第39話 チキン野郎 王に文句を言う

「嫌だよっ!!俺より強い神が相手じゃ勝ち目が無いのは目に見えてる上に明らか様に面倒事じゃないか!!」


「何を言うか!貴殿が招いた戦争ではないか!!」


「違うわ!俺は異世界に来たくて来たんじゃないし、このチキンスーツがそんなヤバい代物なんて微塵も考えてなかったんだよ!そもそも喧嘩売ったのは朱雀であって俺じゃない!」


冗談じゃない…戦争なんて究極の時間の無駄じゃないか。馬鹿馬鹿しい上に無駄な血を流せなんてそんな事言う奴に限ってロクな奴はまず居ない。


「東海林様!陛下相手におやめ下さい!!」


「東海林殿!ジョゼフィーヌ侯爵家を没落させる気ですかっ!!口を慎んで下さい!」


「東海林…って…チキン野郎?」


「「今更!?」」


失礼だな…おい…違わないけど…


「聞いた通り…俺はチキン野郎でね。面倒事とか身に災いがくる事は避けたいんだよ」


「何故貴殿に神・ドゥーラ様は力を与えたんだ??」


「俺が聞きたいですよ。何かこいつずっと寝てるらしくて…ティナ、こいつは何で着ぐるみなんかに?」


「確かに神・ドゥーラ様は時を司る神…時間にはいつも正確だった方、そんな方が何故ダラダラとそんな姿に…?アンティラ様はご存じですか?」


「一度に言われても…知らない…レグは早寝早起きで確かに時間に正確だった…でもそれは自分の年だけ。他のメンバーの時はぐうたらだから…」


あぁ〜こいつ根は怠け者なんだな。

自分がわざわざやる必要ない時はだらけてるってか…だから起きないでチキンスーツになってんじゃないだろうな?


「つまりコイツも面倒事が嫌だから眠ってると?」


「多分…」


とんだ神様だな…神・ドゥーラ・レグホン。


「ともかく貴殿が原因なのだ!責任を取って我が国を防衛するのだ!」


「だから嫌だよっ!コイツが干支の宝を渡せば済むんだ何とかして取り出して返せば良いんだろ!ティナ取り出してくれ!」


東海林はティナにスーツを押し付ける。


「多分…無理…」


「何で!?」


「干支の宝珠は本人と同化してるから取り出せない…本人が出す意思を示すか、又は勝ち取る以外に取り出せない…」


「つまり自分で出すか殺されないと取り出せ無いのか!?」


「多分…」


あやふやだなオイ…


「ティナさんも干支の宝珠は手にした事はあるのですわよね?」


「うん…490年前にね…」


「その時はどうやって取り出したんですか?」


アンが尋ねる。


「時が来たら勝手に移った…でもレグは異世界に居た上にずっと繋がりを経っていたから…渡らなくなった…」


つまり、役目を終えたら自然に次に行くんだな、本来なら。

しかし、異世界に行ったせいで繋がりが切れて干支の宝は本来なら別の十二神に勝手に行く筈が、次が誰かさえも分からなくなる程時間が経ってしまった為に留まってしまったのだ。


要するに…


「じゃあ意味ないじゃんか!どうすんだよ!!」


「このままではシンドゥーラが戦火で滅んでしまうぞ!火種なら貴殿が何とかせんか!」


「だから嫌だよ!俺は迷い込んだだけでこの異世界の事情なんか知るかっ!!」


冗談じゃない。誰が好んで殺されに行く馬鹿なんか居ない様に戦争に行きたがり奴が居るわけないだろ令和の今はよ!

昭和天皇万歳なんて時代遅れはもう無いんだよ。


「ではどうすれば良いのだ!?」


「俺が聞きたいわ!」


「大丈夫…勝てばいい…」


は?



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