11-3

班長を決めたら引率の先生に報告をして、訓練の始まり。

内容は装備をまとった状態でのランニングと射撃練習。



射撃はいいとしてランニングは10kg近く重量が増えた状態で走るため、辛いものになりそうだ。

学校に復帰してからは体力と筋力を戻すために毎日プランクをしたり、部活で走ったりしたが未だ体力には自信がない。



装備を先生から受け取って身につけたら、班ごとに走るので基地内の壁に沿って並んで待機。

装備は電動エアガンもとい、トレーニングウェポンとプレートキャリアにアーマー2枚、おもりを入れられたリュック。



初めて電動エアガンを持ったけど本物と見違える出来栄えと重さ、けど区別できように銃口は青い。

それとリュックのおもりが重いからこっそり抜き取ってしまいたい、訓練が終わった後は肩が凝ってそうだ。



少しすると8班の番が来たのでゆっくり足を運ぶ。

足の動きが乗ってきたら、速すぎず遅すぎずの一定の速度を保つように調整を心がける。

先頭は初瀬部さんで次に田町さん、明星さん、識火さんの順で列になり、自分は最後尾。



走り始めて20分が経過した時点で少し息が上がってきたのを感じ、この後も皆のペースに合わせられるか不安になってきた。

さらに黙々と走り続けて40分を過ぎたあたりで肺は熱くなり、心臓は鼓動の量を抑えられずどんどん増している。



困った....残りどれくらい足を動かせば休めるのかわからない状況なのに、この体たらくとは。

けど他の人に言って、休みをもらうと迷惑をかけるからどうにか頑張らないと。

30分後にランニング終了を知らせる笛が基地内に鳴り響き、なんとか助かった。



現在ベンチに座って休憩をとっているが、かなりしんどい.....。

呼吸をすると吐き気を催して気持ち悪くなるし.......そもそも呼吸自体しにくい.....。



顔を上げて初瀬部さんと田町さんを見ると体力がありそうに見えた2人も、額に汗を浮かべてお疲れの様子。

明星さんと識火さんは自分ほどではないが膝に両手をついて息を切らしており、頬と耳が紅潮している。



体力のある男の子ならともかく、筋力も体力も劣る女の子にこの訓練はとても過酷だ。

これが明日と明後日もあるのだと思うと、今から気が滅入ってしまう。



「皆さん。そろそろ休憩は終わりにして射撃訓練をするので、移動してくださいね」



先生のかけ声が聞こえると、生徒らはのそのそ射撃場へ移動を開始。

自分たちもそれに倣って、疲労の溜まった体に鞭を打つ。

まともに休めてない今の状態ではろくな結果にならないだろうなぁ....。



「はーい、初日の訓練は終わりです。お疲れ様でした。この後は自由時間なので、よその人のご迷惑にならない程度にくつろいでください」



はぁぁぁっ〜....終わったぁ......。

案の定、射撃訓練は悲惨なものになってしまったのは不甲斐ない。

もうね、呼吸が乱れに乱れ、狙うのに一苦労しましたよ....全力で走った後に精密な射撃をするなんて私にはとてもできませんね!



それとは別に射撃場が広々としていたのはちょっと羨ましかったかな。

学校は100mまでしか距離が確保されていないがこちらは150mと、数字上では50mの違いだが実際はかなり差があった。

ただ、150mの射撃に挑んだときはほとんど弾が当たらなかったから、学校の射撃場はやっぱり100mで距離は十分かも?



とりあえず、汗をかいて気持ち悪いから休む前に体を綺麗にしたい。

シャワーを浴びてきますと班員に告げて宿舎へ一直線。

部屋に戻って鞄からタオルなどの必要なものを取り出してシャワールームに。



そしてシャワールームに行ったはずだったのに今現在、大浴場でお湯に浸かっています、それも班員全員で。

どうしてこんなことになっているのでしょうか...?過去最高レベルの困惑ですよ!



遡ること数分前のできごと。

シャワーを浴びる用意ができて部屋を出ようとしたとき、この部屋のルームメイトである田町さんに引き止められたのだ、ある提案と共に。



「愛星さん。汗を流すなら私も流したいし、せっかくだから一緒に行ってもいい?」



「いいね。自分もついて行こうかな」



「わたしも〜」



「私も参加していいかな?」



田町さんの提案に続々と参加者が増えてしまった。

そして申し出を拒否できなかったことにより、仲良しこよしのお風呂会が開催されることになりましたとさ、めでたしめでたし....ぜんぜんめでたくないけどね!!

はぁー、お風呂くらいは人目を気にせずのんびりしたかった。



「思ったんだけど愛星さんって結構、背が高いよね」



初瀬部さんが私の背丈について話をふってきた。

確かに高いほうだとは思うが、珍しがられるほどでもないような。

隣にいる識火さんは自分より背が高いし、なんなら初瀬部さんとは背がほぼ変わらない。

やや、謙遜しつつそんなに高くないですよと答える。



「昔に比べると背の高い人が増えてるらしいけど、高校に入るまでは自分以外の高い人を見る機会がなかったから、実物を見て驚いたというか」



「わたしも背が高くていいなぁ、とは思った」



「背もだけど体型もスラっとしていてちょっと羨ましいかも?」



初瀬部さんの返事に乗っかかるように、明星さんと識火さんも会話に参入。

体型はそんなスラっとしてないような...あ、胸がないからそういう意味で言ったのですか!?と横目に豊満な胸持つ識火さんを見て思った。

ついでに明星さんのも見たがこちらは普通くらいでホッと安心してしまった、ごめんなさい!

でも貧乳なことは気にしてないので全くもってノープロブレム。



田町さんは...ふっ...言うまでもなく素晴らしいボディだ、芸術的な美しさ。

見つめていたらドキドキしてきたのですが、おかしくなってしまったのでしょうか?

落ち着かないと、すぅ....はぁ....。



お風呂を堪能した後は休憩がてら皆、飲み物を買ってそれぞれくつろぐ。

家族以外の人物とお風呂に入ったのは初めてだったが、悪くはなかった。

でも体を休めに来たのに人がいて緊張してしまうのは本末転倒、やっぱり入浴時くらいは人目を気にせずくつろぎたい!



それから全員で部屋に帰り、夕食の時間までは別々に過ごした。

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