第85話 みんなでスキルをちょー作成!

「おはよう」


「ああ、おはよう」


「おおお」


家を出て、泉に行き顔を洗いながらサンリアに挨拶をすると違うところから返事が返って来た。振り向けばラーガが居た。


「どうした?」


「いや、返事が返って来るのは新鮮だなって」


「ああ、そういうことか。今後は増えるかもしれないんだから、慣れておけよ」


「おう」

ザワッ。


「ああ、サンリア。おはよう」

ザワッ。


「もう少ししたらリック達も起きてくるはずだ」


「そうか。今日は何をするんだ?」


「今日はこのパーティの今後の目標と、それに合わせた予定を決めることだ。

後はクートのことだな」


「俺のこと?」


「ああ。クートのスキルを4人で考えたらもっと強く出来そうだからな」


「確かに…なら頼もうかな。俺もそろそろ増やそうかと思ってたことだし。

でもその前に朝飯だな」


「そうだな。でも何の食料があるんだ?パンなんかはあるのか?」


「いや、朝飯は果物か野菜くらいだな。昼と夜はそこに肉が追加される感じだ」


「…だいぶ、レパートリーが少ないな。この海には魚なんかは居ないのか?」


「居ないなぁ。『生物せいぶつ生成』とかのスキルを作れたら生み出せそうだけど。…流石に生き物を生み出すのは危ないか?」


「別に良いんじゃないか?もうサンリアを生み出した後だしな」


「……それもそうか。でもそれには『ぶ』と『つ』が足りてないけどな」


「……『生物せいぶつ』じゃなくて『もの』にしたら『も』だけで済むんじゃないか?それに魚を産み出すなら『さかな生成』で『な』があれば作れるじゃないか」


「…確かに、そっちの方が良さそうだな…」


「クートは少し頭が硬いな。頭が良いせいか?」


「…褒めてるのか貶してるのか…」


「貶しながら褒めてるんだよ」


「ハハハ。なんだよ、それ」


2人で談笑していると、リック達が起きてきた。


リ「何の話してたんだ?」


ラ「それは…、その前に顔を洗ってこい」


「あと服ごと泉に浸かれば綺麗になるぞ」


リ「そうなのか!なら行ってくる!」


「ラーガはどうだ?」


ラ「俺は…せっかくだ。行ってくる」


「おう」


ル「僕も行ってくるねー」


「ああ」


みんなが水浴び兼洗濯に行った。今の内に今のステータスを確認しておこう。


「ステータスオープン」



──────────────────────

粟瀬九雲人あわせくうとold 17 

Human  Level 24

job『学生』 『医官』 『戦鬼』『農家』『船員』

『医者』『記者』『使者』『薬師』『役者』『司祭』

『探求尋問官』

HP 70/70  MP 1000/200

STM 33  STR 39 SPE 66 PRO 22  MSTR 27 MPRO 24 LAC 24

STP 0


SKILL

『せいかい』AP 『あ』AP 『う』AP 『き』AP 『く』AP 『さ』AP 『し』AP 『ち』AP 

『ぬ』AP 『の』AP 『や』AP 『ん』AP 

『ん』AP 『ゃ』AP 『ゅ』AP 『ょ』AP

『偽装』AP 『記録』P 『正解』AP 『胃』P 『聖歌』PA 『成果』P 『生成』P 

火生成かせいせい』A 『木生成』A 『布生成』A 

『解析』A 『旋回』P 『再生』PA 『脳』P 『開運』P 『夜』A 『制裁』P 『寄生』AP 『狂化』PA 『超成長』P 『感知』PA 

『誓約術』A 『覚醒』A 『インク生成』A 

『聴覚』P 『吸生』PA 『調整』P 『吸火』PA 『吸木』A 『手当』P 『手』P 『強襲』P 

『収獲』P 『回収』A 『収集』P 『海震』A 『秀才』P 『進化』A


USKILL

『瞬間記憶』AP 『組換くみかえ』A

『青海』A 『星海』A 『聖界』A 『星界』A  『世界』AP 『異界』AP 『快晴』 A『海星』A『回生』PA 『聖火』A 『偽解ぎかい』A 『胃界』A 『帰還』A 『野生』P 『換金』A 『観戦』P 『生還』P 『火星』A 『聖夜』A

