12-4
「ふぅ...模擬戦疲れた....」
「ゲームだと高を括っていたけど正直なところ、驚いたわ」
「そうよねぇ…...VRだって分かってはいるけど凄く緊張したもの」
「うん。わたしなんかミスしちゃったし....」
現在は模擬戦を終えて、各班の部屋で休憩をとっている状態。
あれから攻守交代をしてもう1戦したが結果は負けで、1勝1敗の引き分け。
自身のイメージだと攻撃より防衛側のほうが有利だと思っていたが、実際にやってみると守りかたがよく分からなくて苦労した。
今日の訓練を思い出しながら、あれこれ考えているといつの間にか夕食の時間に。
昼食を摂っていない状態で訓練を続行したから、お腹がぺこぺこで辛い。
みんなを誘って食堂へ行き、ご飯を食べた。
夕食はチーズ・ロールキャベツとミネストローネ。
空きっ腹と疲れた体に、温かいスープが沁み渡る。
ロールキャベツもお肉に出汁の味がよく染みていて美味しい。
食事を堪能したら今度はお風呂に入り、その後は自由時間。
就寝時間にはまだ早いし、外に出てぬるい風にでも当たってこよう。
......はぁ〜。
外は広々としていて人がたくさんいる屋内とは違い、気持ちが楽だなぁ。
だだし…ぬるい風は嬉しくない。
あたりに行こうと言ったのは自分だけど。
んー...そうだ、前々から書こうと考えていた日記を今書こうか。
スマホを取り出してメモ帳を開き、フォルダを作ってっと。
———あれ?
既に日記のフォルダが作られている。
どういうことだろう、自分の記憶にないだけで前もって準備していたのかな。
ちょっと開いて中を見てみよう。
開けた先には、読みきれないほどの膨大な数の日記が保存されていた。
おかしい、私はこのスマホに変えてから日記なんて一度たりとも書いたことはない。
日付は.....え?
———2042年———
2042年って....えっと....えっと?
今は西暦2036年だから.....6年後の未来?
未来って、どういうこと……?
訳がわからずパニックになったがひとまず落ち着き、1番上の日記を恐る恐る開いて中身を読む。
——今日は大切な作戦を実行する日。
あのとき救えなかったものを救う。
失敗できない、絶対に、何がなんでも遂行する。
さぁ...行こう、始まりの日へ——。
だめだ、内容が抽象的すぎてまったく意味がわからない。
そんなことよりも自分が書いた記憶のないものがなぜ、このスマホ内にあるのか。
乗っ取りという言葉が頭に浮かんだので、すぐさまネットで調べた。
乗っ取りはスマホのアカウントに使っている、メールアドレスとパスワードがSNSなどの媒体から漏洩・特定が起きた場合はあるようだ。
でも自分はSNSはしてないし、他のサービスで同じアドレスとパスワードを使用していない。
不正アクセスを確認するためアドレスとパスワードを入力したが、ログインできた時点でパスワードが変更されていないのはわかった。
念のためログイン履歴を見ても特段、不審な点は見あたらなかった。
スマホの時計を見るとすでに20時を過ぎており、そろそろ部屋に戻ったほうがよさそうだ。
帰り際、誰かに相談しようかと考えたが内容が内容だけに真面目に取り合ってはもらえないだろう。
はあ.....リラックスしに外へ出たはずなのに、謎ができて頭が痛くなってきた。
部屋についたらすぐにベッドへ横たわって、もう一度スマホをいじる。
日記のことがすごく気になって仕方なかったが、画面を見ていると次第に眠くなってきた。
そして睡魔に負けた私の意識は、黒い世界へと吸い込まれた。
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