第12話 生徒会ってどうですか?

 とりあえずは帰してくれた。


 それにしても、生徒会か。そうだな、女神、成績優秀だし、コミュニケーション能力も長けている。おまけに、スタイルも良くて、容姿も可憐。ちゃんと見てみれば、彼女、結構完璧人間だったのか。


ラブコメのテンプレメモ⑪

ヒロインが学校の文句なしのマドンナ


───いや、あんな奴が学校のマドンナのわけがない……!


 ラブコメのテンプレを踏むような呪いを一応かけられている僕であるが……。

 さすがにそんなことはないだろうと、必死に自分に言い聞かせた。


*****


「ただいま」


 そう言っていつも通りに家に帰ると、リビングには薄着でくつろいでいる女神の姿があった。


「おい、女神、貴様は僕を誘ってるのか?」

「なんですかぁ?そんなわけにじゃないですかぁ。私たちはですよ!」

「お前が妹なのか?」

「……まぁ、そんなところは別に放っておけばいいじゃないですか?所詮、ですし」


 彼女はそう言うと、僕にそっぽを向けて、意識をスマホに集中を向けた。

 てか、こいつ、スマホ持ってたんだ。


「そういえば、お前、生徒会に興味ある?」

「どうしたのですか?」


 生徒会長が誘ってたから、とか言うべきか?

 というか、この学校の生徒会、基本、「選挙制」であるが、「推薦制」は大丈夫だったのか?

 僕は女神と話ながら、生徒手帳に記載されてある「生徒会役員について」の規則を確認した。


「いや、お前、成績いいし、結構、生徒会とか合いそうだと思ったからさ」


 僕は誤魔化した。


 そして、話ながら見つけた。「生徒会役員の選出について」


「生徒会役員の選出について………………生徒会長は立候補者の中から生徒会選挙による「選挙制」によって選出される。生徒会役員の選出も原則、立候補者の中から生徒会選挙による「選挙制」によって選出される。しかしながら、生徒会長と生徒会担当の職員の判断により生徒会役員(生徒会長以外)が「推薦制」によって選出されることも例外的にある」


 無駄に長い。

 しかし、やろうと思えばできるのか。

 あの生徒会の状況を見れば、この例外に適用されることは十分にあり得る。考えたか、河野。


「何です?見直したんですかぁ?」


 女神の声によって、僕の意識は生徒手帳の「学校規則事項」から女神との会話に移された。


「いや、そんなわけじゃないけど、で、どうなの?」

「うん、今はないかな」


*****


「とのことです」


 僕は彼女の意思を河野に伝えた。ちなみに、今回もちゃっかり、僕はまたこの遠い生徒会室に来てしまった。


「そうか、残念だ」

「そうですねぇ。彼女が生徒会にでも入ってくれれば……」


 そこからは口には出さなかったが、僕のこの台詞に続く言葉は……。


「女神と関わる時間が減るのに……」


 正直、アイツと関わるのは少し疲れた。

 勿論、彼女自体が面倒なのもあるが、彼女は学校でも名の知れている。ぶっちゃけ有名人だ。

 そんな光と僕が関わる時点で、何か、僕が場違いのなのではないか、と気が気でなく、疲れてしまうのだ。

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