第17話 チキン野郎 学校へ行く

火薔薇を回収しかつクエストのポン菓子草をギルドへと届けた東海林は初めての報酬とクエストPを獲得した。

クエストP(ポイント)を貯めると次のランクに昇進出来る。偶に飛び級する人もザラにいるらしいが。

クエストを終え王都へ帰って来た東海林はそのままトモエを学校へ送っているのだ。


「すみません師匠。わざわざ送ってもらっちゃって」


火薔薇を大事そうに抱えて歩くトモエ。


「だからその師匠はやめてって。さっきも話たろ、それはチキンスーツの性能で俺じゃないんだよ」


王都へ帰りながらトモエには東海林が異世界から来た事とチキンスーツの事を話したのだ。勘違いして幻滅なんて子供に味合わせたくないからな。


「いいえ、師匠。貴方は私を助けてくれましたし。あの鶏スーツだけじゃなく師匠の力もあってこそですよ。もしかしたら異世界の人って超人なのかも!」


「アニメじゃないんだって…」


「アニメ?」


そんな設定はアニメに決まってるだろ。

チキンスーツ無しじゃ俺は間違いなく本物のチキン野郎なんだから。


「師匠、ここが王都騎士学校です!」


「騎士学校?魔法じゃないのか?」


「魔法も習いますが基本は騎士職を学び自分の道へ進むがもっとうの学校です」


へぇ。しかし、デカい建物だな。

見た目は中世の城じゃんコレ…


東海林達は門を通り場内へ入る。


騎士学校は初頭、中等、高等科の3クラスがありエスカレータ式に上がって行く。

トモエは初頭科の最高6部生らしい。


この辺は現実の学校と一緒なんだな。


「じゃあ、師匠ありがとうございました。」


「もう平気か?」


「はい!あの、また遊びに行っていいですか?」


「宿屋にいるよ」


「はい!では師匠また!」


トモエは満面の笑みを浮かべて去って行く。


「さてと、依頼も終わったし。飯でも食いに行こうかな」


「オラやっちまえ!」


ん?


校庭から何やら嫌な声がしてきた。


「何だ?いったい」


東海林が見に行くと既に野次馬で溢れていた。


「ホラ行くぜ!」


そこには丸太で縛られた男子生徒がいた。頭に林檎を乗せられて投げナイフの的にされてるではないか。


「ひいっ!」


林檎には当たらず背後の木に刺さる。


「ちっ!外したか。動いてんじゃねーぞ!練習にならないだろ」


「も、もうやめて下さい先輩方!僕は的じゃありませんよ!」


「落ちこぼれが上級生に意見言うのか?生意気だね」


「落ちこぼれは黙って練習台になってりゃいいんだよ!」


いかにも不良みたいな奴が杖から鎖を放ち縛られている生徒の顔に当てた。


「くっ!」


縛られてる生徒の眼鏡が外れて地面に落ちた。


その落ちた眼鏡を踏みつける上級生。


「これで分かったか?弱小貴族の落ちこぼれ風情が俺達にたてついてたらこうなるんだよ。あはははは!」


虐められてる生徒は血を流しながら泣いている。


居るんだよなこう言う屑…がさ。


東海林はチキンスーツを着ると天高く手を上げた。


「よし、次は俺だ動くなよ!そらよっ…」


「チキンサンダー!」


「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁ」」」」


突然落ちて来た雷を受けて黒焦げになる上級生達。


「悪い、当たっちゃったわ」


もちろんワザと雷を落とした。



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