『戦艦』P 『千観』PA 『野戦』P 『夜戦』P

『サン』PA 『野菜生成』A 『洗脳』A 

『壊脳』A 『監禁』A 『解禁』A 『禁域』AP 『戦域』A 『雲海』A 『山海』A 『合成あせい』A 

『超過』PA 『超強化』A『超化』PA 

『超聖棒術』PA 『救済』P『怪奇術』A 


──────────────────────



ここから何を作れるかを、頭を悩ませながら考えていると…。


リ「どうしたんだ、って。何回見ても凄いスキルの量だな」


「ああリックか。もう洗い終わったのか。新しいスキルを作るとしたらどんなスキルが良いかを考えてるのさ」


リ「俺はあんまり役に立てなさそうだな!」


「胸を張って言うことじゃないだろ…」


リ「そういうのはラーガに任せてるからな!」


ラ「お前達も少しは考えろ」


「お、ラーガも洗い終わったか」


ラ「ああ。だけどびしょ濡れだな」


「ああ、俺の家の裏に火の魔石と風の魔石を置いてるからそこに服干してきたらどうだ?」


ラ「……俺たちに全裸で過ごせと?」


「あ、……なら我慢してくれ」


リ「おう!」


ラ「俺も流石に全裸で話し合いは恥ずかしいからな。ルンドが来たら話し合いを始めよう」


ル「来たよ?」


ラ「……始めよう」


リ「つっても話し合いって何すんだ?」


ラ「話す内容の1つ目は今後の目標。2つ目はそれに合わせた予定。あと3つ目にクートの強化だ」


ル「2つ目まではわかるけど、3つ目のクートの強化って?」


ラ「言葉そのままの意味だ。クートのスキルを増やして更に万能になるようにするって事だ」


ル「そういうことか。ならそれは最後にして、今は目標と予定かな」


ラ「ああ。目標はどうする?とは言っても、既にほぼ決まってるようなものだけどな」


「?そうなのか?」


リ「クートは知らないよな!俺たちの目標は下位金、ロワーゴールドランクに上がる事だ!」


ル「僕たち全員がレベル50を超えたからね。そろそろ活動地域を王都から移す感じかな」


ラ「ああ。例えば迷宮都市とかな」


リ「迷宮都市!ダンジョン行ってみたいな〜」


「?行ったこと無いのか?」


ラ「ああ。迷宮によって難易度が違ったりするから、冒険者のランクによって入れるダンジョンと入れないダンジョンがあるんだ。

そして王都と迷宮都市では、ランクアップをする時の難易度が全然違うらしいんだ。

ホントかどうかは知らないが、念には念を入れる方が良いだろう」


「そうだな」


リ「てことで目標は迷宮都市、予定としてランクアップか!」


ラ「…まぁ、そうだな。そろそろランクアップ出来るだろう。というか、元々はあの日にでも受けようと思ってたんだけどな!」


「あの日?」


ル「クートと会った日、というか、リックがクートに絡んだ日だね」


「え、そうだったのか…」


ラ「クートが気に病む必要は無い。悪いのはリックだからな」


リ「わ、悪かったって…」


ラ「まあ、そのお陰でレベル50まで上げる時間を手に入れたからもう良いが」


リ「そ、そうか。そうだよな!」


ラ「別に許した訳じゃないぞ!」


リ「す、すまん…」


ラ「フン、それよりも、クートのステータスを見せてくれ。最初は簡単な迷宮に行くだろうが、後々ロワーゴールド相当のダンジョン、Dランクダンジョンに挑むだろうからな」


「Dランク?」


「ダンジョンはG〜Sの8段階に分けられていて、今のシルバーの俺たちが行けるのはEランクまで。アイアンや冒険者ギルドに登録していない人だとGランクまで。


ロワーゴールドに上がればDランクまでになる。ヒヒイロカネだとSランクに挑めるようになるな。まあ、Sランクダンジョンは基本、国に1つくらいしかないからな」


「え?国に1つはあるのか?」


ラ「?ああ、知らないのか。基本的に国はダンジョンの近くに作るものだからな」


リ「そうなのか…」


ラ「お前はクートと同じ異世界人じゃないのに知らなすぎだ!」


「なんで近くに国を作るんだ?」


ラ「それは、ダンジョンが金のなる木だからだ。もちろん中を定期的に間引きしなけりゃ大氾濫スタンピードが起こるが、それさえ怠らなけりゃ、無限に尽きることのない永久資源だからな」


「でも資源って言ってもそんなに良いものが出てくるのか?」


ル「もちろんだよ!」


「うぉっ」


ル「確か迷宮都市にあるFランクダンジョンには食材しか出ないダンジョンがあるんだって!

