直なところ、すごくいいと思うよ」
凪さんポイントをゲットした。もっとポイントくれてもいいんですよ?
「さあさあ、英雄達の凱旋と行きましょう!」
「はいはい、そうだね」
俺と凪さんは歩き出す。その時、ふと上空から気配を感じ、俺は上を見上げた。
「ん?・・・何もいない? なんか気配がした気がしたんだけどな」
「大晴? 何かあった?」
「いえ、なんか空のほうに気配感じたんですけど何もいなかったのであれ? と思って」
「気のせいじゃない? 何もいないよ?」
「ですね。いきましょう」
んー。何かいたのは間違いないと思うけど今はいないし、まあいっか。
俺は気にすることをやめて、また歩き出した。
気のせいだろうか。いま前方には来る時に降りた最寄り駅があるのだが凄まじい数の人、人、人でごった返している。来た時はほとんど人なんていなかったのに。
ん? あれはマスコミじゃないか? すごい数のカメラを向けられてるんですけど。これは一躍有名人に!? ここはちょっとかっこつけて手でも上げちゃおう。
「皆さん、きました! 今、人類初の快挙を成し遂げた『重姫』、そして突如現れた超人『デコピン』のお二人が、私達の目の前に歩いて向かってきています! あ、『デコピン』さんがこちらに手を上げてくれてますね!」
おい、美人のアナウンサーさん、今なんてった? 『デコピン』さんって言ったよな?
・・・俺は凪さんの配信視聴者共を弾く事を心に決めた。
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