第25話 チキン野郎と神々の会議

金色に輝く雲に囲まれた不思議な空間。

そこは、神の獣達の寄り合い場であり神の世界への入り口だ。


「ちゅ〜ちゅちゅちゅ。あの人間は弱かったっちゅね〜!」


「お前みたいなドブ鼠が勝つくらいだかな」


「何だっと馬鹿牛がっちょ!」


「やんのかこらっ!クソ鼠!」


「嘘さいっちゅ!この松坂牛が!」


「ちんちくりんのドブ鼠っ!」


クンビーラと言い争いをしている巨大な牛の神獣。


「あの馬鹿共、またやってるのか…」


「俺様はもう見慣れたわ…」


呆れて語る馬の神獣と蛇の神獣。


「めえぇぇ〜どうでもいいメイ…」


ぬくぬくと雲を枕にして寝てる羊の神獣。


「右に同じっキ!」


猿の神獣が尻尾を立てて瞑想する。


「お前らだらけてんじゃねーぞ!」


巨大な虎の神獣が声を上げた。


「1人で騒ぐなっちゅ!ミヒラ!」


「テメェは前から馬鹿真面目だからな。脳筋の猪と同じくせにな」


「クンビーラ、サンティラお前達には言われてないっ!ウガァァァァァァァ!」


声を荒げる虎の神獣。


「やめないか!お前達!」


奥から飛んできた青龍の神獣。


「げ、お前がいるって事はっちゅ!」


「そうだ。我が神の御前だ。準備しろ!」


青龍の神獣がそう言うと雲に着地しひざまづいた。他の神獣達もひざまづく。


奥から現れた巨大な鳥の神。巨大な白虎、巨大な亀、巨大な青龍の4体。


「お前達揃ったか?」


「はっ!子の刻、クンビーラ・神・ハムスター此処に!」


「丑の刻、ヴァジュラ・神・バッファローも此処に!」


「寅の刻、ミヒラ・神・タイガー。主様参上しております!」


「辰の刻、マジラ・神・ドラゴン。参上致しました!」


「辰の刻、サンティラ・神・サーペント。来てるぜ!」


「午の刻、インダラ・神・ユニコーン。此処に!」


「未の刻…パジラ・神・シープ…ふあぁぁ…居ますよ」


「申の刻、マクラ・神・モンキー。なんなりとご命令を!」


しかし、3匹足りない。


「残りはどうした?」


「はっ!チャツラ・神・ジャッカル及ヴァイカーラ・神・ペッカリーは別件により欠席で御座います!我が主人!」


「ん?兎が居ないっちゅよ?」


「アンティラ・神・ラビットは何処に行きやがった?」


「アンティラの奴はまたぶらりと消えたっキ!なんせ変わり者だからなっキ!」


「お前も十分変わってるっちゅよ。マクラ」


「静まれ!神の御前だ!」


「神・ドューラ・レグホンが何故か我が世界へ帰還した。お前達も気づいているな?」


「奴を必ず見つけ出し、干支の宝珠を取り戻せ!」


「生死は問わん。取り戻すのだっ!」


えらくご立腹の四獣達。


「主人よ。次はこの私に、ミヒラ・神・タイガーに行かせて頂きたい!」


「お前はただ戦いたいだけじゃないのか?」


「そうっちゅよ!」


「貴様は直ぐに拳で語りたがるからな。ミヒラよ」


「お前達みたいな馬鹿とは違うだけだ」


「「「脳筋が言うな」」」


「黙れっ!」


白虎の神が咆哮を上げた。


「ミヒラよ。そこまで言うならやってみせろ!」


「はっ!このミヒラ・神・タイガー。必ずは期待に応えてみせます!」


ミヒラはそう言うと消えた。


「主人よ。近々本当に起こすのですか?」


「そうだ。干支の宝珠をどんな手を使っても取り戻すのだ!再び秩序を保つには時には戦わねばならんっ!」


「そんな野蛮な」


「我らが苦労して止めた戦争を!」


「貴様はまた起こすか?」


「愚かな人間達とて自国の主張が出来ぬからと下らぬ争いをそこらじゅうで起こしている。ならばはっきりと蹴りをつけるべきだ!良いかお前達よ。これは我々神々の戦いだ。自国の者達に通達せよ!神の代理戦争を再開するとな!」




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