そこから出た食材は色々なところへ輸出されてるはずなんだ!ああ、早く行きたいなぁ…」


ラ「興奮し過ぎだ。もちろん食材しか出ないダンジョンだってあるが、それよりも有名なものがあるだろ」


ル「そうだっけ?」


ラ「お前は食い意地が張りすぎだ。

ダンジョンにある宝箱には魔剣や魔道具に魔法具、魔術書なんかが入っていたり、ダンジョンのは基本全て死体が残るんだが、偶に死体が丸く縮小していくことがある。

クート、何になるか分かるか?」


「……スキルオーブか?」


ラ「そうだ。ダンジョンにどんな力があるのかは知らないが、ダンジョンの外では基本起こらない出来事だ」


「そうなのか……ん?基本?」


「一応、ダンジョンの外でもオーブ化が起こる事もあるそうだが、ダンジョンと違うのは、そこらのゴブリンやオークがなることは滅多に無いってことだ。


オーブ化があるとしたらプラチナ以上、Bランクダンジョンに出てくるレベルのくらいだ。

そのレベル帯のであれば素材の方が良く売れるらしいから、赤字になることもあるそうだが、総じて強いスキルが多いらしい。


そしてダンジョンとの違いだが、ダンジョンでは雑魚のゴブリンでもオーブ化が起こるってことだ。まあ、俺たちにはまだまだ遠い話だ」


「Bランクか……」


リ「止めとけよ?Bランクって言えば、ゴブリンキングやワイバーンなんかの化け物だからな」


「そ、そうか…」


ラ「ちなみにダンジョンには一層ごとにボスが居る。そいつを倒せば次の階層に移れるって仕組みだ」


「ボスモンスター……なあ、魔物とモンスターって何が違うんだる」


ラ「ああ。

基本的にダンジョンの中の魔物がモンスターって呼ばれて、外のモンスターを魔物って言うんだ。魔物は繁殖するために犯し、喰らいながら生きているが、ダンジョンのモンスターは繁殖する必要も無く、ただダンジョンを守るために生み出されている。ただ襲い、殺すために生きる。

死を恐れずに向かって来る化け物。

それが魔物とモンスターの違いだな」


「そういうことか…」


ラ「だから冒険者ギルドの依頼でもたまに、魔物じゃなく、モンスターって書かれた依頼が出ることがある。

その近辺には近付くな。死ぬことを恐れずに襲ってくる化け物が居るってことだからな」


「分かった」


ラ「さて、何か聞きたいことはあるか?」


「んー……。あ、魔道具ってどんなのがあるんだ?作れたりするのか!?」


ラ「魔道具のことはあまり知らん。

魔石を使った便利な道具ってことくらいしか知らん。それは錬金術士の領分だ。

でも基本は魔石と魔法陣で作るって聞いたことがあるな。合っているかは知らないが…」


「いや、それが聞けただけで大丈夫だ」


魔道具を作るには魔石と魔法陣か。あれ、そういえば…。


「魔法具ってなんだ?」


「魔法具も魔道具と同じだ。ただ性能が魔道具とは段違いで作り方も分からないモノの事を言う。


魔道具は魔石を使う便利な道具だが、魔法具は魔力を使い、魔法を再現するような魔道具だ。魔剣なんかも魔法具に位置付けられるんだったか」


「へー」


ラ「だいぶ話が長くなったが、ダンジョンに行けばスキルオーブが手に入る。

それも結構な確率で。

だけどスキルオーブを出すモンスターは強いヤツが多い。というかほとんどがボスモンスターだ。だから今のうちにスキルを獲得させて、クートを更に強化する。そのためにスキルを作るぞ」


「おう!」


ラ「リックとルンドもだ!」


リ「おう!」


ル「分かったよ…」



こうして、俺のステータスを眺めながら新しいスキルを4人で考える。結果、作る事になったのは…。

『聖騎士』『集約』『最新』『火術』『聖術』『木術』『震脚』『瞬脚』となった。



『スキル『組換』が発動しました。スキル『聖騎士』になりました。スキル『瞬間記憶』が発動します。スキル『聖騎士』が記憶されました。なおスキル『せいかい』『き』『し』はそのまま残ります。』


『スキル『組換』が発動しました。スキル『集約』になりました。スキル『瞬間記憶』が発動します。スキル『集約』が記憶されました。なおスキル『し』『ゅ』『う』『や』『く』はそのまま残ります。』


『スキル『組換』が発動しました。スキル『最新』になりました。スキル『瞬間記憶』が発動します。スキル『最新』が記憶されました。なおスキル『さ』『せいかい』『し』『ん』はそのまま残ります。』


『スキル『組換』が発動しました。スキル『火術』になりました。スキル『瞬間記憶』が発動します。スキル『火術』が記憶されました。なおスキル『聖火』『怪奇術』はそのまま残ります。』


