第7話
そうそう、わたし、さっきからヒーコって呼ばれているけれど、本名は
わたしの写真も選んで欲しかったけれど、技術的に足りないのと、写真へのアプローチが根本的に違うために採用されなかった。
応募する写真は撮って出しのものとなる。撮って出しというのは、現像ソフトを使わずに、カメラで写したそのままの写真のこと。わたしみたいに色をいじったりするのはNGなんだ。でもわたしはデザイナーのお兄ちゃんの影響で、写真の絵作りの方が楽しいと思っている。海外だとそういうアプローチの方が多いと思う。
フォトグラフィーを日本では真を写すという写真と訳しているんだけれど、それはあんまり正確じゃない。本来の意味は、『光で描かれたもの』という意味で、絵画に対して光画とも呼ばれる。お互いに近いジャンルの芸術と考えられていて、それで、海外の写真は大胆な色付けをする。やりすぎなのもたくさんあるけれど、わたしはそちらの方が好きだからそれにならうことにしているんだ。
とはいえ、写真インターハイでは写真の現像の腕は問われない。それよりも、もっと基本的な、構図の組み立て方、空間認識能力、めまぐるしく変化するシチュエーションへの対応力、撮影時のコミュニケーション能力、そういうものが試される。それらを駆使して、限られた場所と時間の中で、ぐっとくる、いわゆるエモい写真を撮らなくちゃならない。だから、そのための勉強も必要なんだけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます