第31話 チキン野郎と神々の決定

東海林にやられたミヒラ・神・タイガーはボロボロになって神の世界へ帰還する。


「ミヒラ!?」


「貴様何があった!?」


マクラとマジラがミヒラに駆け寄る。


「不覚だ。まさか人間に我が敗北するとは…」


「人間にっ!?」


「そんな馬鹿な!?貴様は我れら十二神獣随一の怪力だ。そんな貴様が人間に負けるなんてありえないっキ!」


「いや正確には神・ドゥーラを着た人間に負けたんだ」


「神・ドゥーラを着た人間だと!?」


「まさか、その人間とは!?」


「あのチキン野郎っちゅね!」


話を聞いて奥から現れる三匹の神獣。


「ああ、クンビーラ。貴様の言う通だ」


「ちゅちゅちゅちゅ!脳筋だから負けたっちゅね!」


「ちげぇねぇや!」


「虎は頭が悪いモウ!」


クンビーラ、サンティラ、ヴァジュラは高笑い。


「貴様ら少し黙れっキ!」


「猿こそ黙れよこらっ!!」


「何だと、蛇皮の財布にされたいっキか?サンティラ!」


「上等だこらっ!テメェこそ猿酒でも含んで作っていやがれ!馬鹿猿!」


サンティラとマクラが火花を散らす。


「やめろ貴様ら!我が負けた事は事実…言われても仕方ない…」


「ミヒラ…」


「頭の硬いテメェが素直に認めるとはな…ミヒラよ、そのチキン野郎はどんな事をした?」


「よかろう。詳しく話す」


ミヒラは東海林との戦いを包み隠す事なく全て語る。


「それは誠か!?神・ドゥーラがよもやその着ぐるみに慣れ果て人間に加担してるのか?」


「ああ、オマケにアンティラの野郎まで裏切りやがったぞ!」


「何と!?あのアンティラが!?」


「ち、あの根暗兎ならやると思ったちゅ!」


クンビーラが愚痴を吐く。


「愚かなり神・ドゥーラとアンティラめ…我ら同胞を裏切るとは…」


「でも、アンティラは頭いいし、神・ドゥーラも用心深い鶏だ。何かあったんじゃない?」


「お前たち、戻って来たのか?」


話に割って入るのは、デーヴァ十二神戌の刻、チャツラ・神・ジャッカルと同じく亥の刻、ヴァイカーラ・神・ペッカリーだ。


「ヴァイカーラ…相変わらず頭が悪いっちゅね…」


「猪だからな…馬鹿に変わりないさ」


「うんうん」


「酷いな!皆んな!」


「間抜けな回答するなヴァイカーラ!」


「でもチャツラ!」


「少し黙れ。頭を整理したい」


チャツラは座り込んだ。


「ミヒラよ。その人間が神・ドゥーラを所持していると言う事は、干支の宝珠も?」


「ああ、間違いなく持っているな。現に我はそれに故に負けた…」


「やはり干支の宝珠は神・ドゥーラが持っていたっキか!」


「で、どうすんだ?チキン野郎の居場所が分かった以上ほっとけないよな?」


「そうちゅ!今こそ奪うっちゅ!」


「待て!主人は世界の秩序が先と言っていた。人間達はもう我慢の限界だ。いつ爆発し馬鹿な戦争を起こすか…」


「それを使って代理戦争を起こすと主人は言ってたじゃねーか!」


「朱雀様は過激過ぎる…他の主人達の意見が固まるまでは勝手な行動は慎めお前達!」


「マジラは青龍様と同じく青龍族故に穏健派の者だろうちゅ!」


「それは関係ない!神・ドゥーラが何故逃げたかそれを探ってから話し合いを!」


「話会いなど無意味だ!マジラ・神・ドラゴン!」


突然現れた真っ赤に燃える様な赤い火の鳥の神獣。


「朱雀様!!」


十二神獣達はひざまづく。


「主人よ、それはどう言う意味だ?」


「言葉通りだ。サンティラ・神・サーペントよ。我は秩序を保つ為に人間達に我らの代理戦争を宣言した!」






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