第3話
南門へ繋がるメインストリートを駆けていると後ろから人が走ってくる。
恐らくヴィア・ラクテアのメメンバーだろう。
「先輩!」
「1席〜」
「5席と7席か、助かる!」
前にヴィア・ラクテアのメンバーは戦闘能力と戦場での功績から選抜されるといったが。戦場での功績の中には隊列の指揮や作戦などが敵に非常に良い有効打なった場合もあるため、ヴィア・ラクテアの中には戦闘はある程度だが強いわけではなく指揮などの方面で優れる人もいるわけだ。
その点、この二人は純粋な戦闘力だけでの選抜。というか隊列の指揮なんてこの2人には無理。というのもこの2人に指揮をやらせてみたが戦闘が始まると指揮、そっちのけで自分が最前線に立つのだ。
それ指揮官やられたら終わりですやん……。
『ゴゴゴッゴゴ、ドガーン!』
空に火球が浮かんだかと思うとそれが城壁へ発射された。特殊加工が施されて頑丈な石造の城壁だが、隕石さながらのその魔法には耐えられず南門の城壁が崩壊した。
「っっ!?おい!急ぐぞ!」
「「はい!」」
これ、やばくない?敵、神級レベルじゃね?てか、神が天界から降りてきたとか無いよな?
この世界は神々によって創造された世界だ。天界とは神々が住まうエリアでこちらから干渉は不可能。そして、この世界を創った神々が全て味方というわけでは無い。むしろ味方の神のほうが少ない。
他にも他世界からこの世界を護るために置かれた目茶苦茶に強い怪異も居るが……。
とにかく、今回の敵は相当にやばいかもってこと。
最悪の想定をしていると南門に着いた。
「……10万?その倍は、いや10倍はいるだろう南門だけで!5席撃て」
「は、はっは、ヤバいね!?《
5席が魔法を放つ。
魔法の域を超えただ破壊と殲滅のためだけに編み出されたその魔法は皇都に目掛けて迫る無数の怪異に火球の雨がとなり降り注いだ。
「7席行くぞ!5席引き続き魔法行使で援護を!」
ルキナ達はどこ行った!?
あぁあ゙、でも職務に私情を挟むわけにはいかない……。
「門番の騎士が、居ない」
「おそらく、怪異のリーダーに殺されたんだろう今回の敵はヤバいぞ?」
「そろそろ、敵と当たるよ1席さん?」
「あぁ、わかってる!」
本日二度目。俺は腰から剣を抜いた。
「7席、騎士が来るまで3人で南門を死守すんぞ!」
「りょーかい!」
「
『ゴゴッ゙』と音が鳴り響き、平坦な土地だったこの平原の大地が
「5席の魔法か、平原で3人VS数え切れない敵よりだいぶマシだ」
「剣舞 《
俺が剣を横薙ぎ払う。その一撃で迫っていた怪異達が燃え尽き倒れる―――。
しかし、その亡骸を超えて『ゾゾゾゾゾッ゙』と溢れ出すように、新たな怪異達が迫る。
「「《身体強化》!」」
7席も俺も使ったこの魔法はただ身体能力を強化するだけの魔法。
こうして、終りが見えない永遠にも感じる戦いが始まった―――。
横薙ぎ、袈裟斬り、逆袈裟斬り、突き。
あれからどれほどたったかわからない。
いつまで斬っても斬っても溢れ出す怪異達の肉片と死体があたりに散らばり。空気は血の匂いで満ちた。
「
紫電が空から降り注ぐ。雷に打たれた怪異が燃えた。
「《
7席が剣に水属性魔法を纏わせる。水龍を彷彿とさせるその姿。一撃一撃で10、20,30と命を奪う剣。
「
俺が剣に纏うのは炎。これ以上怪異たちに進ませるわけにはいかない。なぜならもうすぐそこまで皇都が迫っているからだ。
北門と西門、東門は大丈夫だろうか?
「くっそ!!騎士団はまだか?」
「そ、うだね!そろそろ厳しいかも!!」
「魔力が危なくなって、きた……。」
ん?空に今人が、居なかったか?
「《《魔力探知マジック・ソナー》》」
間違いない上空に一個反応がある。
「5席上だ!怪異の空、反応あり!撃て!」
「なっ!?《
上空を血の刃が奔る。
「くくくっ、っっく―――」
なんだ?上空に浮かぶフードを深く被った者。声からは男性か女性か区別がつかない。
「何者だ!?」
7席が問いかける。
「いやぁ、実に哀れ!これから起こることも知らずに―――
空に緻密で巨大な魔法陣が浮かぶ。今、奴は何をした?知らない言語だ。呪文?
眼の前が輝く。その先に視線を向けると怪異達が一匹残らず光の奔流なって魔法陣に吸われていた。
「生贄?」
「消えていく……」
「先輩!5席!来る!備えて!!」
「「っっ!?」」
俺達が全力で後方に飛ぶ。
『?仕留めていない……?《
大鎌を構えて血が乾いた時のような暗赤色のコートを着る巨体が天から降ってきた。
「おい、、嘘だろ?」
「あ、あ、ぁぁ」
「ちっ!」
起こってしまった。最悪の想定―――。神が天界から降りてきた。その中でも限りなく最悪である。死を司る神が。
『そこの仮面以外いらない―――。』
瞬間、吹き飛んだ。5席7席が。
吹き飛んだ先を見ると崩れた城壁にめり込んでいる。
「おい、貴様!」
『落ち着け、これを見ろ』
死神の手から何かが現れる。
「毛糸?」
『ククッ!違うぅ』
そして死神が無造作にその毛糸を投げ捨てる。すると地面と触れた瞬間、毛糸がほどける中からは―――ルキナとフィア、ルナが出てきた。
『ククッ!護ってみろ』
「貴様、死ね!」
俺は一瞬で3人の前に立ち背後に庇う。
「兄様……?」
『あ?貴様、兄なのか?その仮面外せ』
「断る」
『そうか《懺悔の鎌》』
次の瞬間、死神の鎌が俺に到達し、俺の仮面だけを斬った。
「速い―――」
これはバレたな。
「兄様!」
「ベリルお兄様?」
「ベリルお兄ちゃん?」
なぜルキナ以外にお兄ちゃん呼びされているかは昔から言われていたから考えるのを止めた。
「俺が護るから、絶対俺より前に出るなよ《
呪文で取り出した純白に光る剣と漆黒の剣が俺の手に握られている。《
『神力?殺す』
「
俺が放つ剣技。剣が向う先は死神の手。先に手を切り落とす。
「その鎌、握れなくしてやる」
『《神の不滅》』
『ガンッ゙!』死神に剣が届いた瞬間確かな手応えはあった。けれど、剣が死神の肉に届くことはなかった。
どうせこうなることは知ってたけど。
「
皇都周辺を包むようにして、俺は世界を創った―――。
『ククッ、人間がそこまでするか凄まじいなあ゙ア』
今、皇都最強と神の戦いの火蓋が切られた。
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