第14話 二人目のネッ友

「ふう、今日はなんだか疲れたな。レンさんに仲直りしたことだけ報告して少し早めに寝るとするか」


 そう言って俺はレンさんにこうメッセージを送った。


『こんばんは。おかげさまでメアさんと仲直りできました』


 俺がそうメッセージを送ると少ししてレンさんからメッセージが返ってきた。


『そっか! ほんとに良かったね!』


 本当にレンさんには感謝してもしきれないな。あのまま仲違いしたままだったら俺はずっとそのことを引きずっていただろうしな。


『本当にありがとうございました。今日は色々あって疲れたので早めに寝ますね。お疲れ様です』


 そう言って俺がスマホの電源を切って眠ろうとした時、メッセージが届いたのか、スマホの電源がついた。


『ちょっと待って〜! 来週末はちょうど予定が空いてるから私ともオフ会しない?』


 そのメッセージを見て俺は体を起こしてこうメッセージを返した。


『おお、遂にレンさんとも会えるんですね! 来週の土曜日で大丈夫ですか?』


 今までは都合が合わなくて会うことができなかったが、遂にもう一人のネッ友であるレンさんとも会うことができるのか。これは来週末が楽しみになってきたな。


『うん、それでいいよ。メアには私から伝えとくからね』


『了解です。それではおやすみなさい』


『おやすみー!』


 俺はそのメッセージを見てからベッドに入り直すと、程良い疲労感と少しの期待感を持って眠りにつくのだった。


 そうして迎えた土曜日。俺は待ち合わせに遅れないように早めに家を出発して集合場所の広場に向かった。


 そうして道を歩いていると、辺りをキョロキョロと見回している金髪のギャルっぽい女性がいた。


 何か探してるみたいだけど道にでも迷ったのかな。


 そんなことを考えながら歩いていると女性の前を通りかかった時にこう話しかけられた。


「あ、ちょっと道を聞きたいんだけどいいかな?」


「え? は、はい。別にいいですけど……」


 そう言って改めて女性の方を見る。女性はサイドテールと呼ばれる髪型をしており、金髪で茶色の瞳、そして整った顔立ちをしている美少女だった。


 そんな少女を見て俺は一瞬、ドキッとしてしまう。ここ最近美少女との遭遇率が高い気がする。女性経験の少ない俺にとっては少し心臓への負荷がきてしまうのは仕方のないことだろう。


「ありがとねー。ちょっと道に迷っちゃって……ここら辺にある大きな広場に行きたいんだけど」


 ここらにある大きな広場は一つしかない。俺もその広場に行く訳だし一緒に行くとするか。


「それなら一緒に行きますか? 俺もちょうどその広場で待ち合わせをしているので」


 俺がそう言うと女性は嬉しそうにこう言った。


「ほんと⁉︎ 助かるー」


 そうして俺たちは一緒に広場へ行くことになった。


「良かったー。これでなんとか約束の時間に間に合うよー」


 そう言って安堵する女性に俺はこう話を繋げた。


「それは良かったです。道に迷っていた所を見るとここら辺には来たことがないんですか?」


「そうじゃないんだけど私、方向音痴っていうか……」


 そう言ってくる女性に対して俺はこう相槌を打つ。


「そ、そうなんですね」


 そんなことを話していると待ち合わせ場所である広場に到着した。


「着きましたよ」


「いやー、ほんとに助かったよ。友達に連絡しないとね」


 そう言って女性がスマホを取り出すのを見て、俺も二人にメッセージを送ろうとスマホを取り出した。するとちょうどレンさんから到着の連絡があった。


『今、着いたよー!』


 それに対して俺も到着のメッセージを送る。


『俺も今着きました。どこにいますか?』


 俺がそう尋ねるとレンさんから即座にこう返信がきた。


『今はたぶん広場の入り口……かなー?』


 そのメッセージを見て俺は薄々勘付いていたことに目を向ける。


 ……もしかしてさっき道に迷ってたこの人がレンさんだったりする? 口調もなんとなく一緒だし、友達と待ち合わせがあるって言ってたし、ここ、入り口の近くだし……。


 そう思った俺は横にいる女性の方を見てこう話しかけた。


「……あの、もしかしてレンさんだったりします?」


 俺がそう尋ねると女性は一瞬の間の後、驚いたようにこう言った。


「……もしかしてだけど、ステラ⁉︎」


 その反応を見て俺はこの女性がレンさんであることを確信する。


「あなたがレンさんだったんですね! リアルでは初めましてですよね。ステラです」


 俺がそう言うとレンさんは嬉しそうに俺の手を握って上下にブンブンしながらこう言ってきた。


「おおー! 初めまして! 会えて嬉しいよー!」


 まさか俺のネッ友が二人ともこんな美少女だったとは、少し前の俺が知ったら絶対信じなかっただろうな……むしろ今も信じられないくらいだ。


「俺も驚きましたよ。こんな偶然あるんですね」


「ほんとにねー」


 そう言って話しているとスマホにメアさんからメッセージが届いた。


『私ももう少しで着きそうです』


 それを見て俺はレンさんにこう言った。


「メア……さんももう少しで着くみたいですね」


「そうみたいだねー。メアに会うのも楽しみー!」


 そういえばレンさんはメアが魔王ってことは知らないんだよな……でもレンさんだったら大丈夫だろう。何者であっても俺たちはネッ友だからね。


 そう言っていると後ろからメアに話しかけられた。


「二人とも、お待たせしました」


「あ、メア。おはよう」


 俺がメアにそう挨拶をするとメアはレンさんを見てこう言った。


「この方がレンさんですか? ってあなたは……⁉︎」


 そう言ってメアがレンさんのことを凝視すると、レンさんは目を見開き、驚いたようにこう言った。


「え、メアって魔王メアリアだったの⁉︎」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る