第7話 チキン野郎 祭り上げられる

すっごい睨んでるよこの侯爵…そりゃ大事な一人娘が見知らぬ男を連れてきた上に婚約者なんて言えばそりゃ面白くないよな…


うぅ…引き受けるんじゃなかった…凄い胃が痛い。


「東海林様」


「は、はい」


「こちらが私の父のローゼンクロイツ・ヴェルナルド・ジョゼフィーヌ・シン4世ですわ」


「ジョゼフィーヌ侯爵様、この度は御目通りが叶いまして…あの…誠に…光栄で…御座います…」


心臓バクバクだ。早くこっから立ち去りたい。


「うむ。東海林殿だったか?」


「は、はい!」


「君は娘の何処に惚れたのかね?」


やっぱ聞くよなその質問。

全くお決まりのパターンはもうやめてくれ!!心臓にマジで悪い。


「は、はい。エミリア様は…」


「君、娘と付き合っているならそんな他人行儀はやめなさい!」


「は、はい。侯爵様!」


マジで空気悪い、早く逃げたいよ。


「えっと、エミリアさんは…その…とても…綺麗で…気立が良くて、素敵で…可憐で…一目惚れでした」


隣で何故か真っ赤になるエミ。


あれ?俺なんか変な事言ったかな??


「で、君は何処の出身だ?」


「えっと、遠い異国から来ました。故郷を追われてしまいまして…」


「追われた?まさか犯罪を?」


「滅相もありませんっ!!命を狙われていたんです!そこへエミリアさんが手を差し伸べて下さり私達はお付き合いまで進んだ次第であります!!」


嘘がどんどん取り返しがつかない方向へ…まじで助けてくれ…


「エミリア本当なのかい?」


「はい、かれこれその賊らしき一派が私を東海林様と勘違いし襲って来たのです」


「何だとっ!!」


こら!さっきの盗賊を俺のせいにするな!!


「ですが、東海林様が私を救い出した下さったのですわ!しかも出会った頃から何度もです。」


「な、なんと…」


「お父様。確かに東海林様は貴族ではありません平民の出ではありますが、侯爵令嬢である私を幾度となく助け出してくれた英雄なのですわ!」


やめて!祭り上げないで!!


「ほぉ、そんなに強いのかい?」


「あ、いやその…ちょっと尾鰭をつけすぎかと…」


ヤバいもう取り返しがつかないかも…


そう思っていた時だった。


外で大爆発が起きたのは。

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