第12話

ドウ!!


俺は魔力を解放した。


「すごい魔力。でもまだまだ本気じゃない。マチさん、彼は一体なぜここまでの力

を?」


「そんなの私が聞きたいくらいよ。でもその力をまだ十分には扱いきれてないわ」


「身体の幼体化がそれね」



「お前とは手合わせしたいと思っていた!いくぞ!!」


ズン!!!

「っっか、お、は…!!!」


セルの巨体に俺は肘打ちを喰らわせた。勿論魔力で身体を強化したものだが。


「“いくぞ”なんて宣言しなくいいんだよ。これは殺し合いだぞ。口より先に行動に移

せ」


セルはその場で蹲った。

更にそこから俺はアッパーを喰らわせた。

それと同時に10体の増殖体は消えてしまった。


「奴の分身体が消えた!!」


「能力が維持できなくなる程のダメージを与えたという事よ…。それもたったの二撃

で」



マチとナナリーはある意味ではアルバスに恐怖を覚えた。


(なな、な、なんだこの重い攻撃は!!)


セルは意識を必死につなげる。


「お前俺の力に興味があるようだな。もっと面白いモノを見せてやる」


(このガキ、調子に乗るなよ!!)


更に倍以上の分身体を出し、今度は速攻で仕掛ける。


(いいだろう、今度は別の魔術を見せてやる)


これから奴が更に怯えた表情見せると思うと俺はにやけてしまう。


「“武器召喚”」


空間から数千、数万という武器を覗かせた。


「!!」セルは驚きのあまりに声が出せない。


「射出!」


数万の剣やがセルの巨人の軍団に襲いかかった。


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!


巨人の軍団は何もできずに消えてしまった。


「武器召喚なんて普通一つや二つでしょ!?」


「出鱈目な力ね」


マチとナナリーは唖然とした。


「ままだまだ!!」


セルはめげずに増殖体を出し続けた。


「いいぞ、それぐらいやってくれなきゃいじめがいがない」


俺は新たに武器を出す。


大穴が空いた大砲を出した。だがその装飾はどこか近代性を感じる。


「どれだけ大きくてもただの大砲だ!」


セルは動揺を払う努力をしている。


俺にはバレバレだ。


「セルよ、これは今の時代から千年後の武器だ。お前にその身をもって味合わせてや

る!」


大砲の穴から光が満ちてそこから強い熱と振動を発した。


「発射!」


俺の目の前には何もない。


「滅茶苦茶よ…常識から外れた力だわ。こんな規格外な力はあの伝説の闇の魔術師

ぐらいじゃなきゃありあり得ないわ」


ナナリーは頭がついてこれてない。



(アルバス、うすうす感じてたことだけど、あなた本当に…)


マチはほぼ確信した。


「タフだな」



セルはミリ単位の細胞から復活した。が巨大化にはならず、その姿は弱々しい。


「ゼェ、ゼェ…」


(ダメだ、レベルそのものが違いすぎる…。逃げ切ることすら不可能だ)


セルの闘志はすでにない。


「最後に消す前に一つ聞きたい事がある」


俺は問いかける。


「何だ」


「何故、ナナリー先生をあんな目に合わせる。殺すわけでもなく、奴隷にするわけ

でもなく」


「そりゃあ、あんないい女壊すには勿体ないだろ…」


(成程ね)


もう用はない。用がないならさっさと消す。これが闇のルールだ。


俺は、再度エネルギー法を発射した。


セルは今度こそこの世から完全に消えた。


(こんなにもあっけなく…)



マチは確信する。


(アルバスはゴトリー・モールの生まれ変わった今なのよ。輪廻転生の実例は…あ

る)


身体が幼体化し爆炎に纏われるその姿はまるで闇の使い魔。




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