エピローグ

神聖な月

 綺麗な月だ。いつもそこにいる。今日はすこし欠けているかな。満月。それはもちろん綺麗だけど、何も知らずに見れば前後二三日程度の月なら満月とも思いかねないだろう。そもそも古くから詩歌しいかに詠まれてきたような神聖な存在に、影によって更に神聖なものとそうでないものに区別するのは、おかしな話だ。結果的にそうでない方の月は元来の神聖さまでもを否定される。僕は高校入学後、電車通学になったことや塾に通い始めたことが相まって、帰宅が以前より大幅に遅くなった。そのせいで帰り道にくっきりとした月を見ることは珍しくない。月には特別な思い入れがあって、僕は満月かそうでないかを、側、区別する側の人間だ。

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月に動物はいますか? 玄瀬れい @kaerunouta0312

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