第23話 チキン野郎 決意する

「東海林様、東海林様」


「ん…ここは…」


そこは見慣れない天井でベッドの上だった。


「痛っつ!」


東海林は起き上がると激しい痛みに襲われた。

 

「まだ寝ていて下さい東海林様!」


「エミ、アンさんも…」


「ここは私の部屋ですわ」


どうやらエミの屋敷らしい。


「俺はどうなったんだ?あの鼠は?」


「東海林様は…あの…」


エミは何だか言いにくそうだ。


「東海林殿は負けました。クンビーラ様は弱い奴を痛ぶる趣味は無いと言って去って行かれました」


弱いか…確かに俺弱かったよな…


あの鼠の神、クンビーラだっけ。

化け物だった、このチキンスーツを着て勝てない相手がこんなに速く現れる何て流石に思わなかったわ。


「何か…ごめん…」


「東海林様?」


「街を救えなくて…」


「東海林様が悪い訳ないですわ!!」


「そうですよ。今回ばかりは相手が悪すぎましたから。」


相手が悪かったからか…そんなのは言い訳でしかないよな。

俺がもっと上手くこのスーツを使えれば…もっと強かったら…少なくとも女の子2人を怖がらせたりなんかしなかったよな。


そう、相手がどうとか何て言い訳だ。

きっとこれから先だって自分より強い奴は現れたら俺はまたそんな言い訳に甘えてしまうのか。

いや、流石にダサいだろそんなの…ビビリだからしょうがないってこのままじゃ甘えてしまうよな。


「エミ…」


「はい」


「俺悔しいわ…だから強くなりたい…」


そう強くなりたい。


「でも、俺は地理とか色々分からないんだ。

恥ずかしいけど…助けてくれないかな?」


そう、カッコ悪いけど助けを借りるしかない。エミは強引かもしれないがいい子だ。

だから頼む東海林。


「水臭いですわ、東海林様。私達は婚約者、当たり前ですわ!」


エミは満面の笑みで答えた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る