第6話

―――ねぇ、レイ様の隣、なんで怠惰の公子が歩いてるのよ。

―――噂だと、怠惰の公子がヴィア・ラクテアの1席様らしいぞ

―――まぁ!なんですって!?

―――おい、あれ。

―――えぇ、噂は……。

 さっきからめっちゃ視線を感じるし『ヒソヒソ』と周りから俺とレイについて言われてる気がする。だからバレたくなかったのに……。

「気にすもんじゃないわよ」

「そうか……」

 そわそわする。

「着いたわよ」

 レイは公爵家の令嬢なので皇宮から家が近くて助かる。

 ちなみに皇都の貴族街は皇宮から近い順に公爵家→伯爵家→子爵家→男爵家と貴族位の高い家から並んでいる。

 人の家に上がるのに騎士の武装した格好は失礼過ぎるので俺は《自動装備オート》を使って普段外を歩くのに使っている服へと変えて、レイの家の門をくぐる。

「お邪魔しまーす」

「どうぞ」

 玄関に入って靴を脱ぐ。

「あら、レイお嬢様がベリル様を家に招いたのは何気に初めてでは無いですか?」

「そ、そうよ!何か悪い……?」

 レイが少し頬を赤らめる。

「あらあら、お嬢様も遂に恋かしら〜?」

「うるさい!うるさい!」

 レイの家は使用人と仲が良いんだな。

「では、ベリル様ごゆっくりして行ってくださいませ」

 そう言ってメイドは去っていった。

「私の部屋で良い?」

「あ、うん!」

 女の子の部屋入るの初めてかも。

 ちなみに妹はノーカンノーカン。

 階段を上がってレイの部屋へゆく。

「ここ」

 『ガチャ』とレイがドアを開ける。

「お邪魔しまーす(本日2度目)」

 レイの部屋は淡いピンクを基調とした部屋でベッドの上にたくさん縫いぐるみがあり机の上には勉強をした痕跡があった。

 なんかすごく女の子っぽい部屋だな。

「ねぇ、ベリル、突然何だけどさ」

「うん、どうしたの?」

「……私達今年で15歳でしょ?」

 ちなみに俺はルキナの3つ上だからルキナは12歳だ。

「うん」

「それで、一緒に……皇都立・魔法騎士学院まほうきしがくいん、行かないかな?って」

 魔法騎士学院といったら他国にも有名な学院で毎年のように皇国はもちろん様々な国から魔法を学んだり騎士になるため平民から貴族まで優秀な人が集る学院だ。

 そして何処までも実力至上主義。決闘バンザイ!強ければなんでもオッケー!そんな学校だ。

「魔法も騎士になるための剣術も覚えてるから行かなくてもいい気はするけどな」

「そう、よねやっぱり……急にごめんなさい」

「でもさ、修学旅行とかで他国に行けるのは楽しそうだよな!学院生活も良いかもね」

「っ!!わかる!楽しそうよね」

「レイが行くなら行っても良いよ」

 流石に一人は悲しいし。

「うん!一緒に行こ?」

「入試いつだっけ?」

「確か来月なはず」

 案外近いな。実技は良いとして間に合うかな?勉強。

「ベリルは入試は学院側に申し出て、実技:座学の比率を10:0で受けさせてもらえる制度を取れば良いと思うわ」

 あぁ、そういえば実力至上主義ならではのそんな制度もあったな。

「じゃあ、それで受けてみるよ」

「やったーーー!」

 『ギュッ』レイが抱きつく。

 女の子特有の柔らかな感触を感じる。

「おう!一緒に頑張ろうな」

 『トントン』扉が開く。

「お嬢様、邪魔しました?」

「そ、そんなこと無いわ」

 レイが離れていく。

 メイドに見られたのは気まずすぎる……。

「奥さまが呼んでおります、ベリル様もです」

「お母さんが?」

「はい」

 何だろう?



―――――――――――

ちょっとずつ戀愛要素増やしていきます。

学院はもう少しお待ちを!

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