第1話 選ばれし者 後半

 5限の講義が終わり、斎藤教授の車で奥多摩湖に向かった。


星座を観察しながら、弦貴がらしくないないことを言っている。


「今夜は、本当に星が良く見えますね。こんなに数えきれない程の星があるのに1つも手に届かないなんて不思議だよな。」


普段はロケットと巨乳美女のことしか頭に無さそうな奴が、こんなことを言うとちょっと怖い。


「きっと、明日は季節外れの雪が降るだろうな。」


「そうだね。弦貴君がそんなこと言うんだから、雪どころか宇宙人でも降って来るんじゃないかな。」


坊主頭でガタイの良い体をした男が、ニコニコした表情で入れたてのコーヒーを持って来た。

この入れたてのコーヒーを、その場で最高に美味しく作ってくれるのは佐藤博之。

同じゼミ仲間でおっとりとした性格をしている。毎日、日光浴を楽しんでいるんじゃないかって位温かい目をした坊主頭だ。

因みに、このガタイの良い体は筋肉ではなく脂肪である。


「はい、相澤さんはカフェオレね。少し、甘めにしてあるからね。」


「あ、ありがとう」


「佐藤君の入れたカフェオレは、本当に美味しいよね。」


ニコッとした可愛らしい笑顔でカフェオレを飲んでいるのが相澤愛さんだ。


可愛すぎて一瞬ドキッとなってしまった。この笑顔まじで天使だ。


相澤さんは、このゼミ唯一の女の子で密かに秋葉原でアイドル活動をしている。この事は、ゼミのメンバーだけの秘密なのだ。


身長は小さく気が弱い様に見えるが、かなりの努力家で負けず嫌いでアイドル事務所も推しているみたいだ。


かなり可愛らしいルックスで男性にもモテモテだが、恋愛より星と動物に夢中で殆どの男は惨敗または交際しても付き合い切れず破局する事が多い。


「ほら、皆見てごらん。これが北斗七星だよ。」


斎藤教授が天体望遠鏡を調整してくれたおかげで、星が裸眼よりはっきり見えるようになった。


「凄い!!! 私、こんなにはっきり星を見れたの初めて。」


「こんなにはっきりと北斗七星が、見られるなんて思わなかったですよ。」


佐藤君と相澤さんが感動しながら星を眺めている。


「最新型の望遠鏡って事もあるけど、今日の天候やポジションが凄くいいんだ。」

「春の星座を見る時は、北の方角から見ると見つけやすくなるんだよ。」

「因みに、北斗七星は別名おおくま座と言われているんだ。」


斎藤教授が鼻高々になりながら、簡単に説明してくれている。


それから、北斗七星周辺にある星座や珍しい星座の事を教えてもらいながら、春の星座を観察した。


「教授、夏も星座見に行きましょうよ。」


「おぉーいいね。夏の大三角形を見に行こう。ちょっと遠出して野外合宿に行こうじゃないか。」


「いいですね。美味しいコーヒー豆用意して置きます。」


「私も、絶対休みを取れる様に社長を説得しなきゃ。」


「野外合宿という名の旅行になりそうですね。」


「間違いないね。」


夏合宿の話題をしながら、星座の観察を終えて帰る準備をした。


そんな中、月明かりに照らされた影が、誠司達の元に少しずつ近づいて来るのだった。





 雑談をしながら、帰る準備をしている時だった。


暗い森から人間の頭を木の根子の様な物で絡めて、それを食べながらこちらに近づいて来る。


殺気を感じたのか、佐藤君がいち早く気付く。


「皆、やばい。早く逃げよう。」


恐怖で震えながらも、大声でゼミのメンバーに知らせる。


しかし、既に遅かった。


全員で佐藤君の方に振り向くが、目の前には大量の血が周囲に飛び散っていた。


一瞬過ぎて、何が何だか分からず状況が追い付かないが、佐藤君の首から下が血まみれになっているのが分かる。


何かを食べる音が聞こえたのでそっちの方向に体を傾けると、佐藤君の頭がこの世にいる生物とは思えない怪物らしき物に食べられていた。


