目が覚めると私は白いベットの上にいた。

 真っ白な丸い円形の部屋。

 真っ白な天井。

 シャンデリア。

 白いカーテンとそれを揺らしている気持ちのいい風。

 ふと、横を見るとそこには王子様の姿がみえた。

 王子様は窓際にある白い椅子に座ってなにかの本を読んでいた。

 私はそのまましばらくの間、ただじっと本を読んでいる王子様の顔を見ていた。

 するとしばらくして王子様は私の視線に気がついてこっちを向いた。

「おはよう。お姫様。よく眠れた?」

 優しい顔で王子様は言った。

「まだ、もう少しだけ眠い」

 そう(甘えるような声で)私が言うと王子様はにっこりと笑った。

 私は白いベットの上に体を起こして、うーんと言って(猫みたいに)背伸びをした。

「私、どれくらい眠っていたの? 百年くらい?」

 と私が言うと、「そんなに時間はたっていないよ。一時間くらいかな?」と真面目な声で(いつも真面目な)王子様はそんなことを私に言った。

 とんとんと扉をノックする音が聞こえた。

「どうぞ」と王子様が言うと扉が開いてうさぎの小人のセバスチャンが顔を出した。

「王子様。お姫様。準備が整いました」とセバスチャンは言った。

「どうもありがとう。セバスチャン」王子様は言った。

「準備? 準備ってなんの準備?」

 私がそういうと、王子様は「いっしょにきて。お姫様」と私の手をとって王子様は優しい顔でそういった。(セバスチャンをみると、セバスチャンはにっこりと、戸惑う私に微笑んだ)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る