第2話 しょーじき言って、ご都合設定。

 入学式が終わり、夜になり、皆が眠りについた頃、無論、僕も皆と同様に眠りについていた。


「宗太―。ちょっと」


 うざったい、あの声が耳に響いた。


「なんだよ。女神」


 僕の視界にはやはりあの女神が映った。

 正直、もう彼女のおっぱいも見飽きた。二話において飽きた。

 おっぱいに魅力を感じないと彼女の性格のウザさだけが残ってしまう。正直うんざりする。


「で、なんで今夜も僕、ここにいるんですか?」

「それは、夜に話したいことがあるからかなぁ……」


 ほう、何のことであろうか。


 彼女は僕に対して読心術を使うことができるようで、僕がこうやって思っていることも彼女には筒抜けだ。


「何のこと?そうね……。なんで呼んだんだっけ?」

「もう寝ていい?」

「一応寝てるんだけどね」


 そう、ここはあくまで夢の世界のようなので、一応、睡眠によって身体の疲れはとれているようなのだ。

 まぁ、精神的には結構疲れるのだが。


「てか、私、あまりテンプレラブコメとか分からないのよね……」

「じゃあ、なんでこんなことした?なんでこんなことできた?」


 正直、彼女が僕にかけた呪い『テンプレラブコメをすることになる呪い』という呪いのことについて、僕はあまり知らない。


「詳細について知りたいの?」


 彼女が僕に問いかけた。


「まぁ、そりゃ、勿論」

「あ、でもごめん、もう朝だわ」


 すると次第に、僕の視界は明るく照らされた。


*****


 また、ふざけた夢を見た。勿論、身体の疲れはとれているのであるが、どうも精神的に疲れが来ている。


「う……」


 僕はいつも通り目を覚ます。しかし、いつもと何か違った。

 

 むにゅ


「むにゅ?」


 僕の腕からそのような柔らかい感触がした。

 その正体が気になり、僕は自分の手に目を向ける。


 そこには……。あった。


 男の部屋に……。男に……。

 察しがついたであろう。

 おっぱいだ。あの女神の。


ラブコメのテンプレメモ⑤

突然のスケベ!!


 だからってなんでお前なんだよ……。

 お前はメインヒロインじゃないだろうに。


 このメモには続きがあった。


(このテンプレはメインヒロインに限らない)


*****


 僕は起きてからというもの硬直していた。


 さて、このおっぱいを堂々と触るべきか。

 それとも、頬を赤らめて、「お、おい!なにしてるんだよ!」と彼女をはねのけるか。


 幸い、今日は早く起きれたので、考える時間は十分にある。


 しかし、そんな時間、僕には必要なかった。


 自分に正直に行こう!!


「何やってるんです?」


 彼女の胸を揉みしだいた僕は彼女に冷酷な目で見られ、朝一を迎えた。


*****


「ところで、なんで女神がウチにいるの?」

「厳しく、正確に、監視するためです!」

「だから居候するんだ」

「はい!」


 自信満々で答えるなよ……。


「そんな変な目で見ないでください。このスケベ男」

「ごめんなさい……」


 やはり、やるべきではなかったか。


「でも、どうしよう……。母さん許してくれるかな?」

「大丈夫ですよ!私が何かお忘れですか!?」

「おっぱい女神だろ?」

「『おっぱい』はいらないですよ。女神様です」


 『様』は余計だろ。


「神様は運命なんか全て書き換えることが可能なのです!」

「それって、どういうことだ?」

「お母様に会ってみたら分かりますよ」


 彼女は笑顔で僕にそう言った。


 その後、僕は自室の扉に目を向けた。この先には廊下があり、そこから母のいるリビングに繋がっている。


「宗太―!そろそろ起きなさーい」


 日頃、全く気にせずに聞いているこの台詞ですら、今は胸がギョッとするほどだ。

 今日は非日常であるからだ。だからこそのこの緊張。


「添付ちゃんも!」


 僕は耳を疑った。

 ウチの家族に添付という名の者はいない。

 ふと、後ろを向くと、そこには「私!私!」とでも言いたそうな顔をした女神もとい添付の姿があった。

 その時、入学式のある瞬間を思い出した。


 そうだ、こいつの名前、添付だったっけ。


*****


「なるほど、今のところ私は西村宗太の幼馴染であり、何かと事情があって、一緒住んでいるという状態か」

「これ……。どうなってるんだ??」


 僕は朝イチに完全に混乱していた。


「これ、どういうことだよ……」


 そうして場面は朝食に飛ぶ。

 机上には日本人らしい白米やみそ汁といった朝食が並んで言った。


 僕は彼女に納豆を混ぜながらこの現状について訊ねた。

 彼女のメニューには何故か納豆がない。


「だから、私のご都合能力で色々変えたの」


 どうなってるかは分からないが、こういう『神の力』とやらにこれ以上言っても何も始まらない。


これ以上このことについて突っ込んだら、この小説がハリーポッターくらいに長くなってしまいそうだ。さすがにそんなに書く気力は俺にはないし、君たちも読む気力が湧かないだろう。たかがネット小説に。


とりあえず、僕はみそ汁をすすった。温かい。


「てか、なんでお前納豆ないの?」


 すると、母が不思議そうに言った。


「何言ってるのあんた。添付ちゃんは納豆食べないじゃない」

「え」


*****


「助かったー!私、納豆苦手だから」

「やはり、ご都合設定か」


 二人での学校での登校。勿論愉快なわけがない。


「よう、二人とも仲良しだな」


 後ろからとある男がやってきた。


「………………。お前、誰だっけ?」

「連だよ!飯野連はんのれん!なんでルビついてんだよ!」

「……。ほんとに誰でしたっけ?」


 僕は昨日の出来事を必死に思い出した。


「………………?」

「あれですよ。相棒ポジの」


 その瞬間、飯野連という人物がバッ!っとよみがえってきた。


「あ!いたいた!」

「やっぱ、覚えてなったんだな」


 そうだな、彼の名前とかすっかり綺麗に忘れてしまっていた。(作者も忘れてた)

 これは、もしかして、女神の影響か?!


「いや、別に私のせいじゃないですけど」


 普通に忘れているだけでした。

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