「んーこの脳みそは、昼間に食ったレストランの料理長より少し美味しいな。」

「ほう、自分のコーヒー喫茶を開きたかったんだな。」


弦貴と斎藤教授は、衝撃のあまり呆然と立ち尽くしている。


相澤さんは、全身震ながら倒れてしまっている。

泣きたいのに恐怖の方が勝ってしまって、声が出なくなっているのがわかる。


「急いで車に乗ろう。考えるのも泣くのもその後だ。」


誠司が声を掛けた瞬間、斎藤教授は我に返り急いで車に乗りエンジンをかけようとしている。


弦貴は、相澤さんを担いで車に乗り込む。


誠司も車に乗り込もうとした次の瞬間、車が爆発して大破した。


爆発と共に、誠司は吹き飛ばされた。


よく見てみると、怪物らしき物が車の給油口を開けていた。摩擦で火を起こして、それを給油口に投げて引火したのだろう。


弦貴は車の爆発で投げ飛ばされたが、軽い火傷と肩を打撲した程度で無事だった。


「弦貴、大丈夫か?」


「あぁ、俺は平気だけど教授と相澤さんが・・・」


弦貴の目先の方向を向くと、佐藤君と同じ様に首がはねらていた。次の瞬間、伸びる枝の様な太い腕から口が現れ、斎藤教授と相澤さんの脳が食べられてしまった。


「なんだ、この老人。めちゃくちゃ美味いな。この歳の人間でこんなに美味いのがいたんだな!!!」

「あー孫が生まれて幸せそうだな。生徒にも慕われていて、夢を一緒に追ってくれる先生って所か。」


「この女もかなり美味だな。」

「んーなになに、トップアイドルを目指していたんだな。純粋な夢を持つ奴の脳みそは、本当に美味いんだな。」

「はぁ~~~、こんなに美味い脳みそは、いつぶりだろうな。」


感動しながら美味そうに食べている姿は、悪魔その物にしか見えない。


食べ方も切り落とし方もスムーズで手慣れているようだ。きっと、自我を持った時から人を食べているに違いない。


「あーなるほどな。そこにいる人間が、影響を与えている可能性が高いな。」

「お前を食えばもっと美味い味に出会えそうだな。」


怪物らしき物が何かを思ったのか、誠司の方に向かって近づいて来る。


誠司も逃げたいが恐怖で震えて立てないでいる。


そんな中、弦貴が誠司の前に立つ。


「誠司、早く逃げろ。」

「お前は、絶対に夢を叶えろ。そのために、ずっと頑張って来たんだろ!!!」

「誠司の夢は、俺達の夢でもあるんだ。だから、絶対に生きろ!!!」


弦貴がガスボンベとチャッカマンを持って、怪物らしき物に立ち向かおうと走り出した。


誠司は手を伸ばして弦貴の服をつかもうとしたが、間に合わない。


「凄いな。俺に立ち向かって来るとはな。」


腕の様な部位から、木の根子の様な物を出して鋭い刃物に変わった。


弦貴の僅かな抵抗も空しく、首を切られてしまいそのまま頭を食べられた。


食べた瞬間、怪物らしき物が大声で叫んだ。


「うーーーーーーーーーんめぇーーーーーーーーーなぁーーーーーーーーー」

「こんなにスッキリしてとろける脳みそは初めてだな。」

「早くこいつの記憶を見なければな・・・」



「やっぱりな。ここにいる奴ら全員、お前の夢を一緒に叶えようとしていたな。特に、こいつは他の奴らより別格だな。」


弦貴が食べるれる瞬間を見てしまい、あまりのショックで泣きくずれてしまう。


数分前まで、皆で笑いながら夏合宿の予定を立てていたのが噓みたいだ。辺りを見渡したら大破した車が赤く燃え上がり、食われた所から大量の血を流しながら倒れている。

まるで、地獄絵図その物だ。


逃げたくても脚がずっと震えて言うことを聞いてくれない。仮に逃げられたとしても、一瞬で人間の首を跳ねて食べた奴だ。すぐに追いつかれて食べられるだろう。見てるだけで何も出来ない自分が情けない。


