第4話 チキン野郎 お嬢様を救う
おいおい、何だよこの無茶苦茶な馬鹿力!?
東海林は怖かったが見てられなくなりつい飛び出すとたまらず汚い面した髭面を必殺のチキンキックを使いぶっ飛ばした。
しかし、想像以上の破壊力を出してしまい唖然となる。
「な、なんだコイツは!?」
「に、鶏!?」
「新手の魔物か!?」
え?魔物??
あ、着ぐるみ着てるからか…そういや頭からすっぽり被ってるコイツは学校のマスコットチキンの着ぐるみだもんな。
全身が黄色の服着た鶏だもんな。確かに魔物に見えなくはない。
「に、鶏さん?」
「鶏がエミ様を救い出した!?」
お嬢様達もそりゃ混乱するわな。
いきなり現れた黄色の等身大鶏が髭面をぶっ飛ばさたんだから。
「このふざけたチキン野郎!!」
ぶっ飛ばした髭面が這い出てきた。
よかった…生きてわ…
「やっちまえ!」
髭面の掛け声で盗賊達が剣を引き抜いて一斉に襲いかかる。
「あぶな!」
東海林はジャンプして飛び上がる。
「な、飛んだ!?」
「鶏が空を!?」
俺のセリフだ!
マジで飛んだよ…どうなってんだこの鶏スーツ??
東海林も全く頭が回らない。
「とりあえず今は…」
東海林は飛びながら両手を盗賊達に構えるとエネルギーが集まり炎の鶏が生成され始めた。
「な、何だありゃっ!?」
「とりあえず…チキンファイヤーーーーーーーーー!」
東海林が巨大な炎の鶏を放つ。
炎の鶏は盗賊達目掛けて飛んでいき大爆発した。盗賊達は皆散り散りになりながら空の彼方へぶっ飛ばされた。
「嘘…だろ…」
あーあ…どうすんだよコレ…
森の中心がもはや跡形もなく吹っ飛んでしまった。
東海林は申し訳ない気持ちのまま地面に着地した。
「疲れた…ていうか怖かった…」
自分の技にね…
まさか、こんな無茶苦茶な威力の初級魔法何て思わなかった。いや、アレが初級魔法だと…
どうなってんだよこのチキンスーツ…
「あの…鶏さん?」
「え?」
振り向くと金髪の女の子が恐る恐る声をかけて来た。
「うわぁ!服、服!」
「え、きゃっ!」
少女は慌てて胸元を隠してしゃがみ込むが残念ながらパンツ丸出しだ。
そうだ服破けてんだった!?えーと、えーと!?どうすれば!?
あ!
「ごめん、とりあえずコレを着て」
東海林は鶏の頭を外すとそう言う。
「え!?」
鶏スーツの下には黒髪の何処となく幼さが残る綺麗な顔立ちの青年の姿が。
「よいしょ」
「ちょ、何で脱いでるんですか!?」
東海林はスーツを脱ぎトランクス一丁になるとチキンスーツを彼女に手渡した。
「男はいいんだよ。女の子はそうもいかないだろとりあえずコレ着といて、メイドさんはスーツの両手をその剣で引きちぎって巻いて!!」
東海林はそう言うと赤くなり背を向けた。
「でも…」
「俺はいいから!女の子は駄目だから!いいから着て」
少女は言われた通り後ろのファスナーを上げスーツだけを着た。
メイドも言われた通りスーツの両袖を切り胸と腰にとりあえず巻いた。
「も、もういいですよ…」
「うん…」
東海林が恐る恐る振り向くと金髪少女は頭のないさっきまで着ていたスーツ姿とメイドは長いチキンスーツの羽が着いた袖を胸と腰に巻いてとりあえず急場をしのいだ。
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