第15話 勇者様は金髪ギャル
「え、メアって魔王メアリアだったの⁉︎」
その様子を見て俺は若干驚きながらこう尋ねた。
「……もしかして二人は知り合いなの?」
俺がそう尋ねるとメアがこう答えてくれた。
「……そ、そうですね。前に少し話しましたが彼女は……勇者です」
「え? 勇者……? 勇者ってあの⁉︎」
世の中、何があるか分からないとは言ったが、こんなことってある!? しかもネット繋がりなんて。っていうか勇者ってギャルなんだ……通りで写真撮るの上手い訳だ。
「……いやー、もしかしてとは思ったことあったけど、ほんとに魔王だったとは……」
勇者はそう言うと改まってこう自己紹介をしてきた。
「この際だし本名でいいよねー? 私は神結香恋(かみゆいかれん)、一応勇者やってまーす! 香恋って呼んでねー」
そう言って自己紹介をした香恋に続いて俺も自己紹介を行う。
「メアも知ってるし、俺も本名を教えるね。俺は星月真裕。言っておくけど俺は普通の人間だからね」
それに続いてメアもこう言った。
「私は必要ない気がしまけど、一応しておきます。私はメアリア・シャルティール。今まで通りメアと呼んでください」
そう自己紹介を終えたタイミングで後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「なるほどね〜。そういうことだったんだ〜」
声の聞こえてきた方へ視線を向けるとそこにはネムがいた。
「ね、ネム⁉︎ ど、どうしてここに⁉︎」
慌てた様子でそう言うメアにネムはいつものふわふわした声でこう言った。
「いや〜、少し怪しかったから魔王様の後をつけてきたんだけど……どうやら大当たりだったみたいだね〜」
そう言ってこちらに来るネムに香恋はハグをしながらこう言った。
「ネムじゃーん! 久しぶりー!」
どうやら香恋とネムにも面識はあるようだった。
「久しぶり〜。香恋も元気そうだね〜」
「ど、どうしましょう……まさか、ば、バレるなんて……」
そう言って焦るメアにネムはトドメの一撃をおみまいする。
「それにボク、魔王様がいっつも隠れてゲームしてることも知ってるんだ〜」
「……」
ただ愕然とするメアの背中をさすりながら俺はこう言った。
「だ、大丈夫?」
「真裕……私はもうダメかもしれません……」
顔面蒼白といった様子のメアにネムは近づいてきてこう言った。
「このことが魔王軍にバレたらどうなるだろうね~?」
「! ね、ネム! そ、それだけは許してください……」
それを聞いて俺はふと疑問に思ったことを尋ねた。
「……このことってそんなにバレたらまずいことなの?」
「真裕は知らないかもしれないけど~、魔王様っていつもはもっとクールでツンツンしてるからね~」
ネムのその言葉に香恋も賛同する。
「そうだねー。私も初めてあった時はもっと冷酷って感じのイメージだったし」
「そ、そうなんだ」
俺からしたらメアはかわいくて優しいイメージだけど、魔王軍の配下とかから見たら厳格な感じなのか……うん、想像がつかないな。確かにそんな魔王様がゲームとかオフ会とかしてたら、魔王軍的には色々問題があるかも……俺はギャップがあっていいと思うけど。
「ま、真裕! ど、どうしましょう……」
「いや、俺に言われてもな……ドラゴンに勝てるとは思えないし……」
第一、ネムの性格からしてただ単純にからかってるだけだろうし。
「はは、冗談だよ、冗談~。魔王様にはいつもお世話になってるからね~」
それを聞いてメアは安心したようにこう言った。
「そ、そうですか。良かったです……」
「でも、その代わりに今度真裕とかと遊ぶ時はボクも連れて行ってよね~」
その言葉に対してメアは真剣な表情でこう言った。
「わ、分かりました。ネムなら特に問題はないでしょうし……」
「やった~! それじゃあみんなよろしくね~。あ、連絡先交換してもいい~?」
そう言って連絡先を交換した後で本題のオフ会について話を始めた。
「それで~、今日はみんなで何する予定なの~?」
「予定は特に決めてないから、みんながいいなら映画とかどうかなーって思ってたんだけど……どう?」
そう尋ねてきた香恋に真っ先に反応したのはメアだった。
「映画……!」
メアはキラキラした期待の眼差しで香恋のことを見ていた。
「? もしかしてメアって映画見に行ったことないの?」
俺がそう尋ねるとメアの代わりにネムがこう答えた。
「魔王様、いつも忙しいからね~。あんまり魔王城からでないし~」
「そ、そう言うネムは映画を見たことがあるのですか!?」
「もちろんあるよ~。ボクは結構休みとって遊びに行ったりするし~」
ネムのその言葉にメアはショックを受けたようにこう言った。
「そ、そんな……映画を見たことがないのは私だけですか……?」
若干涙目でそう言ったメアを香恋が安心させるようにこう言った。
「大丈夫大丈夫! 今から見に行くんだから! みんなもそれでいい?」
「俺はいいよ」
「ボクもいいよ~!」
そうして俺たちは近くのショッピングモールに映画を見に向かった。その道中、俺は少し気になっていたことを尋ねた。
「……そういえばみんなって異世界に行ったことあるっていうか、異世界がどんなものなのか知ってるんだよね?」
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