15-2
お昼ご飯の時間を楽しんだ後は、お勉強の時間。
大量の品目を覚えるのは脳に多大な負荷がかかっているのか、眠いし、頭がズキズキする。
名簿の見かたを学んでいても頭がだるい感じがするけど単に、ものを覚えることが苦手なのが出ているだけかな。
2時間ほどのお勉強会が終わって、自由時間へ移行。
さっきまで異常な眠気に見舞われていたため、班員に自分は休みますと伝え、今は兵舎のベッドに横たわっている。
横たわっているのだけど.....なぜか識火さんが隣にある椅子に座って、こちらを見つめている。
「あのー....識火さん。どうして隣にいらっしゃるのでしょうか?」
「休むって言ってたから心配になって、様子を見にきちゃった」
「えぇ...その心配していただけるのはありがたいのですが、眠くなっただけですよ。それにそう見つめられると落ち着かなくて」
「ごめんね....お邪魔だったかな?」
「お邪魔かと言われるとそうではないのですが、少々恥ずかしいというか」
「別に恥ずかしがらなくても良いのよ?同じ衣食住を共にする間柄なんだから!」
「そうは言ってもですねぇ。何と言えば適切か分からないのですが、お母さんに見守られているような感じで…うーん」
「ふんふん。なるほど....。妹と弟の世話を見ているから、かもしれないわね」
「ああ、ヘリの中で言っていた家族というのは妹さんと弟さんのことでしたか。妹弟がいると、識火さんのような感じになるものなのでしょうか?」
「私は自分以外の妹弟を知らないから....あ!そういえば初瀬部ちゃんも弟くんがいるって聞いたわ」
「え!そうなんですか?」
ふむ....自分の思う初瀬部さんはあっさりした人という印象だけど、お家では外とは違って識火さんみたいなことをしているのかな?
想像してみるとかなり、面白いかも。
「まあ、その話は一旦置いておきましょう?さあ、愛星ちゃん!眠いならおねんねしましょうね〜♪」
「えっと、会話をしていたら目が覚めてしまったので寝られません。お気遣いありがとうございます」
「えー!残念、愛星ちゃんの寝顔を拝めなかったわぁ……」
目が覚めたこの後も識火さんと仲良く隣り合ったまま、妹弟についての楽しいエピソードを聞かせてもらった。
「ふーっ。話し込んじゃったわねー!」
「そ、そうですね。ちょっと疲労を感じます」
や、休むはずだったのにむしろ疲れてしまった。
頭の痛みはマシになったけど話しすぎて脳に酸素が足りないのか、あくびがよく出る。
「今は何時かしらっと....んー、16時ね。ちょっと早めだけど皆んなを探して、食堂で夕ご飯を食べましょうか」
「はい、そうしましょう」
ベッドから体を降ろして宿舎を後にし、3人をを見つけに敷地内を歩き回った。
田町さんは図書室、明星さんは情報室、初瀬部はグラウンドにいたので声をかけて食堂へ。
食事を摂りつつ、各々何をしていたのか話をする。
「田町さんは図書室で何を読まれていたのですか?」
「んんっ。んー、こっちの時代の歴史を見てたわ」
「どうして歴史?」
「まあ、私たちがいた2036年との差異を調べようと思ってね。よくある話じゃない、タイムトラベル物では歴史が違うとかの話が」
「あー、確かにそういうのあるねー!」
「調べてみて差異はあったのですか?」
「それがなかったのよ、2036年の2月の襲撃まではね」
「なら2月を分岐に歴史が変わってるってこと?」
「ええ。ここの世界では未来から人が来ることはないけれど、私たちの世界では未来から人が来たわ。ただ、2036年にこの時代の人が来ているなら2042年の歴史が、私たちの世界と同じ形に変わっていないとおかしいと思うのだけど」
「じゃあ並行世界的なものなのかしら??」
「それについてはネットも使って調べたけど情報がなかった。なにせ人類がタイムマシンを使ったのはこの前のが初めてで、様々な事象に対する検証が全然足りてないのよ」
「だから、2036年の世界と2042年の世界の関係性がもう1つの時間軸とか違った自分の存在がある"平行世界"なのか、ある事象から分岐して複数のルートに分かれた"並行世界"のどちらなのかは私には判断できないわ」
「少し気になるのですがタイムパラドックスは今のところ起きてないですよね?そうなると、この世界は並行世界かもしれませんね」
「それは私たちが観測できていないだけで、起きている可能性は否定できないんじゃない?」
「むぅ、確かに」
「わたし、ネットで宇宙には物質の許容量があるとか学者の人が言ってるの見たことあるけど、もし本当ならわたしたちって宇宙のキャパシティに大きく影響を及ぼしてそうだよね。容量を超えちゃったらどうなるんだろ?」
「んー....そうね。爆発する....とか?」
「ひえぇっ!?」
「冗談よ冗談。どうなるかなんて、研究者でもない子供の私には予想もできないわ」
「突き詰めし者のみぞ知るって感じだね」
「じゃあ、この話は終わりでOKかしら?」
「そうですね。冷め切らない内に、ご飯を食べきっちゃいましょう」
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