「お前、そんなに宇宙飛行士になりたいのかな?」


怪物らしき物が近づいて来て問いかけて来た。弦貴の脳みそを食べてとても興奮している様だった。


「このまま食っても究極に美味いってのは分かっているんだけど、試してみたい事があるんだよな。」



「お前の夢を壊した瞬間の絶望と痛みの声を聞いたら、もっと、もっと、もっっっっっっと、最高に美味い物になるんじゃないかなってな。」

「大丈夫だな。すぐに食べれば、鮮度は落ちず味も落ちないんだな。」


何を言っているのかさっぱり分からない。


誠司は涙を流しながら上を見上げると、余計に不気味過ぎて直視出来ない。


「お前は、一体なんなんだ?」


辛うじて出た言葉だった。他にも聞きたい事が山程あるが、悲しみと恐怖でこれ以上言葉が出なかった。


「あーそうだな。メインディッシュだから特別に教えてやるな。簡単にだけどな。」

「俺は他の星から来た宇宙人。名前はお前達の言葉に例えると、ツリーマンと言っておこうかな。」


ツリーマン? 木ってことか? そんな風に見えるものかよ。太い触手みたいな物を複雑に絡めて無理矢理その様な形をしているだけだ。口なんて至る所から出て来るし、体の一部が他の形に変形するなんて聞いたことない。一つだけ分かったとすれば、この怪物らしき物はこの世の生物で地球にいてはならないということだ。


「もう、いいかな?」


ツリーマンがボソッと、言い放った。


触手みたいな物が再び鋭い刃物に変形して、どこか切り付けられた。

本当に、一瞬の出来事だった。


嘘だと、思いたかった。眠っている方の夢なら、すぐに冷めて欲しかった。

でも、この痛みが全て物語っていた。


「うぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」


誠司の右腕は切断され右目は切り裂かれた。


今まで感じたことの無い痛みだ。眼球を切られるのがこんなに痛いなんて思わなかった・・・ そんなことより、僅か数分で友達と夢を奪われたことが何よりしんどい。


「うぃ~~~ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ~~~~~。」

「どうだな。痛いよな。苦しいよな。悲しいよな。辛いよな。怖いよな。これが本当の絶望だな。」

「そして、これが夢を壊された瞬間の叫びだな。」


ツリーマンが嬉しそうに大声で笑って叫んでいる。


もう俺は宇宙飛行士になれない。12年間追っていた夢がこんなにも簡単に壊されるなんて・・・ 本当に絶望だ。


「さぁ、早く食べないと鮮度が落ちるんだな。」


ツリーマンの声のトーンが1つ下がった。


本当に死ぬんだな。


誠司は、死を覚悟した。


首を切られそうになった、その時だった。


「待ちなさーーーいーーー!!!」


女の子の叫ぶ声が、すぐ近くから聞こえて来た。


次の瞬間、女の子の両耳が光出すと、二刀流の双剣が現れツリーマンの体を切りつけた。


ツリーマンは少し苦しそうにしながら一歩後ろに引き下がり、俺は首を切られずに済んだ。


「遅れてごめんね。ここは私に任せて。」


目の前に現れたのは、今朝のおてんば娘だった。




 あの、めちゃくちゃな奴に一撃与えただけで状況が変わった。しかも、あのスピードは人間に出せる物ではない。超人もしくはツリーマンと同じ宇宙人じゃなければ出せないだろう。


