10-4
「は、はひ......うぅ...き、きつい....」
今プランクをしているのだが....3回やっただけでやはり息が上がってしまう。
私ってここまで貧弱だったのかとちょっと落ち込む。
まぁ、入院生活もあったせいで筋力だけでなく体力が落ちているのもあるけど。
あれ、でも入院前も3回で息が上がっていたような?
あはは、怪我のせいで記憶が混濁しているのだろう....うん、そういうことにしておきたい。
よしよし、これから毎日続けて息が上がらないように鍛えれば良いのだ、頑張ろう。
ということで10分休んだらもう1セットだー。
ついでに腕立て伏せと、腹筋10回も追加しておこう。
あ....あっ....腕が、お腹がっ....うぐぐ。
すいません、調子に乗りました...今回は許してください...。
......運動をして汗もかいたしお風呂に入ろうと思ったが、トレーニングをする前に洗って溜めておけばよかったと後悔。
ささっと湯船を洗い、お湯を溜めて入浴。
お風呂から上がってベッドに腰掛け、時間を確認すると20時34分。
疲れているが休むにはまだ早いと思い、星を見に外へ出る。
射撃場に行って扉の近くに置いてある長椅子にちょこんと座り、空を見上げた。
まだ夏みたいには暑くないため、涼しい状態で観賞出来るのは素晴らしい。
雲がないから月が綺麗に見える、今日は16日だから十六夜だ、それと月の近くで光っているのは多分———火星かな?
うーん、天体望遠鏡が欲しい.....射撃部が作れたなら天文部も作れるのではなんて思ったり。
というよりは射撃部があっさり作れたのだから、天文部を進言すれば確実に作れたのでは?
いっそのこと合体した部にしてしまえば良い説。
......星空を見ていると相変わらず、両親のことを嫌でも思い出してしまう。
今見ている月の姿も2人と同じように失われてしまうのだ。
1秒後にはさっき見ていた月とは違うものになるのはもちろん、来月の16日や来年の5月16日に見える月は今と同じようで同じではない月。
人は失ってばかりの生き物だ、むしろ失うためだけに生きているのではないかとすら錯覚する。
失うことは避けられないとわかっているつもりだけど、それでもやっぱり……失いたくない。
失う恐怖に苛まれるのは辛い、何事にも耐え難い苦痛だと知っている。
ただ、今日は失うだけではなく新しく得たものもある。
私は...それらを守っていけるようになりたい。
そろそろ、夜空の鑑賞会も切り上げて部屋に帰ろう。
部屋に戻って、手洗いうがいをしたらベットに横たわり目を閉じる。
身体の力を抜いて大の字になると、意識は夜空のような綺麗な黒色の世界へ落ちていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます