第28話 チキン野郎 目を覚ます

「今度は虎かよ…」


見るからに脳筋だなアレは。

見た目は巨大なな身体を持つ獣人の虎と言ったところのミヒラ・神・タイガー。


「貴様か鼠が言っていたチキン野郎とは?」


「確かにチキンではあるが」


東海林はそう言うとチキンスーツを着る。


「確かに滑稽なチキン野郎だな」


「失礼な奴だな」


「だが我は見た目には惑わされん!」


ミヒラはそう言うと両手をポキポキ鳴らし始める。


「うおぉぉ!いざ、真っ向勝負!!」


「ちょ、待て!」


ミヒラはいきなり飛びかかって来た。


東海林は飛び上がり避けたが、奴の一振りで周りの木々が一気に薙ぎ払われた。


「嘘!」


「これが虎の神の力ですか!?」


「こ、怖い」


エミ達は離れていたので喰らわなかったがこの尋常じゃない馬鹿力は恐怖でしかない。


「飛んでるからさすがに此処までは来ないよなっ…て来てるのかよっ!!」


「甘いわっ!」


ミヒラは大ジャンプして東海林の背後に居たのだ。そしてミヒラは渾身の力で東海林に拳を叩き込んだ。

東海林は両手でガードしたが、ミヒラの拳を喰らった際に嫌な音がした。

そう、まるで折れた様な音が、そして東海林は気がついた時には地面に埋もれていた。


「師匠!」


「東海林様!」


「痛っつ…マジかよ…腕折れた」


ふざけんな!何だあの馬鹿力は!?

ミヒラは地面に着地すると凄い地響きがなりその振動で東海林は地面から抜けた。


東海林は鑑定スキルでミヒラを調べた。


ミヒラ・神・タイガー

レベル99

パワー999/防御999/魔力800/俊敏400


「マジかよ…パワーとタフネスはあの鼠以上かよ!」


「我をあの様な軟弱鼠と一緒にするな!我はデーヴァ十二神の随一のパワーだ!」


そりゃ虎だしな。虎は最強ってよく言われてるしな。


立ち上がる東海林。

しかし、両手の骨は間違いなくヒビ入ってるよなこりゃ…チキンスーツの防御力でも数値に差があれば無意味って事かよ。


「師匠!」


「東海林様!」


「駄目です2人とも!」


「アン離して!」


「師匠がこのままじゃ!」


「私達が出ても足手纏いです。それに治癒魔法は私達にはまだ…」


治癒魔法はかなり高等だ。やり方を謝れば下手したらもっと悪化させてしまう。


「でも東海林様がこのままでは!」


泣きながら必死に訴えるエミを止めるアン。

悔しく無いわけがない。

幾度となく救ってくれた人が目の前で殺されてしまうかもと思えば放ってなんておけない。


「ふん、大して手応えは無かったが。我のパワーに耐えた事は褒めてやる。せめて一撃で終わらせてやる!」


ミヒラはゆっくり歩きながら右手を巨大化させた。


「ビルドアップクロー!」


ミヒラは叫びながら東海林に爪を振り翳した。


や、やられる!?


東海林は目を瞑る。


しかし、カキンといい音がしただけだ。

東海林は目を開くとあのウサ耳少女が斧を片手にミヒラの攻撃を防いだ。


「な、お前!?」


「我の渾身の力を防ぐだとっ!!…貴様!何故此処居るのだ!?」


「関係ない…」


「ふざけるな!貴様デーヴァ十二神でありながら同胞を敵に回すか!?」


「私は友達を探しに来ただけ…それをあんたが虐めた…許さない!」


ティナはそう言うと斧でミヒラの爪を弾き飛ばした。


「お前一体!?」


「私はティナ…また名を…」


ティナは光輝くと姿が変わる。


白く雪の様な毛に綿飴みたいな尻尾にベストとズボンを纏い懐中時計をつけた巨大な兎に姿が変わる。


「デーヴァ十二神…卯の刻、子孫繁栄を司る神…狩人ティナ改めて、アンティラ・神・ラビット…」


「お前!?干支の卯!?」


「レグ…今くらい起きてよ…彼、助けたいんでしょ?」


アンティラがそう言うとチキンスーツが輝きだした。


こっけこっこーーーーー!


と鶏の鳴き声が響き渡った。

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