『スキル『組換』が発動しました。スキル『聖術』になりました。スキル『瞬間記憶』が発動します。スキル『聖術』が記憶されました。なおスキル『聖火』『怪奇術』はそのまま残ります。』


『スキル『組換』が発動しました。スキル『木術』になりました。スキル『瞬間記憶』が発動します。スキル『木術』が記憶されました。なおスキル『木生成』『怪奇術』はそのまま残ります。』


『スキル『組換』が発動しました。スキル『震脚』になりました。スキル『瞬間記憶』が発動します。スキル『震脚』が記憶されました。なおスキル『し』『ん』『き』『ゃ』『く』はそのまま残ります。』


『スキル『組換』が発動しました。スキル『瞬脚』になりました。スキル『瞬間記憶』が発動します。スキル『瞬脚』が記憶されました。なおスキル『し』『ゅ』『ん』『震脚』はそのまま残ります。』


ちなみに俺が『集約』と『最新』。

ラーガが『火術』と『聖術』。

ルンドが『震脚』と『瞬脚』。

リックが『聖騎士』と『木術』だ。


jobが『聖騎士』1つ。ユニークスキルが『集約』と『最新』の2つ。

他はノーマルスキルだ。


『聖騎士』…戦闘に関する行動と礼儀作法、聖術に補正。武術系スキルと礼儀に関するスキル獲得に補正。


火術かじゅつ』A…MPを使用し、火に関する術を使える。

レベル1火種。対象に火種を落とす。

消費MP1。

レベル5マッチ。指先から小さな火を出す。

消費MP5秒で1消費。

レベル10バーナー。指先からマッチよりも火力の高い火を出す。

消費MP秒間1。


『聖術』A…MPを使用し、聖なる術を使える。

レベル5ストロング。対象のSTRを5分間5上げる。

消費MP5。

レベル10プロテクト。対象のPROを5分間5上げる。

消費MP5。

レベル15スピード。対象のSPEを5分間5上げる。

消費MP5

レベル20スタミナ。対象のSTMを5分間5上げる。

消費MP5。


『木術』A…MPを使用し、木に関する術を使える。

レベル5微成長。地面の栄養とMPを使い、木の成長を微妙に早める。

秒間消費MP5。

レベル10微操作。木の枝を少し操作出来る。

秒間消費MP5。

レベル20実付け。木の栄養とMPを使い強制的に木の実を付けさせる。

消費MP20。


『震脚』A…震脚を放つ。蹴った相手の内側を震わせる事が出来る。


『瞬脚』A…目視出来ない程の速度の蹴りを放つことが出来る。


『集約』A…寄せ集め、1つにまとめることが出来る。

STA5獲得。


『最新』P…新しいモノを作る際の成功率や変異率が超上昇する。

LAC5獲得。


「各々で結構な数作ったな。こんなに便利そうなスキルもまだ作ってないとは思わなかったな」


リ「『聖騎士』を作ってないことに俺は驚いたぜ!」


ル「僕は足が遅いから、足が早くなるようなスキルを作りたかったんだけど、作れなかったよ。ごめんね」


「別に謝る必要は無いぞ。使えるスキルには変わりないんだから」


ラ「『火術』や『聖術』、『木術』は頻繁ひんぱんに使っておけよ。

全く、ここまで常識を知らないとは…」


『火生成』があるのに『火術』を作った理由は、スキルを作っている途中で話した内容によるものだ。



「『ま』があればなぁ…」


「どうしたんだクート?」


「ラーガか。スキル『ま』があれば魔術系スキルを作れるようになるだろ?俺も使ってみたいからな」


「…そうか、知らないのか」


「?何がだ?」


「魔術系スキルは〜術、〜魔術、〜魔法のように進化するんだぞ?」


「…知らなかった…」


「常識が無さすぎるな…。

よし、異界から出た次の日でもクートは城の図書館にでも行ってこい。というか行け。必ず」


「お、おう」



という会話が繰り広げられていたからだ。


ル「あ、ご飯の時間だ」


リ「お、もうそんな時間なのか!」


ラ「もう晩飯の時間か。考えるのに時間を使いすぎたな」


「確かに、少しお腹が空いてきたか。よく時間を正確な時間を測れるな。異界はずっと朝なのに…」


リ「ルンドの腹時計は超正確だからな!」


ラ「良し、晩飯にしよう。クート、用意を頼めるか?」


「おう。というか、昨日のセットをそのまま使い回すだけだけどな」


ル「味付けが塩だけっていうのは勿体無いよね。もっと調味料があれば良いのにねぇ」


「そうだな…」


調味料か…塩があるなら胡椒こしょうも欲しいよなぁ……胡椒って植物じゃね?

