第24話 すれ違いの心情

 人々、主に大人、すなわち人生の先人たちは言う。「学生の間に恋愛はしておいたほうが良い」と。

 しかし、僕はその教えにピンとは来なかった。


 まず、人々の恋愛感情とは一体何なんだろう。これだけ一般的に普及している人間の欲求なのだとしたら、三大欲求の一つになるのであろう。その中でも最も当てはまっている欲求と言えば、やはり「性欲」となるのであろうか。

 人間はよく「性欲」を隠したがる生物だ。しかし、この恋愛欲という性欲と似つかわしいものに関しては人間はあまり隠さない。やはり、別物何だろうか。


 という思考を僕は昨日読んだ恋愛ライトノベルに影響を受け、激しく巡らせていた。


 しかし、そんなのんきなことを考えていたのはあの四人の中では僕だけだったようなのだ。


 辻は赤面しながら自分の気持ちを確認し、

 女神はそんなことを察し、呪いの条件確定を喜び、

 連はそれを察し、新たな男女カップルの誕生の可能性は出てき、絶望に浸った。


 つまりは、この複雑な心理の結合に僕だけ蚊帳の外であったということだ。


 そんなこと、この時の僕は知る由はなかったのであるが、なんとなく、彼らとの物理的、心理的距離は離れている感じはしていた。

 しかしながら、そんなこと、僕は気まぐれだろうと思い、気には留めていなかったのだ。

 それが後にとてもあんな面倒な心理的いざこざになるとは……。


ラブコメのテンプレメモ⑭

それぞれの心のすれ違い。


*****


 さて、話はガラッと変わるのであるが。

 僕はこの日、久々に今や河野生徒会長の独壇場である生徒会室に顔を出した。

 勿論、自発的なわけがない。呼ばれて来たのだ。


「で、会長、今日は何の用なんです?」

「お、来たか。ところでどうなった?神目川さんの生徒会勧誘については……?」

「それは前言ったじゃないですか。彼女は興味ないって」

「あくまでないだけだろう?」

「僕、そんな詳しく言いましたっけ?」


 確かに彼女は言っていた。「今はないかな」と。

 しかし、僕、彼女の言っていたことをそんな一言一句言った覚えはないのだが。なんで彼はそんなこと知っているのであろうか?


「あ、ちなみに、次回新キャラ出るから」


 河野はパソコンで作業しながらそんなことを言った。


「新キャラ?次回?」

「おいおい、今更メタ発言に分からないフリすんなよ」


 どうやらそいつは女であり、この高校に合格したのは良いものの、そのあとの春期休暇中にて交通事故に遭ってしまい、これまで入院していたようだ。

 大変なことだ。

 僕も入院は短期間であるが、経験はしていたのでその辛さは薄々理解ができる。


「しかし、なんでそんなこと、僕に教えるんですか?」

「そんなの、君の重要な呪いの義務にとても深く関係するからに決まっているじゃないか?」


 博識な生徒会長は軽々しくその口で「呪い」という非現実的なことを言った。

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