第83話 パーティ皆でちょーパーティー!


「クート!素材島に沢山オークの死体があったけどあれも食べるのかな!?」


「ルンドか。もちろん食べるけど、今日食べる訳じゃないぞ!非常食みたいなもんだ!勝手に食べるなよ!」


「わ、分かったよ…」


「ならいい。もうすぐ準備が完了するからリック達を呼んで来てくれるか?」


「分かった。でも今はリザード達の解体しているけど、もう呼んじゃう?」


「え、解体してくれてたのか……でも呼んで貰おうかな。それに少しは残しておいてほしいな。

俺も解体方法を学びたいから」


「それも大丈夫だと思うよ。ゴレイチ君に教えてるから、後で教えて貰えばいいと思うよ」


「そうか。ならもう少し待ってから食べようか。それとルンド」


「何?」


「普通にクートって呼び捨てでもいいぞ」


「そうかな?」


「てか戦闘中は普通に呼び捨てだった気がするしな」


「そうか…。なら普通にクートって呼ぶね」


「おう」


「おーい!何の話をしてるんだ?」


リックとラーガ、そしてゴレイチが戻って来た。そろそろ焼肉の準備が終わることと、ゴレイチに解体方法を教えてくれてありがとうと感謝のむねを伝える。


リ「別にいいぞ!それにラーガがいい案を持ってたからな!」


「いい案?」


ラ「ああ。ゴレイチから聞いたが、この異界の中と外の時間は違うらしいな?」


「ああ、おそらくだが中に居る間は外の時間は止まっているのと同じくらいの時差だと思う。

逆に俺が異界の外に出ている間は異界の時間が止まっていると思う」


ラ「そして、あの黒いもやを出している間は外の時間と同じになるんだな?」


「ああ、検証済みだ」


ラ「なら、ゴレイチに解体を覚えて貰って、戦闘を終わったら死体を異界に入れて、その間は小さなゲートを開いたままにする。

中でゴレイチには解体してもらい、俺たちは次の獲物を探しに行く。

どうだ?効率的だろ?」


「……確かに。でもゴレイチはいいのか?疲れそうというか、死体が来ないと暇というか…」


「大丈夫ですよクートさん。

クートさんの為になるなら大丈夫です」


「そうか……よし!ならよろしく頼むぞリック、ラーガ!」


リ「おう」

ラ「もちろんだ」


これで更に狩りの効率が上がった。

次の狩りが楽しみだ……。


「ちょっとクート!」


「ど、どうした?」


「どうしたもこうしたも無いよ!僕の焼肉は!?ハイオークのお肉は!?」


「そ、そうだな。よし、食べようか」


「やったー!」


火力を抑えた聖火の上に、土台で支えられた石網を設置する。


「ハイオークの肉だが、そこのナイフで肉塊から自分で食べる分を自分で切り出してくれ」


「「「分かった」」」

「分かりました」


「よし、なら食べよう」


そして、静かな異界で、小さな焼肉パーティーが始まった。ハイオークの肉は、元の地球の高級豚肉でも勝てないんじゃないかと思うほどの味だった。味付けが塩しかないのが残念だ。

まあ、野生味があって嫌いじゃないが。


「なあクート」


「リックか。どうした?」


「クートのスキルの『組換』を使ったら、『スキル生成』ってスキルを作れるのか?」


「ああ、多分無理だな」


「そうなのか……試したことがあるのか?スキル『る』は無かったと思うけど」


「いや、試したことはない」


「ならなんで?」


「スキル『正解』で分かるのさ。『スキル生成』は作ることが許されていない、ってな」


「許す?誰の許しが必要なんだ?」


「さあ?」


「さあ、って。『正解』で分かるんじゃないのか?」


「それが分からないんだよ。それとこれ以上考えるのも止めたほうが良いって『正解』は言ってるな」


「そっか。なら俺も考えるのをやめようかな」


「俺もその方が良いと思うな。それよりも今は食べる事に集中しないと。ルンドに全部食べられてしまうぞ」


「確かにそうだな。おいルンド!それは俺が育ててた肉なのに!」


「安心してよ。1番良いタイミングで食べておいたから」


「な!?くそ!少し焦げてもちゃんと食べるから勝手に食べるなよ!っておいラーガ!俺が準備してた肉を勝手に焼くな!それは俺が食べるからな!」


「こんなに良い肉があるのにほっといて喋っているお前が悪い。今焼いた肉も俺が食べるから、存分に話しておいてくれ」


「お、俺も食べる!食べるから少しは残してくれ!クート、この話は忘れてすぐに肉を食べに行くぞ!」


「ああ、そうだな」



実は『スキル生成』や『スキル製造』、『スキル創造』等の常識を破壊出来そうなスキルは考えたことがあった。だから『正解』に聞いてみた。


「『スキル生成』ってスキルはあるのか?」

(……)


「あれ?ああ、話し方が悪かったか。『スキル生成』ってスキルはある」

(正解)


「お、あるんだな。なら、誰かが持っている?」(………ぃ……)


なんか雑音みたいだな。もう少し聞いてみるか?


「なら…」

(不解答)


「…え?知らない?どういうことだ…。今までこんなこと無かったのに……本当に『正解』は知らないのか?」

(不正解)


「ん?どういうことだ?脳が混乱しそうだな。なら一体どういうことなんだ?『正解』は知ってるけど不正解……。

あぁ、そういうことか。ことが正解なんだな」

(正解)


「分かりづらいスキルだな。でも知らない方が良い存在ってなんなんだろうな……?」

(不解答)


「…なんか、喋っているみたいだな。

たぶん、というか絶対違うだろうけど。

考えない方が良いことが正解。つまり考えちゃダメな存在ってことだな。

尚更気になるが、止めておこう。あぁ、最後に、俺が作っても大丈夫?」

(不正解、許可無き者は最低でも植物人間に)


「……それは、ダメだな………」

と、こんなことがあった。


だから俺は『スキル生成』を作らないし考えもしない。それが正解だから。









ちなみにサンリアは定位置でゴブリンを貪ってます。

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