『木生成』で胡椒の木を…胡椒って木からなるものだっけ?

いや、『木生成』ならMPを注げば作ってくれそうだな。焼肉のセットと聖火を用意してから聖樹島ヘ移動して。


「『木生成』、胡椒のなる木を!」


わざわざ聖樹島に移動したのは、単純に居住島が胡椒だらけの島にしたくなかった事と、聖樹島が居住島よりも大きいからだ。


MPは…50程度しか使ってないな。

コスパはいい方だな。


いや、俺のMPが多いから少なく感じるだけか?まあ、今はそれは置いておいて。

それよりも『世界』でこの木を成長……『木術』の微成長で成長させるか。

ラーガが使っておけって言ってたからな。


ル「クート。もう焼肉始めちゃってるけど良かった?」


「ああ良いぞ。今調味料を手に入れられるか試してるんだ」


ル「へー、調味料を……調味料を!?」


「うおっ、どうした?」


リ「ルンドうるさいぞ!肉は食べないのか!」


ル「食べるよ!ただクートが調味料を手に入れようとしてるらしいんだ」


ラ「新しい調味料か?どうやって?」


「スキル『木生成』で胡椒のなる木を育てようとしてるんだ」


ラ「胡椒のなる木?ペッパーツリーか?」


「ペッパーツリー?」


ラ「名前そのままだ。

胡椒の詰まった実のなる木だ。海の近い土地で育つようだから結構高級なんだよ。これからはクートの異界でただで手に入るのはうれしいな」


「そ、そんなのがあるなら教えてくれよ…」


ラ「仕方ないだろ?忘れてたんだから。お、芽が出てきたな。ちゃんと『木術』を使っているか?」


「ちゃんと使ってるよ!」


リ「なら『解析』してみようぜ!」


「確かにそうだな。『解析』」


ホワイトペッパーツリーの芽…ホワイトペッパーが詰まった実を付ける木の芽。ホワイトペッパーには体調改善の効果がある。


「ホワイトペッパーツリーだって」


ラ「聞いたこと無いな。でも新種とは書いてないんだよな?」


「ああ」


ラ「なら何処かに自生してるってことか。いずれにせよ外では使えないけどな」


ル「えー」


「そうだな。ペッパー自体が高級らしいし。普通のペッパーはいくらくらいなんだ?」


ラ「もちろん街によって値段は変わるが、ここ王都では小瓶1つで銀貨1枚だったか」


(小瓶1つで一万円!?それは…)「高いな」


ラ「ああ。だがこの国はペッパーツリーが群生しているからまだ安い方だ。これが隣国や他国になると小瓶1つが金貨5枚になったりするぞ。な?高級だろ?」


「ああ」


ラ「さて…そろそろ腹がだいぶ減ってきたんだが、育つにはまだ時間がかかりそうだな」


「そうだな。ホントに『微』成長だ」


ル「……もう『世界』で成長させちゃわない?」


「それだとスキルの熟練度が…」


ル「それならサンリアに掛けて上げれば熟練度も上がるんじゃないの?それより早く食べようよ~」


「サンリアに…そうだな!それでも熟練度は上がりそうだし、いざとなれば適当に木を生成すればいいんだしな。よし、『世界』で一気に成長させるか」


『世界』を使うと、ぐんぐんと成長する。そして実が付くまで成長させて、成長を止める。


「これがペッパーツリーの実か…」


リ「『解析』してみたらどうだ?」


「そうだな。『解析』」


ホワイトペッパーの実…ホワイトペッパーが詰まった実。完全に密閉されているので、実を開けない限りは腐敗の防止になる。

聖なる力を受けた結果、通常のペッパーツリーの実とは違い、少し変質しており、体調を整える効果がある。副次効果として味や匂いも向上している。


「うん、ちゃんとホワイトペッパーの実だね。

それに味も良くなってるみたいだよ」


リ「良し!それ使ってオーク肉食べようぜ!」


ル「そうだよ!元々高級品のペッパーの、更に味が良くなったものなんて、絶対お肉に合うに決まってる!」


ラ「そうだな。クートも食べようぜ」


「ああ、分かった」


そしてみんなで塩と胡椒で味付けした肉を食べた後は、それぞれの部屋に戻り眠りにつく。

次起きたら異界から出て、城に帰って図書館に行かないとな。明日が待ち遠しい…。

異界に朝夕は無いけどな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る