第13話 中間試験対策

 女神こと神目川添付の生徒会への勧誘は「とりあえず、まあいいや」ということで生徒会長は『保留』という結論に至った。

 正直、自分としては、無駄に骨を折った感覚だ。

 そんな感じで生徒会室はもうしばらくは河野の独壇場となるのであった。


 そんな感じ事態も関係なく、高校生活の時は無情にも流れ、入学から一ヶ月の時が経過した。


 そんなある日の昼休憩。

 僕は連と女神と昼食をとっていた。もう、この三人は「いつものメンツ」というものであろうか。


「気づけば、もう中間試験の時期になってくるか……」

「おい、宗太。そんな気の落ち込むようなこと言うなよ」


 連は自分が現実逃避したいが為に、僕にそう強要した。


「まぁ、私は余裕ですけどね」


 成績優秀者様である女神はとても余裕そうな顔をしていた。


「そう言って、お前、課題は終わってるのか?」

「大丈夫ですよ。緊急の時は魔法で何とかします」


 課題を片付ける魔法とは一体何なのだ。そんなものに魔力を使って満足か?と口にもしない問いを心内でしたのはここだけの話。


中間試験までは残り二週間。そろそろ焦るべきであろうか。

そろそろ、机に向かうべきであろうか。

 しかし、女神の余裕っぷりを見てしまうと、どうも緊張感がとけてしまう。彼女を視界に入れるべきではない。


 とりあえず、少しばかりはやっておこうか。

 この勉強はテストの為ではなく、ただ、自分を安心させたいが為の勉強である。


「お前らしくない。なんで勉強なんかやっているんだ」


 僕が勉強を開始してから少しばかり経ったあと、僕が少しばかり勉強していることを連は知ると、彼はそんなことを言った。


「そろそろ、僕を現実逃避の為の道具にするのはやめてもらっていいか?」


*****


 そして、女神との二人の帰り道。


「宗太さん、らしくもなく勉強してるらしいですね」

「らしくもなくって言うなよ」

「で、どうです?テンプレラブコメ達成のために辻さんと勉強会っていうのは?家でやりましょうよ」

「それだと、僕の家が血に塗れそうなんだが?」


 僕は家で始まるかもしれない暴力事件べんきょうかいに恐怖した。流石に家でも彼女の道具にされるのは勘弁してほしい。いや、一回あったのだが。


「安全のために連も呼ぼうかな。女神と辻が参加するなら、あいつも来るだろ」

「えー。連さんが来たらテンプレラブコメが……」

「男女比2:2はラブコメでも結構見る展開じゃないか?」


 僕は上手く彼女を言いくるめようと企んだ。


「そうゆうもんですかね?」


 彼女はやはりまだ気に食わない様子だ。やはり成績優秀者。阿呆ではないか。

 しかし、この勉強会は無事参加者四人で企画された。

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