第10話
頭を失ったサタンはボロボロとその身を崩していき、巨大な魔石だけを残して消え去った。
『ユニーク称号を獲得しました』
ユニーク称号きたぞ。これは期待出来るのではないだろうか。
「ね、ねぇ、大晴。最後の掛け声なんだけどさ。あれは—」
「凪さん?それ以上は野暮ってもんだよ?」
「そ、そうだね。ごめんね!」
まったく。引っ張られては困りますよ?出てこなかったんだからしょうがない。サタンは倒したし、よしとしようじゃないか。それよりもさっと称号確認だ。
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サタンを討ちし者:
最強の悪魔の残滓を討伐した者が得られる称号。
怒り時、全身に赤い刺青が浮き出し、攻撃力補正。
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ちょっとかっこいいんだけど。更に強くなってしまったようだ。でも残滓っていうのがすごい気になるんだけど。
まあ、わからないことを考えてもしょうがない。さてと、このあとはどうすればいいんだろう。
「凪さん、ボスは倒したということだと思うんですけどこの後ってどうすればいいんですか?」
「そっか。大晴はダンジョン攻略初めてだもんね。このあとはこの部屋のどこかにダンジョンコアが隠されてるはずなんだよ。それを探して触れればダンジョンの入り口まで戻れるの」
なるほど。俺はボロボロになったレッドカーペットの先を見つめる・・・あそこが怪しいな。
俺は勘に従って部屋の奥に鎮座する玉座に近づき、『デコピン』を繰り出す。
ドゴン!
破壊した玉座の下から階段が現れた。すごいゲーム感に感動してしまうよ。
『スキルを習得しました』
おっと。何かスキルを覚えたんだけど!
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名前:
鈴木大晴
スキル:
デコピン
├デコピンショット
└マルチショット
直感
称号:
デコピンレジェンド
サタンを討ちし者
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さっきから勘がよく働くと思ってたら『直感』ときたか。
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直感:
自然に湧き上がる感覚や予感。
すべての判断を成功へと導く。
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これはまさにチートというやつだな。後からこんなスキルを覚えることもあるんだなぁ。成功補正はやばいスキルだと思う。
俺は凪さんに振り向き、発見を伝える。
「凪さーん。ここに下へ降りれる階段がありました!この下でしょうね」
「そうみたいだね。降りてみましょう」
俺と凪さんは階段を降りていくことにした。
階段を降りた先は2畳ほどの狭い部屋だった。狭い、圧倒的な狭さだ。
一番奥に俺と同じくらいの大きさの黒い水晶がある。これがダンジョンコアか。
ここで俺の『直感』がコアを壊せと囁きかけてくる。
「凪さん、ふと思ったんですけど、このまま脱出してもこのダンジョンのモンスターはいなくならないんですよね?」
「そうだね。沈静化するだけだよ」
「それだと結局人外魔境のままですよね?みんなここ攻略出来ないんですから」
「それはそうだけど..」
そうなんだよな。このダンジョンが無くなんないと結局ここは魔境のままだ。出来ればダンジョンを無くしてしまったほうがよいだろう。
「ちなみにこのコアを壊したらどうなるんです?」
「え? コアなんて壊せないよ? 今までたくさんの探索者が試したけど壊せなかったんだから」
ふーん。なんか壊せそうじゃない? いや、壊せる気しかしないんだけど。
俺は試しにダンジョンコアに向かって『デコピン』を構え、力を込めて指を弾いてみた。
バァン!
クリスタルがバラバラとに弾け飛ぶ。
「えぇぇ..」
「おお? いけましたね?」
粉々になったクリスタルを確認していると、突然黒い靄がコアから発生し、俺に襲いかかってきた。
「な、なんだこれ!?」
「大晴!!?」
避ける間もなく、靄が顔にまとわりつく。
ザザッ
頭の中にノイズがかかったような光景が映し出される。
それは城、そして城を守るたくさんの騎士達。
抵抗虚しく悪魔に蹂躙されていく様子。
玉座の間で対峙する王とサタン。
そこで頭のノイズが晴れて目の前にはバラバラになったクリスタルの残骸があるだけだった。
「い、いまの映像は?」
「大晴!?大丈夫!?」
凪さんが心配そうに駆け寄ってくる。ああ、そんな顔もかあいいです。
『ユニーク称号を獲得しました』
あん?
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異界感染者:
強烈な残滓が残るコアを破壊し、異界の意志に感染した。
何かきっかけがあると色々フラッシュバックする。
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・・・いやいやいや、感染はダメでしょ!
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