第23話 ひさしぶり登校

 入院生活一週間目。

 今まで、何の変哲もない入院生活を送っていた。やはり、つまらない。この一言である。

 しかし、そんな糞みたいな日々も今日で終わりだ。


「宗太さん、ようやくですね。抗体は手術で行いますので」

「先生……。その手術大丈夫なんですよね?生殖機能が失われたりしないですよね?」

「なんで生死の心配の前に子孫繁栄を考えるのです?とりあえず大丈夫です、私、失敗しませんので」


 少しフラグが立った気がした。しかし、それは僕の気のせいだったようで……。

 最終的な回収はされなかった。


*****


 翌日、僕は久しぶりに登校した。

 入院中には学校に行きてえと思った僕であるが、いざこの時がきてみると、とても面倒なものである。しかも、ずっとベッドで寝ていたため体の怠さが抜け切れていない。

 この登校の道中、悪魔の姿を確認することはなかった。

 やはり、あのような存在、どうも信じ切れていない。


 久しぶりの学校、梁団扇高校は超マンモス校の為、人が多い、そのため騒がしい。

 静かな病室でしばし過ごしていた僕にとってはここに存在するだけで疲労が溜まる。

 いや、それは前からもそうか。


「お、久しぶりだな、宗太」


 教室に入ると、なんか男が僕に話しかけてきた。


「お、ああ……。おう……」

「な、なんだ?その反応……」

「すまん……。お前、誰だったっけ??」

「はぁ?!お前、まじで言ってる!」


 なんか、めっちゃ驚かれた。


「連だよ!連!」

「ああ、そうか……。そんな奴いたっけ?」

「覚えてないのか……。まじで」


 連は露骨にショックを受けていた。

 ちなみに、しっかり覚えてはいる。ただのジョークというやつだ。


「それにしても、宗太、辻の様子が数日前からおかしいのであるが何かあったのか?」

「いや、特に……」


 特になかった……。わけではないのであるが、まぁ僕の持っている不完全な情報をそんな適当に大衆にさらすのは吉ではないだろう。そう思い、ここでは自分の口を塞いだ。

 しかしながら、彼の直感は結構正確のようで……。


「お前……。辻と何かあったのか?辻は俺の女だぞ?手出すなよ?」

「いつからお前のになった?」

「生まれたときから?」


 そんな連の痛々しい台詞に僕は思わず体をむしった。


*****


 昼休憩。

 いつもは拷問の時間なのだが、今日は辻からの呼び出しはかからなかった。

 というわけで女神、連と昼食をとることにした。


「昼休憩ってこんな平和だったんだ」

「いつも過激でしたからねー」

「でも、なんで授業までにはあのケガが治ってるんだ?」

「そこは、こういうギャグ小説だからさ……」


 しかし、自分で言っておきながら思う。

 この小説はギャグ小説なのだろうか?

 この小説はラブコメ小説なのだろうか?

 それとも………………。

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