第13話

その後顛末。


あれから二日後。


俺の姿は未だ小さくなったままだ。


「アルバス、また何か無茶したの?」


母親が心配する。


「特に何もしてないよ」「あまり魔法使いすぎないようにね」「分かった、分かった」


「それより、【ヨルダンの血溜まり】ってところが憲兵によって暴かれたらしいぞ」


父親が世間の話題について言った。


「ウルリちゃんももうすっかり体調が回復したらしい」


「あら、それは良かったわ」


流石、マチの妹なだけある。体力が有り余ってるのだろう。


「じゃあ、そろそろ行ってくるわ」


「行ってらっしゃい」


父と母に見送られ学校へ行く。






「まだ、元に戻ってないのねアルバス」


「ああ、魔力使いすぎた」


マチと合流する。


「お、おはようございます。アルバスさん」


「おはよう、ウルリ」



ウルリが学生服着ている。


いつもはジャンキーな服装なので新鮮だ。


特にスカートが短いところがいい。


「体調はどうだ?」


「は、はい。大丈夫です。アルバスさんが助けてくれたお陰です」


「ウルリの奴今日から真面目にセンテンス学園へ通うらしいわよ」


という事はウルリは一年生か。


「アルバスさん、助けてくれたお礼を、そ、そのしたいのですが」




「ウルリその必要はないわ


「何でお前が決めるんだよ」


「アルバスさんの言う通りだ。姉貴は黙ってろよ」



「あんたにデートは早いわよ」


「デ。デートじゃない!!ただ一緒に食事とかどうかなっていうお誘いをしたいだけ

だ!!」


「それは立派なデートよ!姉としてそんな事許すわけにはいかないわ!!」


「違うね。姉貴はアルバスさんとあたしが二人だけになるのが気に入らないだけ

だ!!」



「デ、デタラメ言うな!!」


ギャーギャーと二人で騒いでいる。元気のいいことで。


「その元気が羨ましいわ」


「ナナリー先生」


マチとウルリが騒ぐのを止める。



今回の件でセンテンス学園のロド=ドロ校長にも責任が追及されその立場を解任さ

れた。


きな臭い人間関係が元々噂されたことが今回の件で本当だったことが明かさ

れたのだ。


勿論ナナリー先生も批判の的になった。


が、コロシアムでは子供達の死者が出なかったこととそれは先生がこっそりと助けてた事が要因だった為解任は免れた。



「ウルリさん、マチさん今回の事は本当にご…」


「待った」


マチが制止する。


「もう、先生には謝罪してもらったんだし。もういいわよ」


マチはもう許したようだ。



「私は先生には助けてもらったし、別にいいや」


ウルリはあっけらかんとして言った。


先生はほっとした表情を浮かべた。


「アルバス君」


俺の方に向き直った。


「あなたのおかげで私はこの地獄から救われたわ。このまま続いたら私は正気を失っ


てた。助けてくれてありがとう。」


元の原因は俺だからみんなに感謝される資格はないんだけどね。


「それと今まであなたに冷たい態度をとってごめんなさい。これからは一人の教師と

してあなたに向き合うわ」


先生はほんのりと頬を赤らめていた。


「また、ライバル増えた」


ぼそっとマチが言葉を吐く。



「あらあら、随分楽しいでいるようね。アルバス」


時間が止まる。そしてそこにはクソ女神様がいた。


「よう、随分と御無沙汰だな」


「過去を一つ清算しましたね。この調子で前世の悪行を洗い流してください」


「お前、名前は?」



そういえば名前を聞いてない。


「ああ、名前を明かしてませんでしたね。私は、メンリーと申します」


「あっそ、じゃあさっさと消えくれ」


「また会いましょう」


「消えろ」


時が再び動く。



「アルバス、大丈夫?」


三人が心配そうに見つめる。


「ああ、大丈夫だ」


これから面倒臭そうな事がまだまだ起きそうだ。






とある地下室に彼らはいる。ここはかつてゴトリー・モールが使っていた拠点地だ。


「今日諸君に集まってもらったのは他でもない」


気品あふれるその男は配下を見下ろしつつ語る。


「奴がやられたのはどうでもいいが【ヨルダンの血溜まり】が使えなくなったのは痛

い」



悪のトップらしく冷徹な言葉を吐く。


「殺ったのは何者ですか?」


一人の幹部が問う。


「アルバス・ボルグという子供だ。かなりの実力者だ」



死への旅(デストリップ)”のリーダーであるゼン・レベルが相手を称えることは滅多

にない。


ゼンはさらに言葉を続ける。


「彼の名前を言った時、僅かに動揺したが何か知ってるのかな。シャルル」


シャルル・フライ



ほんの数日前、アルバスの正体を突き止め、彼の勧誘をしたが失敗に終わった女幹

部だ。


「いいえ、知りません」


「…まあ、いい。我ら死への旅(デストリップ)”はゴトリ―・モール卿が亡くなられ

て以降、百年地下に潜めていたが遂に動く時だ」



ゼンの語気に熱が帯びる。


「我らの目的は世界を混沌に陥れることだ。ゴトリ―・モール卿の意志を引き継

ぐ」





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