希求
天涯を目指し羽ばたく
金色の烏に目を奪われ
誰に捧ぐとも知らずに
只餅をつく玉兎を想う
先程までは満ちていた
烏の声への返事の如き
むせ返る夏の草いきれ
今は草原の死臭ばかり
重ね合わせた互いの掌
滲んだ汗に顔を染めた
花に沈んだ頬に触れた
せめて涙が見たかった
土に転がる蝉の抜け殻
拾い集めては宝箱の中
もう目に映らぬ残骸を
クシャリ足裏に潰した
曇天と禿げた枝を仰ぎ
真っ白な塊を一つ吐く
立つことも億劫になり
長椅子にもたれて眠る
太陽には眩暈を覚えて
月には君の横顔を見る
出鱈目な星座に涙して
土塊の指でぬぐい取る
先に行きなさった君の
旅路を遅れて辿るから
お茶でも啜って休んで
私のことを待って居て
この世に未練はないが
あの世には君を求める
もう動かせない左手に
少しだけ重みを感じた
君を探して目を閉じた
人間の詩 日々ノ 灯 @565656565656
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。人間の詩の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます