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2036年 4月11日 金曜日 04時32分



目を覚まし、眠気まなこで時計を見つめると時間は04時32分。

横になったまま軽く背伸びをする。

昨日は疲れていたから早めに就寝した。

そのおかげで十分な睡眠時間を確保できて気分爽快、気になっていた肩の違和感も取れたようだ。



これから質の良い眠りを得るためにも、疲れる射撃訓練を日課にしようか迷ったけど毎日大量に弾を消費したら、弾薬代がかさんだり緊急事態が起きたときに足りなくなりそう。

毎日訓練しても差し支えないか放課後、渡先生に確認しなければ。



ベッドから降りて外に出る支度を済ませ、寮のドアが解錠されたら学食へ向かった。



朝食はフレンチトーストとヨーグルトにした。

フレンチトーストは土日の朝ご飯に、お母さんがよく作ってくれていた。

ふわふわしてて、シナモンの香りが温かい気持ちにしてくれる、大好きだったなぁ......。



もちろんこの学食のフレンチトーストも中ふわふわ、外カリカリでバニラの甘い香りが気高く絶品だけど!

どちらも好きだから甲乙つけがたい、ぐぬぬ......。

謎の葛藤をしながらも食事を済ませて07時まで待つ。



そういえば、こちらに向かうとき本校舎の外側に学食へと伸びるエレベーターがあるのを見つけた。

近づいて操作板の横にあった張り紙を見ると、校舎が開いていないときに学食へ行きたい場合はエレベーターで登って下さいと書かれていたが、多分食材などを運ぶためのものを学生にも解放しているのだろう。



今度、わざと早めに行って乗ってみようかな。

あれ...でも早朝に校舎が開いていないことは今のところなかったような?



時計の針が07時を過ぎたら教室に向かい、昨日先生から手渡された鍵を使ってドアを開け、自席に座りSHRまで待機。



今日の科目は家庭科と美術・音楽・英語だけど家庭科以外は苦手だ。

美術はまだしも、音楽は小学校のときの歌と楽器を使ったテストが嫌で嫌で当日は休もうとしたくらいだ。



正直あのテストはする意味が全くないと今でも思っている。

あんなことをするくらいなら、ピアノやバイオリンの弾き方を教えたほうがよっぽど生徒も喜ぶし、脳の発育にも良さそう。

単に自分が、ピアノとバイオリンを弾けるようになりたかっただけだけど。



英語に関しては、他国の言語を学ぶということは母国語である日本語を0から学ぶのと同意義。

さらに言えば覚えても日本語と違って、日常的に使うわけではない。

だからすぐ忘れてしまう....とやりたくない言い訳をつらつらと並べてみた。



はぁ〜...この学校の授業についていけることを、今のうちに祈っておこう。



SHRの時間になると先生が連絡事項を話して、今日も頑張ってねという励ましの言葉で締め括られた。



さて1限目の家庭科は食べ物の栄養価について、中でも糖質とカロリーの関係性の話。

先生曰く、太る原因は糖質にあるのであってカロリーが高いからといって太るわけではないらしい。

昔から、カロリーが高いものは太ると耳にタコができるほど聞かされていたから衝撃的な内容だ。



糖質が多く含まれている食べ物は比較的カロリーが高い、なぜかと言うと大きな熱量を生み出すのが糖質という存在だから。

しかし、糖質がほぼ含まれていないお肉でも同じようなカロリーの値は出るが食べても太ったりはしない。



これは人体の構造上の問題らしく、糖を摂ると人は活動するためのエネルギーとして変換・消費するが使いきれなかった分は脂肪として蓄える機能がある、これが太る原因。



一般人の1日あたりの平均糖質摂取量は約320g。

年齢の若い人・よく運動したりする人はこの量の糖質を摂取しても使い切る場合が多いので太りにくいが、歳をとっている人や運動をしない人が食べすぎると使い切れずに残ってしまう。



じゃあ、自分は若いけどあまり運動しないから糖質の多い物ばかり食べていると、横幅が悲惨なことになるのでは....?



不安な心持ちで話の続きを聞いていると運動量が少ない人は1日80g以内に抑える、軽めの糖質制限をすれば良いらしい。

この糖質制限は糖尿病患者の治療内容の一環として取り組まれていることもあって、効果は保証されているとか。



更にきつい糖質制限を求めるなら1日あたり60gまでしか摂取できないという。

食べる物と量は今後、意識して調節しないと歳をとってからが怖そうだ。



ちなみに、お茶碗1杯のお米は糖質約78g・パスタ1束あたり約70g・食パン6枚切りのうち1枚は約28g。

パスタはGI値という血糖値を上げる数値が低いため、数値の高いお米に比べれば食後の血糖値の上昇が緩やかみたい。

あくまで緩やかに上がるだけで、総量が減るわけではないので留意しないといけない。



こんなに糖質が含まれていたら2食で90gを平然と超えてしまう。

ともすれば、ほとんど食事を摂れないからお腹が空いて苦しそうだ。

またまた不安に思っていると先生は朗報を告げる。



近年はローカーボン、略してロカボという炭水化物中の糖質を減らした食べ物が色んな企業たちの努力によって開発され、たくさん販売されているそうだ。

例えば、パスタであれば難消化性でんぷんを使用することで約70gある糖質を25gまで減らし、糖質の多いケーキやクッキーのようなお菓子類でも20〜60%程度、糖質を減らすことに成功している。



そして、そういう品を買いたい場合は袋に描かれているロカボマークだったり糖質〇〇%OFFと書かれているのをよく見て買うよう教えてもらった。

ただし、ロカボは糖質制限とは意味合いが違って、ロカボは緩やかな糖質コントロール(1食40g)、糖質制限は厳しい糖質のコントロール(1食20g)を指し示す語句らしいので注意。



後は糖質繋がりで、家系に糖尿病を罹患した人がいる場合、遺伝によって発病率が上がる。

両親が共に糖尿病だった場合は大体、40〜50%の確率で子供も糖尿病が発病するそうだ。

ただ、遺伝だけではなく先程の授業内容で言っていた食生活や運動習慣といった環境による影響を受けるとか。



チャイムがなったため今日はここまで、中々面白い授業内容だった。

今回の授業を要約すると.....糖質って怖い.....!





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