4.俺氏、孫にもかわいい衣装を着せよう
別に俺の孫ではないが、せっかくの美少女だったので。
かわいい衣装を着せたいと思います、まる。
ちなみに「馬子にも衣裳」の馬子は孫じゃなくて馬を手綱で引いて歩かせる人のことだ。
「ということで美少女ちゃんには、服と靴を」
「ありがとうございます。でも服は高いですよね……私なんかのために」
「さっきも言ったけど違うんだって『私なんか』という認識がおかしい」
「そうでしょうか、じゃあ奴隷なんかに、です」
「どっちも違うんよ。俺がかわいい服着てるところが見たい、これでいいか?」
「そうおっしゃるのであれば」
とにかくあまり乗り気ではないらしいリーヤちゃんを連れて表通りを服屋を探して歩く。
俺が転移されてきたときには普通に服を着ていたので、その服のままだ。
長袖の綿の雑な服と長ズボンだ。
思ったより丈夫らしく助かっている。
リーヤちゃんは灰色の奴隷服、いわゆる
低価格仕様のため一枚布で中央に穴があってそこに首を通して前後に垂らして腰紐で横を縛ってある。
布は股下ぐらいまであるが値段のために丈は短い。
普通の服は脇を縫ってあるが、この服はそれすらも量産化のために省略されている。
横から見るとおっぱいやお腹、お尻が見えてしまいそうになることがあるので、ちょっとアレだと思うんだ、うん。
獣人の奴隷たちはほぼ貫頭衣だがそれが普通なのでなんとも思っていないらしい。
とにかく子供服が売っているお店を発見した。
「よし、ここがよさそうだな」
値段をさっと確認する。
高いとは言っても金貨一枚よりはだいぶ安い。
これなら俺の貯金でも買える。
ちょっと背伸びをしてしまうが、ご主人様が奴隷ちゃんの服すら買えない貧乏人では、この子の教育にもよくない。
「こんにちは、ちょっと子供服、見せてもらいますよ」
「いいよって奴隷にかい? 変わってるねあんた」
「そうですか? せっかく買ったんですから綺麗な服を着せたいんですよ」
「みんなそうだとうちは大繁盛して助かるんだけどね、あははは」
店の太った裕福そうなおばちゃんが大笑いする。
その容姿からは十分に儲かっていそうだが、冗談なのだろう。
「あら、奴隷だっていうけど、美人だねぇあんた」
「ありが、とう」
「あらかわいい。いいね、いいね、おばさん、張り切っておすすめとか持ってくるからね」
そうして店のおばさんとリーヤの戦闘が始まった。
服選びは女の戦場だ。
アレはいや、これはおしい、これは違う、これは保留。これは恥ずかしいからダメ。
最後のはともかく、けっこう注文が激しい。
ちなみに恥ずかしいやつはピンクのフリフリで胸に大きなハートがついてるすごいやつだった。
試着する前にダメ判定だったので、そのかわいい服を着たリーヤちゃんを見ることはできなかった。残念。
そうして最終的に、ワンピースの白セーラー服風というか、女性神官服のような白で脇に青いラインの入った服に決まった。
「どうでしょうか、ご主人様」
「はい、リーヤちゃんかわいいよ」
「はわわ、ご主人様……」
俺が鼻の下を伸ばしてべた褒めすると、さすがのリーヤちゃんもちょっと恥ずかしそうにした。
親バカですまない、でもこれは反則級のかわいさだと思うので、OKです。
「はい、OKです。OK判定を出します。これください」
「じゃあ銀貨四十枚ね」
「うぉっ、あははは、銀貨四十枚、わかった。貯金が。いいよ出すぜ」
「ところでお嬢さんは裸足だけど、さすがに靴もいるだろ?」
おばさん鋭い。
そうなんです靴も欲しいです。
ここ、よく見るとラインナップは多くはないが女の子用の靴もそこそこある。
「靴も、ください」
「靴もかい、じゃあこれかこれかこれ、どれにする」
「これ!」
リーヤが選んだのは、赤、青、茶色のうち、普通の茶色の靴だった。
「おお、ベーシックな茶色ね。うん、これもかわいいね」
革製のローファー型ハーフブーツだ。
冒険でも問題ない範囲でちょっと丸形の先っぽがお洒落でかわいい。
こういうの丸トゥって言うらしい。
足を濡れタオルで拭いてもらい、靴を試着する。
女の子って足、靴のサイズも小さいんだな。
「じゃあ合わせてオマケして銀貨六十五枚でーす」
「勝った! 買った! かわいいリーヤちゃんはこれで俺のモノです」
「そうだね。ご主人様えらいね、はい、まいどあり」
俺はお金を払って店を出た。
かわいい白セーラーワンピースのリーヤちゃん。
足元も丸ローファーでかわいい。
こうして服装が整った。
かわいい服を着てお店の人や俺それから通行人に見られて、テレテレのリーヤちゃん。
そのテレ顔もこれまたかわいいという、まさにかわいいの無限ループだ。
ちなみに異世界の服なので、ちょっと低級ではあるが魔法付与が元々ついている服らしく、防御力もそこそこある。
ぶっちゃけると俺の服より強いという。
これで多少のダメージは軽減できそうだ。
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