第30話 チキン野郎と兎の事情

「はぁ…はぁ…はぁ…」


東海林は肩で息をしていた。


「もう…無理だ…」


東海林はチキンスーツを外すと凄い汗を大量に流して倒れた。


「東海林様」


「師匠大丈夫ですか!?」


東海林に駆け寄るエミとトモエ。


「めちゃくちゃ疲れた…」


まさかこんな体力を馬鹿喰いするとは…このチキンスーツが神だって言うのは間違いないみたいだな。


「情けない…レグを着ていながら」


「人間がそもそも扱えるのか?コイツ?」


「無理…普通なら魔力も体力もからっからになる…そして…死ぬ」


「さらりと怖い事言うんじゃねーよ…」


数値があんなチートじゃな。つか人間が扱える代物じゃないのかよ。


いやいや。問題はそこじゃない!!


問題は…


「お前は…今此処で…俺を殺すか?なあ?兎さんよ」


そう、ティナだ。

ティナは十二神獣が一匹の卯年の兎だ。

当然、他の奴と同様俺を付け狙ってる筈だ。今弱りきってる東海林からチキンスーツを奪うのは容易い筈だ。


「貴女、東海林様をどうしますの!?」


「何も」


「何もって…東海林殿の命を狙って来たんでしょ。貴女は?」


「違う…」


「じゃあ何しに来たんですか!?」


「だから…レグ…を探しに来た…それだけ…」


ティナはむっとした。


「アンタとこのチキンスーツはどう言う関係なんだ?」


「レグは…私の親友…大好きな友達だった…」


ティナはそう言うとしゃがみ込む。


「友達…それだけの為に探しに来たんですか

?」


「うん…レグはある日居なくなった…奴らが来るって言うと異世界へ消えた…」


「奴ら?」


東海林は少し楽になり起き上がる。


「誰かは判らない…でも…レグは理由も無く居なくなる様な事はしない!きっと何かあった…だから消えた…」


つまりチキンスーツに成り果てる前に神なった酉年の干支こと神・ドゥーラ・レグホンは逃げなきゃならない何かを知り宝を持って逃亡しウチの高校の倉庫であんな姿になり隠れていたのか?


「理由があってこのチキンスーツは逃げて来たと…でもまた何も反応消えたな」


東海林はステータス画面を開く。


東海林勇気

レベル10

職業 チキン野郎

ステータス

攻撃力580/防御力680/魔力/760/俊敏690


レベルが上がってステータスが跳ね上がってる!?

しかし、先ほどのチート画面では無い。


「数値があの無茶苦茶なステータスじゃ無くなってる…」


「レグが一時的に目覚めて干支の宝珠が発動したからああなった…レグは多分長い事寝ていて…まだ完全には起きてないから…」


つまりチキンスーツが完全に目を覚さなきゃ力はフルに出せないとな。


色々と面倒くさそうだ。


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