14-3

「ふんっ」



「ごめんなさい。流石に調子に乗り過ぎました、反省しています」



シャワールームから出てきて、現在は食堂で飲み物を飲みつつ休憩タイム。



「....ふんっ」



「うぅ....田町さんに嫌われたら私、明日から生きる気力を失ってしまいます....」



「そんな大袈裟な...」



「うぅ....しくしく....」



「わ、わかったわよ....。ともかく人の体を長時間観察するのだけはやめなさい」



「むぅ....わかりました。善処します」



「とっても、不安なのだけど....」



「別に何かが減るわけでもないし、そこまで神経質にならなくてもいいんじゃない?」



「ふふ、田町ちゃんの恥ずかしがる姿はすごく可愛かったわ〜♪」



「ちゃんって....小さい子供じゃないんだから、その呼び方はちょっと」



識火さんがえーと言いながら頬を膨らませる。

右隣の初瀬部さんが、楽しそうにその頬をツンツンして遊ぶ。

なんともまぁ、微笑ましい光景ですね。



ワイワイしている3人はいいとして、食堂に来る前から一言も言葉を発していない明星さん。

3人を見ている彼女へ視線を合わせると、こちらに気づいたや否や顔を下に逸らされてしまった。



「あの....明星さん?」



「.......」



うぐ....私の説得が適当すぎたかもしれない。

これから一緒に暮らしていく仲なのだから、なんとか不安になる気持ちを和らげないと。



「えっと…さっきは茶化してしまいましたが、明星さんのことを守ると言ったことには偽りはないので……」



「......」



て、手強い。

どうすれば....う〜ん。



「.....べつにもう不安にはなってないよ」



「なんて言うか……ちょっと驚いて、恥ずかくてなって、困惑しただけだよ」



「よ、よく分からないですが…すみません?」



「うん、許す。そのかわりパフェおごって!」



「えぇ....」



「うわーん。愛星さんに不安な心を弄ばれたぁ〜!」



「やめてください。良からぬ誤解を周囲に与えてしまうと、明星さんにも影響が出ますよ」



「はっ、確かに…。別にいいけどね!」



「良くないですから、奢りますから、変なことは言わないでくださいね」



「…はーい」



そしてパフェを頼んだのはいいが、届いたものが非常に大きい。

いわゆるビッグサイズのもので、明星さんはこんなに食べられないよーと泣きながら頑張って完食した。

お値段はなんと1398円、お高い....…今後、明星さんの機嫌を損なうようなことは控えよう。



それから夕方まで食堂で雑談に興じ、18時過ぎになったら夕ご飯を食べた。

私と田町さんはパスタ、初瀬部さんはハンバーグ、識火さんは魚定食。

明星さんはさっき食べたパフェが胃に来ているらしく、お水だけ。



各々頼んだ品をモグモグ食べるのだが....明星さんの視線がチクチク刺さって痛い。



「みんなずるいよぉ...わたしだけお預けだなんてっ!」



「いや、貴女はさっきパフェ食べていらないって言ってたでしょ」



「でもぉ...見てたらお腹が....」



「品を頼べばいいのでは?」



「1品を食べ切るほどのすき間はないよ〜」



「んふふ、しょうがないわね。明星ちゃん、お魚食べる?」



「えっ!いいの?食べる!」



「はい、あーん」



「えっと、あーんは....」



「いらないの?」



「いります!あーん....うん、味わかんないね!」



両手で赤くなった顔をパタパタ扇ぐ明星さん、どうやら恥ずかしかったようだ。

なんだか姉妹のようなやりとりにほっこり。



「じゃ、私のハンバーグもあげる。あーん」



「あ、あーん...」



「はい、私のもあげるわ。あーん」



「....あーん」



「なら私もあげないといけませんね。どうぞ、あーん」



「......」



「?」



「アーン....オイシイデス、ハイ」



見る限り、恥ずかしさのあまりにオーバーヒートしてしまったようだ。

みんなから食べ物をもらった後はお水をゴクゴク飲み干し、机へ突っ伏してしまった。

その様子を見て微笑む私たち、この人たちは楽しい人たちだなぁ。

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