第3話 自殺前の楽しみ (改)
僕はアリアに会えると聞いて屋敷を飛び出し、中庭へと急いだ。いそがなくてもいいのに急ぐって事はやっぱり僕はアリアが好きなんだろうと思う。
そう思うだけで余計に自分を許せなくなる。なぜだろうか? やはり彼女には幸せになってほしいからかな? ……いや、それしかない。
「そのためには僕が消えなきゃいけない……彼女の思い出から……」
そう、絶対に消えなければ……
「それにしてもアリアはどこにいるんだ?」
花壇の場所や噴水の場所にいないのならどこに行ったのだろうか?
ん? あ、庭師のおっちゃんがいる! 聞いてみればなんかわかるかも。
「おっちゃん、アリアを見かけなかった?」
「アリアお嬢様ですか? 先ほど、向こうの木の下にいらっしゃるのを見かけましたよ」
「ふ〜ん。ありがとうおっちゃん!」
「いえいえ、どういたしまして」
そうそう、いま思い出したけど使用人たちの手伝いをいつも失敗する僕を誰も嫌っていないのが不思議なんだよね。なんでだろう?
「あ! 分かった。みんな僕にバレないように隠してるんだ」
僕のことを嫌っていないように見えて本当は嫌っているんだね。みんなが隠している理由は父上達にクビにされないようにするためかな?
「――……〜〜♪」
誰かが歌っている。それも聞く者すべてを魅了するような美しい声音だ。これほど美しい声で歌う者はこの家にはいない。つまりいま歌っているのは……
「やぁ」
「っ……カイル様でしたか、歌っている人に後ろから話しかけるなんていけない人ですね」
そう言いながらもクスクスと宝石よりも美しく可憐な笑みを浮かべる少女、アリアである。
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作者の言葉
私にしては珍しく早い投稿。
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