5-2
次は美術の時間、教室移動をしなければならないので休み時間中に本校舎3階にある美術室に行かないと。
ただ教室の場所をちゃんと覚えてないから、クラスの子についていこう。
しっかり後ろをつけて、教室に入ったら予鈴が鳴るまで静かに待つ。
授業開始のチャイムと共に先生が部屋に来ると、今日は絵を描く予定のようで自由に題材を選んでいいと言われた。
何を描こうか悩んだけど、ふと頭に浮かんだ銃弾を描くことにしてみよう。
えっと...先が丸く尖っていて斜めで....薬莢の部分は.......むぅ、形を正確にとらえるのってこんなに難しいことだっただろうか?
昔から絵は得意じゃなかった、でもたまには描いていたけど今こうやって描いていると、やっぱり難しくて脳が焼けそう。
ひとまず描き終わったがどうみても立体感が薄い、要練習だ。
書いたものを提出して美術は終わり、3限目の音楽も教室移動をして授業を受ける。
初めに先生が、歌うとかのテストはしないときっぱり断言してくれたので内心で大仰なガッツポーズ。
代わりに曲を聴いて名前を当てるとかそういうものになるらしく、それはちょっと面白そうだと思った。
今日は音楽の歴史について教えてもらって終わり。
最後に英語の時間、移動先から自分たちの教室へ戻って授業を受けたが......うん、さっぱりわからない。
実を言うと小学生のときにお母さんが、わざわざ海外出身の英語講師を雇ってまで私に勉強させていた。
けど発音がネイティブ?すぎて聞き取れず、聞き取れない言語があることに対して大きなショックを感じてしまった。
後は文法とかが理解できなくて熱が出そうだったなぁ......。
というか出た、単語は熟語と似たようなものだから覚えられたけど、文法は何度やっても覚えられなかった……悲しいね!
それ以来、英語に対して不得手・理解できないものという先入観が頭の中に植え付けられている。
今から中間と期末テストがかなり不安になってきた...胃がピリピリ。
今日の日程も無事乗り越えてSHRの時間となり、教室に渡先生が入ってくると先ほどまで和気藹々としていた皆も静かになり、話を聞く体勢に。
「えー、明日からお休みになるのだけど基本外出の際に申請みたいなのは必要ないから、自由に過ごしてね。でもハメを外して補導されたりとか、門限を過ぎることのないよう気をつけてね?じゃあ解散!」
そうか、明日は休日....ど、どどどうしよう!何もすることがないのですが!?
こういうとき、大体は友人とお出かけをしてショッピングや美味しいものを食べて過ごしたりだとか、1人なら趣味に走ったりと時間の使い道があると思うけど私は.....ない!
よ、よし算数ドリルだ!いや眠くなってすぐやらなくなりそう....。
ならば射撃訓練をするのはどうだろうか、2日も訓練すれば今より更に上手くなるはずっ!!
次々と生徒が教室を出て行く中、朝思っていたことも含めて相談をするために、教壇に立つ渡先生に歩み寄る。
「あの....先生。土日に射撃訓練をしたいのですが、監督役の先生がいない状態でもできますか?」
「うーん、流石に生徒だけだと危険だからダメね。どうしたの?急に」
「休み中は暇だと思うので、時間を潰せることがしたいと思ったのですが.....」
それならお友達とかとお出かけしたりは?と返されて、言葉に詰まる。
率直に友人がいないことを伝えると先生は焦った顔をして、何を言おうか考えている様子。
「う、うん....!そういうのは焦らなくても大丈夫よ!気が合う人がちゃんといるはずだから!!」
「すみません、フォローして頂いて....」
「そうね〜。無理に時間を潰そうとしなくてもいいのよ?とりあえずふらっと街に出て探検してみたり、そういうのもいいと思うわ。そうすればいつの間にか時間が過ぎているから」
無理を言って申し訳ありませんでした、と頭を下げる。
ちなみに朝考えていた、放課後の射撃訓練を毎日させて欲しい話はあっさり許可をもらえた。
ただ、弾を大量に使用しないという制限を課せられたけど、やっぱり弾薬代が高いのかな。
ついでに、今日も訓練に付き添ってもらえるようお願いをしたら先に職員室を出て寮の自室に向かい、M4とP365をロッカーから出して射撃場へ一直線。
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