「お前、何者なんだな?」


話しながらツリーマンの傷が塞がって行く。再生能力ではなく触手みたいな物をつなぎ合わせている感じだ。


「え? 私の事を知らないの? まぁ、あんたの仲間根こそぎ葬っているから情報遅いか。」

「正義のヒーローを気取ってる、お姉さんとでも言っておこうか。」


自信満々に言い放ちながら、双剣をツリーマンに向ける。


ツリーマンの様子がさっきと違う。怒りに満ち溢れた殺気が漂って来た。


「そうなんだな。それじゃあ、責任を取ってお前が食われろよな。お前が邪魔したお陰でこの男の脳みその鮮度が落ちたんだよな。俺は、鮮度が落ちた人間の脳みそが一番嫌いなんだよなーーー。」


触手みたいな物を複数出し始めて、鋭い棘がおてんば娘に襲い掛かって来た。


おてんば娘は、美しく華麗に宙を舞いながらそれを避けた。双剣を構えて、素早く触手みたいな物を切り裂いてバラバラにした。


切り離された触手みたいな物は、地面に叩き付けられ消滅した。


花の様に舞いながら触手を切り、地面に着地する。


「あんた相当人間食べているね。一体何人食べたの?」

「昼間の高級レストランを襲ったのも、あんたとその仲間だよね?」


「さぁ、何人だろうな。腹が減ったら美味い人間の脳みそ食って寝るを繰り返しているだけだから数えてないな。昼間のは、仲間じゃなくてただの知り合いなだけなんだな。」


切り離された所から、触手みたいな物が再び生えて来た。


痛みを感じる素振りもなく、血液などの水分が全く出ていない。五感は備わっているが、痛みを感じる末梢神経などが欠けているのだろう。おそらく、人間の常識から考えると動物や昆虫っていうよりも植物に近い生物なのかのしれない。


しかし、そうなると何故水分が全く出ていないんだ。食べた人間の血液を体内に全て吸収したとしても、かなり足りないはずだ。傷の再生も早過ぎるし訳が分からない。


「ねぇ、訳が分からないって顔してるけど、私達の目の前にいるのは紛れもない悪い宇宙人なのよ。人間の科学で証明が出来るか分からない生物なんだから、常識や知識で考えても無駄よ。」

「それよりも生きて帰ることを優先にして。」


そうだ。こいつは、宇宙人なんだ。人間の常識や知識が通用するとは限らない。

おてんば娘も何者なのかどうしてツリーマンと戦えるのかも分からないけど、少なくとも人間を守ってくれているって事だけは分かる。


「俺も一応生き物って奴なんだよな。体力が無限にある訳ではないんだな。栄養を蓄えないと再生にも時間かかるから早くお前を食わせるんだな。」


ツリーマンが怒鳴り散らしながら、無数の触手みたいな物をドリルに変形させておてんば娘に襲い掛かって来た。


完全に怒りがおてんば娘に向けられたのが分かる。


おてんば娘はフッと笑いながら、その場から動こうとしない。


ドリルが目の前に来た瞬間、ツリーマンの体が爆発し触手みたいな物と共にバラバラになった。


爆発の煙と砂埃が凄すぎて周りが全く見えない。


「ふーん、この爆発でまだくたばらないんだ。」


少し驚きながらも余裕の笑みを見せる。


「ふざけんな・・・ 人間ごときが・・・ 食糧如きがこの俺に勝てると思うな!!!」


鼓膜が破れそうになる程の罵声を響かせ、触手みたいな物を再び変形させて攻撃しようとするも、再生が追い付いていない。


無理矢理、再生させて変形しようとしても思う様にいかずに歪な形になってしまう。


「無駄な足掻きはよしなよ。さっきの爆発は、私の斬撃粒子の小さい塊を膨張させて爆発させたもの。最初に切りつけた時、既に粒子があんたの中に入り込んで蓄積させていたのよ。良いタイミングでスイッチを押してドカンっと、細胞諸共吹っ飛んだってこと。ってことで、私もお腹空いてきたからそろそろあんた達の唯一の弱点である、核諸共くたばってくんない?」


戦いを終わらせようと再び双剣を構えて、ツリーマンにトドメを刺そうと走って近づいた。しかし、後ろから触手みたいな物が地面から現れ、おてんば娘の脇腹を刺してそのまま近くに投げつけた。


脇腹から大量の血が出て倒れ込んでいる。かなり傷が深そうで息をするのもやっとの事だろう。


ツリーマンは、再生仕切っていない顔で微笑んでいる。


「あぁー、暫くは元には戻らないな。こんなに追い詰められたのは、あの御方以来なんだな。」


触手みたいな物で人間に近い脚を作り、おてんば娘に近づいて殺そうとしている。


「どうすればいいんだ。この状況をどうすれば覆せばいいんだ。俺は、逃げるか殺されるのを待つことしかできないのかよ・・・」

「大切な親友や教授を目の前で殺され、助けてくれたおてんば娘にお礼も言えないでこのまま終わるのかよ・・・」


恐怖と悲しみで、心の声が小声で漏れてしまっている。


「そんなことないよ。君だけがこの状況を変えられるんだ。」


涙を流しながら目を開けると目の前には、2頭身位の大きさで可愛らしい不思議な生き物が二足歩行で立っていた。


不思議な生き物は、顔の作りは人間に近く、子犬みたいなふわふわな毛で綺麗な白い毛をしている。頭には、夜空の様に深い紺色に星型の刺繡が塗られていて耳下から垂れ下がっている星型のポンポンが付いている耳当て付きのニット帽を被っている。

顔は、数字の0みたいな黒い目をしていて、鼻は青い逆三角形、口は少し大きい。


不思議な生き物が指でシャボン玉を作ると、ある方向に飛ばした。その先には、切り離された誠司の腕があった。シャボン玉は、誠司の腕を包み込んで目の前に現れた。


「いきなりでごめんね。僕が何者なのか気になるだろうけど、今の状況がやばいから必要な事だけ言うね。」


不思議な生き物は落ち着きながらも、少し焦る様に語り出した。


「君は、星座に選ばれた星座人なんだ。君の心には、星の欠片が眠っている。その力を僕が、引き出してあげられる。」


「僕の力があれば、君の底にある力を目覚めさせる事が出来るし、この右腕と右目を元通りにすることが出来る。そして、君の願いを一つ叶えると約束するよ。でも、僕たちが戦うのは数千年以上前から数えきれない程の星々を破壊して来た『支配者』だ。それでも、戦うかい?」


唐突過ぎて何が何だか分からないけど、これ以上人が殺されるのも食べられる所も見たくない。


何より、自分に力があるのなら泣いて見ているよりも、自分から危機的な状況を変えて行きたい。


「もちろんだ。」


この不思議な生き物は悪い奴じゃない。何故だか分からないけど、嘘を付いている様に思えないし、この瞳から強い意志と優しさを感じられるから信じられる。


「君の力を貸してくれ。僕と、いや僕たちと一緒に戦って欲しい。」


不思議な生き物が手を差し伸べた。誠司は、その腕を掴んだ。


次の瞬間、眩い光が辺りを包み込みサイクロンの様な突風が吹き荒れる。


ツリーマンがおてんば娘の首を絞めて食べようとしたが、何かが触手みたいな物を貫いておてんば娘を引き離してしまった。


「なんだな、今のは。一瞬過ぎて見えなかったんだな。」


突風が吹いている事に気づき、その方向に振り向いた時だった。


眩い光の矢が、突風から放たれる。


矢は一瞬でツリーマンの体に入り込み、唯一の弱点である核に刺さった。


次の瞬間、核が破壊されツリーマンが断末魔を叫びながら消滅する。


ツリーマンが消滅したと同時に突風が吹き病んだ。


誠司は自身の体を見てみると、右腕がくっついていて痛みも無く傷も治っている。


そして、疲れが一気に出てしまったのか、そのままその場に倒れ込んでしまう。

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