第29話 チキン野郎 神をぶっ飛ばす

チキンスーツがいきなり雄叫びを上げた。

金色に輝き出したチキンスーツは宙に浮く。


「な、何だ!?」


東海林の両手の痛みが完全に消えた。

治癒されたのだ。しかし、このチキンスーツには治癒魔法なんて付与されていなかった筈だ。


東海林はステータス画面を開いてみる。


東海林勇気

職業 チキン野郎

レベル99

攻撃力/♾防御力/♾/魔力/♾/俊敏/♾


「な、何だこりゃ!?」


む、無限って…さっきまでアイツらのステータスに毛が生えたくらいの数値だった筈だ。

一体何がどうなってんだ!?


「やっぱり…レグだった…」


「お前!?」


「貴方はずっと…レグを…着てた…」


「え?着てた??」


レグを着てた…?


あれ?レグって…まさか…


「何が起きたか判らんが…戦いを再開するぞ!」


ミヒラは爪を伸ばし東海林に突きに来た。


「東海林様危ない!」


バキンと鉄の様に硬いミヒラの爪は音を立てて砕け散る。

東海林は片手でミヒラの爪を砕いたのだ。


「な!?」


「東海林様!?」


「師匠凄い!」


「あの力は一体!?」


ミヒラは信じられない顔だ。

ミヒラは剛力の十二神獣だ。パワーなら間違いなく上だ。それがこんな鶏の着ぐるみに砕かれてしまうとは。


「まさか!?その鶏の服は…貴様かっ!!神・ドゥーラっ!!」


「「「え!?」」」


「うん。レグだよ!」


「え、まさか…このチキンスーツがお前らが言ってた宝を持ち逃げした酉年の干支なのかっ!?」


マジかよ…だってコレ高校のマスコットチキンスーツだったんだぞ。


「このチキンスーツが!?冗談だろ?」


「いや、間違いない!その力は干支の宝珠の力だ。神・ドゥーラめ、まさかそんな物に成り下がっていたとはな!」


「レグは鶏のくせに…寝坊助…だからいつも遅刻してた…」


「いや雑談はいいからっ!何でその鶏がチキンスーツに成り果ててウチの学校にいたんだよ!?」


「そんなの…知らない…」


「興味もないわ」


「お前らがずっと探してたんだろ!」


こいつら干支って変な奴ばかりなのか?


「だが、神・ドゥーラだと判ればもう手加減は無しだ。貴様を倒し干支の宝珠を取り返す!」


ミヒラは尻尾をヌンチャクの姿に変え振り回しながら東海林に叩きつける。


「な、何だと!?」


東海林はヌンチャク化したミヒラの尻尾を見切り掴んでいた。


「おらよ!」


「ぐはっ!」


東海林はヌンチャク化したミヒラの尻尾を掴み上へ投げそのまま地面に叩きつけた。


「おらおらおら!」


ミヒラをそのままぐるぐるとジャイアントスイングで振り回わす。


「うわぁぁぁ!」


「飛んでいけっ!」


東海林は尻尾を離しミヒラは空の彼方へ投げ飛ばした。


「グワァァァァ!」


投げ飛ばされたミヒラは海へ叩きつけられた。






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