第84話 まだまだ足りないちょー常識?
「フゥ…」
リ「食ったなぁ…」
ラ「流石にもう入らん」
ル「僕ももう食べられないや…ハイオークだけじゃなくて普通のオーク肉もこんなに食べれるなんて、夢みたいだよ…」
ラ「お前は食べ過ぎだ。大食らいめ」
ルンドはハイオーク肉が無くなったあと、普通のオーク肉も沢山食べていた。
ル「ねぇ、その残したハイオークのお肉はどうするの?」
リ「まだ食べる気なのかルンド!?」
ラ「流石にこれ以上は無いだろう。
俺も気になるしな。これだけは残しておけ。って言うのは何故なのか、聞いても良いか?」
「ああ、もちろん良いぞ。着いてきてくれ」
俺はリック達をサンリアの下に連れて行く。
リ「これは……?」
ラ「魔物…なのか?」
「これがこの異界のもう一体の住人、いや
ザワッ。
「「「おおお」」」
「ちなみに魔物じゃなくて幻獣らしい」
「「「おお?」」」
「種族名はテンプサーフトレントだ」
「「「トレント!?」」」
「え?そこまで驚くようなことか?」
リ「あ、当たり前だろ!
その種族名は聞いたことが無いけど、
トレントって言えば適正ランクがロワーゴールド以上、それに複数人前提みたいなバケモンだぞ!?」
「そんなこと言われてもな…。俺のスキルで生み出した、子供みたいなものだからな…」
リ「スキルで!?」
ラ「……『木生成』か…」
「そうだな」
ラ「…そのスキルではトレントまで生み出せるのか…ちなみに、どれくらいのMPを使って生み出した?」
「ちょっと、待ってくれ。少し思い出すから…確か、10だったか?」
ラ「10!?そんなに少なくて済むのか!」
「ああ、その時はサンリアもテンプサーフトレントになる、進化前の時だな。サンクチュリアトレントって名前の」
ラ「そうか、確かにスキルに『進化』があったか。制限はあるよな?」
「一生物体に対して1回までだ」
ラ「生物体…なら生物以外にも使えるのか」
「え、そうか?……確かに、文章的にそうなるな」
リ「気付いてなかったのかよ!」
「仕方ないだろ!進化って言えば生物に対してだと思うだろ!」
リ「まあ、俺もそう思う」
ル「ならハイオークの肉にも使えたのかな?」
「「「……」」」
「それは、なんかズルしてるみたいだから、基本必要な物以外に使うことは止めておこう」
ル「でも食べ物には使ってもいい事にしない?
ズルって言うならクートのスキル自体がズルみたいなものなんだから」
「そ、それもそうか?食べ物だけなら…」
ラ「いや、食べ物でも異界内で食べる食べ物のみだ。外で食べてて、他の誰かに違和感を持たれると危険だからな」
「分かった」
ル「そ、そんなぁ…」
ラ「クートも、外で使う物にはそのスキルを使うなよ。異界内のものでも、外で使う可能性のある物には、外で見せる用と中で使う用とに別けておけ」
「わ、分かった」
ラ「お前たちは危機感に欠けている。リックを含めてな」
リ「お、おい!俺は何もしてないだろ!?」
ラ「お前に関しては初対面のクートに喧嘩を売っていただろう。
相手の力量も知らずに誰彼構わず喧嘩を売る。
お前の悪い癖だぞ」
リ「ぐっ」
「ま、まあそのお陰で今があるんだし、落ち着いて。ね?」
ラ「まあ、いい。それより、今日は泊まっても良いか?腹いっぱい食べたから、だいぶ眠くなってきた。いつもなら森の中なんかでこんなことにはならないんだが、異界の中でならいいだろ」
「別にいいぞ。どうせ時間が進まないんだし」
リ「そうだ!俺たちの分のベッド作ってくれよ!俺たちも手伝うからよ!」
ル「そうだね、これから僕たちもこの異界に出入りすることを考えたらあっても良いかもね」
「そうか。よし、なら木と布を出すから組み立てとか加工をみんなに頼んでも良いか?」
「「「分かった」」」
「ゴレイチも手伝って貰ってもいいか?」
「はい、分かりました」
「よし!やろうか!」
俺は木と布を生成し、5人でベッドを作る。
3人分のベッドを作るのは骨が折れたが、一応は完成した。
ラ「作ったはいいが、何処に置くんだ?クートの家に置くにはスペースが足りないだろう?」
「新しい家を作るさ。それぞれ別に作った方が良いか?」
ラ「いや、一緒で良いぞ。いつも同じ宿の雑魚寝部屋だからな」
「分かった。なら適当に箱を作るから、上手く設置してくれ」
リ「おう!」
『世界』で石の箱を作り、その中にベッドを持って行く。
ラ「灯りが無いな…」
「窓を付けたらいいか?」
ラ「ああ頼む」
窓を付ける。言葉にすると難しく感じそうだが、石の箱にに穴を開けるだけの簡単なことだ。
ちなみに箱は団地や、マンションの3部屋分の大きさだ。
それぞれに一応のプライベート空間を作り、一人の時間を作れるようにしておいた。それぞれの部屋にベッドを設置し、スキル『夜』を発動して眠りにつこうとする。
するとラーガが話しかけて来た。
「なぁクート」
「どうしたラーガ?」
「俺たちをこんなところで寝かせるつもりか?」
「?流石にこれ以上の待遇は厳しいぞ?というかそれなら俺ももっと良い生活してるはずだし」
「そうじゃない。こんなに明るい中でどうやって寝るんだ」
「明るい?今は夜になってるはずだぞ?」
「…ハァ、やっぱりか…」
「やっぱり?」
「スキル『夜』で夜になるのは発動者だけだ。その他の生き物には効果が無い」
「え、そうなのか!?」
「当たり前だろ?じゃなきゃ何時でも何処でも夜に出来ちまうなんて、世界の
「そ、そうだったのか。!?ならゴレイチは?」
「ゴレイチにはなんかのカーテンを上げたんだろ?その時に喜んでたはずだ。
あと俺たちの部屋にもそのカーテンをくれ」
「わ、分かった」
「……検証が足りてないな」
「ぐ」
「これからは俺たちも手伝うから、何時でも声を掛けてくれよ」
「…ありがとう」
「いいさ。だからほら、早くカーテンを」
「分かった」
『夜』にこんな欠点があったとは、思いもしなかった。たぶんゴレイチは俺に気を遣って言い出せなかったんだろうな。もっと気を付けないと。
でも今日は寝よう。
そういうことは明日からだ。
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