第27話
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「ヒーコ! はいこれ」
昼休みに、写真部の先輩、
「夏休みの合宿は、このプリントに書いてあるけど強制参加だからね。だから都合のつく日程をいくつかピックアップして教えてちょうだい。レポート出さないと廃部になっちゃうって。じゃあよろしくね」
そのプリントにはこんな内容が書かれていた。
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写真部合宿のお知らせ
本年度の夏休みの写真部の合宿は1泊2日で開催されます。
1日目:写真の歴史の座学(萩原先生)
2日目:当日課題が発表されます
写真部の合宿は、今年は人数が少ないのと予算がないのとで、学校に宿泊しての開催となりました。部員は強制参加です。3人しかいないので、ひとりでも欠席者がいると活動報告ができず、廃部になります。必ず参加してください。
また、今回は来年の『写真インターハイ全国大会』に出場するための合宿となります。ですので、写真の基礎の復習と臨機応変の撮影スタイルの確立を目指します。
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なんでみんなこんなにわたしのことを苦しめるのだろう。わたしはもう写真を撮らないって決めているのに。みんなみんなみんな嫌い! 別にわたしひとり写真を撮らなくなったっていいじゃない。誰かが死ぬわけじゃあるまいし。むしろ、誰も死ななくて済む。
そう心の中でつぶやいたわたしの脳裏に、キレながら叫ぶエミリーの姿が浮かぶ。
窓際のエミリーをそっと覗く。長い足を投げ出して本当に楽しそうに笑っている。エミリーは茨木さんが亡くなって悲しくないの。なんでそんな風に笑っていられるの。
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