第29話 複雑だね。人の気持ちって。
僕は余計彼女のことを、明日香のことを意識することになってしまった。
ラブコメのテンプレメモ⑯
女子とのお互いの秘密交流。
まずい、いよいよ明日香にも関係してくるラブコメのテンプレメモが出現してしまった。このままじゃ本当に女神の思惑通りのテンプレラブコメを踏むことになってしまう。
………………。
別にそれでも良くないか?
僕はふと、そう思った。
無論、まだ僕は彼女に恋愛感情を抱いてはいない。しかし、この先もしかしたらそのような感情を抱く時があるのかもしれない。その一番有力な女性が明日香なだけだ。
それで、僕が幸せになれるのであれば、別に女神のかけた呪い、それに流されてしまってもいいのかもしれない。
考えてみれば、呪いなんて、逃れようにも逃れられないものなのではないのか?何故それに僕は逃れようとしていたのだろうか。
そうだ、自分に正直にいこう!!
*****
「あの女からはなるべく距離を置いてください」
自分に正直にいこうと自らの心の中で宣言したその夜。
女神は僕に対してそう告げた。
僕の部屋に散乱している成人向け同人誌を退けて彼女にすがりつき、
「なんでだよ……」
僕はそう彼女に訊ねた。
「なんかいやな予感がするんですよ。というかどうしたのです?珍しくそんな必死に」
「いや、何でもないけど……」
僕には正直には告げなかった。多分、今彼女は僕に向かって読心術を使ってはいない。流石の彼女でも僕が何か隠していること。そして、それは自分は知らないほうが吉だということは察することができたようだ。
正直、この心情を言語化することは難しい。僕はどうすればいいのだろうか?
「あ、ちなみに、何故貴方にそんな忠告をするかというと、彼女が悪魔の可能性があるからです」
「本当に言ってるのか?」
「はい、しかも厄介な奴、『魅惑の悪魔』いや、悪魔というより、『魔女』と言ったほうがいいですね」
魔女か………………。
*****
その後、女神は僕の部屋から出て行った。僕は我に帰って自分の部屋に散乱している成人向け同人誌を見て思わず自分に引いてしまった。
「僕……。こんな部屋で女神とあんな真剣な話してたんだな……」
僕はそれらを整理し、そのうちの一冊を手に取り、開いて、チンコをしごき始めた。
そこに描かれているおっぱいを凝視して。
そこに描かれているマ●コを凝視して……。
そして、一発。
「ふぅ……」
そして訪れる賢者タイム。
冷静になったその思考で現状について考え始めた。
さて……。
しかし、誤算であった。賢者タイムは冷静というより、頭の中真っ白に等しい。
つまりは僕はこの夜、全く持って何も考えることができなかった。
*****
翌日、僕はぼーっとした朝を迎えた。
「おはよ、宗太君♪」
僕ははっとし、振り返った。しかし、そこには誰もいない。
『魅惑の悪魔』いや、『魅惑の魔女』
明日香が本当にそうなのか定かではないが、もしそうなんだとすれば、この時の僕はもうすでに魅了されていたのであろう。
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