第5話 女性の正体

 「あの、大丈夫ですか。」

 ハルヤは女性に声をかけた。

 「はっ。」

 女性が起きた。

 「ハルヤくん、もうあのことを喋ってはいけないよ。」

 「なぜ私の名を。それに、なぜそれについて喋ってはいけないのですか。」

 「説明する。だから、まず、この話を聞いて。貴方の世界の『科学』というものでは、説明がつかないかもしれない」けど、ここは悪魔が支配する世界なの。」

 「でも、貴方を何とか元の世界に戻したい。うっ。私は刺殺されるけどね。」

 彼女の、この発言を聴いて、優しいハルヤは、死への歩みを止めようとした。

 「そんなこと、しなくていいよ。痛みを伴う死はただの辛苦だ。そんなことになるくらいなら、私がこの世界から痛みなく消えてしまった方が良い。」

 「ハルヤくん、こんな状況になったのは、私の、知性が欲しい故の欲のためなの。だから、お願い。自分の責任は自分で取りたい。」

 「で、でも、、、」

 ハルヤは、返す言葉がなかった。

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