ゆれる、ユレル

アシダテメイカ

ゆれる、ユレル

 彼女は夕日に向かって歩いていた。


 学校の屋上で。ゆっくり進む彼女は揺れながらに夕日の影に化けた。


 その光景が幻想的で僕はカメラを構え、シャッター音を鳴らす。


 彼女は音に反応し振り返った。


 その目は今にも洪水が起きそうなぐらい潤んでいた。


 希死観念が支配する彼女の目は灰色だと噂にのぼるくらい彼女は有名だった。


 けれど、僕は見てしまった。

 彼女の流した涙は生きていて、これからも生きることを望んでいる。


 彼女の足元に通知音が鳴り続けるスマホが転がる。


 僕はそれを拾い上げ、そのまま夕日に向かって投げ捨てた。


 慌てる彼女。

 けれど、その瞳には安堵の色が揺れていた。

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ゆれる、ユレル アシダテメイカ @illumiprotter

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