第26話 チキン野郎とウサ耳女

東海林達はクエストで森に沢山現れた魔物駆除にやって来た。

レベル上げをする事が目的だから丁度良かったのだ。


東海林達は森の入り口に丁度来た時だった。


「師匠!」


「トモエ!」


以前助けたトモエが東海林達を追いかけて来たのだ。


「トモエ、何で此処に?」


「師匠が修行に行くって聞いたので追いかけて来ました!」


「そんな満面の笑顔で言われてもな。遊びに来たんじゃないんだよ。」


「わかってます!師匠を手伝いたいんです!」


「貴女の子供には危ないですわ」


「エミリア様!?」


トモエは声を上げた。


「何でエミリア様が師匠と居るんですか?」


「私と東海林様は婚約者。居て当たり前ですわ」


「婚約者!?噂は本当だったんですね師匠」


「だから成り行きってだけだよ」


何度も言ってるのに。


「貴女、トモエでしたっけ?東海林様を師匠って?」


「はい、私のマスターになってもらってます。」


「マスターって、魔法使いのですか?」


「貴女は?」


「メイドのアンジュです」


軽く挨拶をする。


「東海林様の浮気ではないんですね」


「違うわ!ていうか子供だろ。大問題だ!」


この異世界じゃどうだか知らないけど。


「エミリア様。私はお二人のお邪魔は致しません。でも師匠には助けて頂いた大きな恩を返していないのです。だから私も連れて行って下さい」


頭を下げるトモエ。


「エミリア様」


「東海林様。トモエさんも連れて行きましょう」


「は?何故?」


「こんな一生懸命頼んでいますし、それに素直で可愛らしいですわ!」


おいおい…そんな理由でいいのかよ。


「東海林様」


「東海林殿、エミリア様もこう言われています。何より人数は多い方がいいですよ」


まあ、確かに雑魚らしいからトモエでも大丈夫だろ。


多分…


「わかったよ。危なくなったら逃げろよな」


「はい!」


東海林達4人は森へ入り問題の大量発生した魔物の出没する場所へ向かう。


「地図によると、この先がクエストの場所です師匠。」


「よし、とにかく倒してレベルアップだ!」


このままじゃカッコもつかないしな。


あの鼠野郎に負けっぱなしも腹が立つしな。


「あそこですよ師匠!」


トモエは地図を片手にはしゃぎながら先へ行く。


「トモエさん先に行かないで下さい!下級とは言え魔物なんですから!」


あんなにはしゃぐとはな。

まあ、まだ子供だしな。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


ほら言わんこっちゃない。


東海林達も目的地へ向かう。


「トモエ無事か!」


「し、師匠。魔物が!」


「魔物に怪我させられたか?」


東海林はトモエの身体を見るが何処にも怪我は無い。


「あれ?攻撃されたんじゃないのか?」


「いえ違います。師匠あれ…」


トモエの指先には。


「な!?」


退治された狼の魔物の山があった。


「こ、これは…」


「クエストの魔物、ウルフです」


「何でこんな山に…」


「て言うか誰だよ横取りしやがったの…わっ!」


東海林の元に飛んできたウルフの死体。


「し、師匠!」


「東海林様!」


「大丈夫ですか!?」


「ぐは、何だ魔物の死体!?」


東海林は慌てて退いた。


「あ、誰か居ますよ!」


トモエの指先にいる兎のフードを被った人影。


「あ、ごめん」


どうやらこの少女がウルフを投げたらしい。


「だ、誰だアンタ?」


「ん?ああ、自己紹介?」


少女はフードを脱ぐと銀色の髪をした何とも綺麗な少女が居る。


似つかわしく無い巨大な斧を持っているが。



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