第8話
アリシャとシーナ・メイを連れて俺は冒険者ギルドの前へ到着した。
冒険者ギルドに入会できるのは10歳からと早くこの3人もそれぞれ10歳の誕生日に冒険者登録を済ませている。
「ちょっと、待ってくれ」
「「「はーい!」」」
「《
俺の身がヴィア・ラクテアの際にも使ってる装備に変わる。
「すごい……さすが騎士様!」
「ベリル兄ぃだけずるい!」
「魔法……良いなぁ☆」
「はい、これはまた今度」
この子達は素直で良い子なんだが冒険者ギルドにいる人達はもちろん良い奴もたくさん居るが、そうじゃないやつだって居る。
特にこの子達は孤児院出身で容姿は貴族に見劣りしないくらい整ってるし、素直だから―――。悪い奴からしてみればネギ背負った鴨に見えるはず……。だから、ゴールド。冒険者の階級
ウッド→ストーン→アイアン→ブロンズ→シルバー→ゴールド→プラチナ→ダイヤモンド→マスター。
とある中で、冒険者ギルドのエースと言われるほどの実力を持つ証でもあるゴールドクラスまでは俺が育てる。
まぁ、ぶっちゃけるとシルバー以降は才能と努力の量。厳しいが大抵それ以上は非才の身には無理だからわからないが。
「入るぞ〜」
「「「うん!」」」
『カランカラン』と冒険者ギルドの戸を開けると入口のベルが鳴る。
その音に惹きつけられるように中にいた冒険者達の視線が一斉にこちらへ向く。
昼から冒険者ギルド入るのは少し珍しいからな。なんでかっていうと冒険者はギルドからの依頼で金を稼いで生きてる訳だから朝早くから依頼が張り出された瞬間みんな競うように取ってくからだ。
つまり、今この時間帯は、あそこにいるみたいに博打をしてるか、昼から酒を飲んでる酒豪か、良い依頼を取りそこねた人である。
やっぱり、この子達だけで冒険者ギルドに入れるのは危なすぎる。1、2、3、4、5、6……9人。今数えただけで明らかに害意を持ってこちらを見てる人が9人も居る。
「《
俺は自分の中にある魔力を少し外の世界に出す。これは威圧効果があるのだが。俺がヴィア・ラクテアの装備を着てる限りネジが足りてない馬鹿か阿呆しか襲ってこないと思うけど。
「受付さーん!依頼受けたいです!」
「パーティ依頼お願い!」
「討伐系が良いな!」
この子達はたぶん周りの視線をなんとも思ってないなんだろうな。みんながこんなに綺麗な心を持ってれば良いのに―――。
「かしこまりました、こちらのグレート平原でのウィンディウルフ討伐なんかはどうでしょう?少々報酬は渋いですが……」
「それで頼むよ、今回は報酬目的じゃなくて実戦目的だから」
「かしこまりました、ではこちらにパーティ編成とパーティ内の最高ランクを」
「どうも」
俺は受付から紙をもらって書いていく。
ちなみにメイは魔法使いでシーナがタンカー、アリシャが剣士だ。俺?俺は基本なんでもできるからオールラウンダー。
ランクは『マスター』っと。なんで冒険者の最高ランクが使えるかって?ヴィア・ラクテアの特権だよ。ヴィア・ラクテアに入団していて一度冒険者ギルドである試験を受ければ『マスター』クラスを名乗れるのだ。
ドヤッ!結構、これが良い特権。
「はい、これで良い?」
「証明できるものを……」
「ほい」
俺はヴィア・ラクテアの紋章が彫られているバッヂと『マスター』と刻まれている冒険者カードを出す。
「!?失礼いたしました、もう大丈夫です」
ま、この受付さん新人ぽいし、いきなりヴィア・ラクテアの騎士なんて来たら驚くか。
「お前らー行くぞ〜」
「「「いぇーい!」」」
よし、行くか―――。
「おい、チビ!依頼を置いて帰れ」
「そうだ!」
「兄貴の言う通りだ!チビは帰れ!」
依頼を持って出ていこうとしたアリシャに3人の冒険者が絡む。
はぁ、やっぱこうなったか。
「どけ―――」
圧を込めて俺が言う。
「おん?てめぇ見ない顔だな」
はい、不敬罪。
「去れ―――今なら許してやる」
「おいおい、笑われてくれるな!俺様はシルバーランクだぞ?新人」
「はっ、非才の身か」
アリシャが困った顔でこっちを見る。
俺はアリシャの手を引いて前の冒険者の視線が通らないよう体で隠す。
「ああ゙ァ゙?!てめぇ!?もっかい行ってみろやゴラあ゙ァ?くそガキがムカつくなぁ!」
不敬罪x2。救いようが無いな。
俺は剣を引き抜き剣の柄で冒険者をぶっと飛ばす。
奴は『ドゴッッ』人から鳴るとは思えない音を立てて冒険者ギルド正面の石の塀に体ごとめり込んでいる。
「兄貴!?」
「てめぇ!?」
「《
俺の周りに雷が取り巻き一体の猛獣を作り出す。
「ひっ!」
「最終勧告だ失せろ―――」
「は、はいぃぃいいい!?」
冒険者達はふっ飛ばした奴を担いで去っていった。
―――おいおい、あいつはやべぇ……。
―――あれは、本物だ……。
―――ふっ飛ばされたやつ生きてたか?
―――か、絡まなくてよかった……。
―――……すげぇ。
あちこちから言葉が聞こえる。褒められるのは悪い気はしないな。
「騎士様!かっこいい!」
「ベリル兄ぃ、惚れた!」
「結婚する?」
「はいはい、馬鹿言ってないで行くぞ」
「むぅ」
「不服」
「ほぼ無視……」
何を言ってるなんだか……。
そして、俺達はグレート平原に行くため城門へ向かった。
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