第80話 今後の予定とちょー試行!

さて、翌朝。

厳密には翌朝ではなくてただその時間に起きたってだけだが、塩の様子を見ておこう。


まずは釜の方だが、少し焼き過ぎたかな?黒く焦げている部分があるが、蓋に白いものが付いている。

指に付けて舐めてみると。


「しょっぱ!だけど、ちゃんと塩だ。黒い方は…少し苦いが、こっちも塩として食べれるな。これも無駄にせずに使えそうだ。

ゴレイチはどういう反応をするかな?ゴレイチは生でも焼きでもどっちでも美味しそうに食べるからなぁ…」


ゴブリンとしての生存本能からだろうか?1日餌にありつけない日もあっただろうし、悪食には耐性でもあるのかな?

いや、スキルは無かったから…種族としての耐性に違いがありそうだな。


人間だと生食しただけで腹を壊す事も、いや、ストレスで体調不良になることもあるからな。

あれ?

ゴブリンはストレスでの体調不良になるのか?

困る事があっても、ストレス発散方法に不自由し無いし、考える頭が無いからストレスをあまり感じなさそうだ。


てことは、今のゴレイチならストレスで胃痛になることもあり得るのか。あんまり困らさないようにしよう。


さて、天干の方だが、結構水が減っている感じだ。天干塩の作り方は正直曖昧だったから不安に思っていたけど、意外と大丈夫そうだ。


さてさて、塩は大丈夫そうだし、スキルの作成・検証も終わった。次は冒険に出る、異界から出る日を考えないとな。

この異界が居心地が良いせいで、喜んで出たいと思うのが難しい。結局、外には出るんだけども。


はぁ、外に出た時にやることのリストを作っておこう。

1つ、リック達と『誓約』を結び正式にパーティとなる。

2つ、新しいスキルの獲得の為にスキル屋に行く。

3つ、溜まったゴレイチの成果を冒険者ギルドに持っていく。

4つ、迷宮についての情報収集。

5つ、調味料についての情報!

これが1番大事に感じてしまうが、まあいい。


これに優先順位を付けるとしたら、1の『誓約』は確定。2のスキル屋も大事だな。

4の迷宮については、俺は城での勉強・訓練を免除されている。


されているせいで、普通の市民が知っていそうな知識が足りていない。やろうと思えば『正解』で知ることも可能なんだろうが、どのような疑問を持てば良いのかが少し難しい。

聞けば分かるし、別に良いんだけど。

5は正直後でもいい。


そして3の成果だが、一気に持っていってもいいものなのか…?金にはなるはずだが、一旦何がどれだけあるか数えるか。


ゴブリン31

ホブゴブリン8

オーク17

ゴブリン・ソードマン1

ハイオーク2

リザード2

マッドフロッグ5

エアリアル9


ゴブリン・ソードマン以下は俺は知らないから無視するとして、残りを計算すると…。

ゴブリンが銀貨3枚、ホブゴブリンが銀貨8枚、オークは肉は売らないから、睾丸の値段で銀板17枚、耳で銀貨17枚。


全部で銀貨28枚と銀板17枚か。

金貨2枚に匹敵しそうなくらい狩ってるのか。

これにハイオークとゴブリン・ソードマンを加えたら確実に超えそうだ。


でもどんなふうに言い訳するか。

全部俺が1人で殺った事になると、確実に疑われる。まだまだ新米冒険者の俺がこんなに1人で狩れるかと言われそうだ。


まだアイアンの俺が目立つのもホントは嫌だが、スキルには替えられない。面倒なことは行った時に考えるか。


異界の外は夜のはずだから、あっちに行った時にすぐに寝れるよう、眠くなるまで何かをしよう。とは言っても異界で出来る時間潰しって何があるか…。


出来る事は、『布生成』で布の量産ぐらいか?『木生成』でアップリンの木を増やすか?

今でも聖樹島に結構な数が生えている。


アップレープも普通にあるし、居住島の泉周りに生やしているアップリンの木は全てホーリーアップリンになっているが、聖樹島の泉周りはまだ空きスペースがある。何を生やすか……。


そういえば、まだ、試していないことがあったな。隣で眺めていたゴレイチに声を掛ける。


「ゴレイチ、少し離れておいてくれ」


「はい」


「よし、どうなるか分からないからな。

ふぅ……、『木生成』俺の全てのMPを消費して、木を生成!なるべく害の無いもので!」


少しチキンが出たが、まぁ、保険だ。地面の見た目に変化は無い。だが、『世界』で成長させれば分かるはずだ。


「『世界』で成長」


地面が割れ、どんどんと大きくなって…!!



……うん、なってないね。

まだ小さな苗程度の大きさにしかなっていない。今も『世界』で成長させ続けているが、本当にゆっくりと成長している。こんなに時間がかかる木があるのか。

『解析』してみよう。


繁永樹はんえいじゅ…この木の生える周囲の土地の動植物は、この木がなくなるまで必ず繁栄する。畑を作れば常に豊作。生物はより屈強に。この木に寿命は存在しない。


この木は環境に合わせて変異する。

変異したからといって、この木の効果は変わらない。変わるのは実の効果のみである。この木に生える条件は無く、何時、何処に生えるも、完全な運である。


この木の実は『聖実せいじつ』と言い、高い治癒効果がある。実が実るのは、完全に成長してから、1月毎に実る。実る数は、その土地の栄養による。


うん、いいね。MP1000で初めてこんなのが生えるのに、ホーリーアップリンは簡単に作れて凄いな。厳密にはアップリンを育ててるだけなんだけど。この木の生える周囲の土地が繁栄…。


ならMPを回復させて、それぞれの島に一本生やしておくか。

それぞれの島で全て実の効果が変わり、

居住島での実の力は呪いや毒を解く『解実かいじつ』。

素材島では強い毒性を持った『濃毒実のうどくじつ』。

塩島は強い塩気を持つ『塩実えんみ』。

となった。


これ、色んなところで育てて検証してみたいな。土地ごとに変化する実の効果か…。でも増やしすぎるのは止めたほうが良いな。試したいけど試せる所が少なそうだ。


そろそろ眠くなってきたな。というか、MPが0になるときの倦怠感けんたいかんを4度も受ければ身体が眠りにつこうとするのか?


まあ、いいか。

ゴレイチには腹が減ったらオーク肉やホーリーアップリン等を食べても良いと伝えておき、異界のゲートを開いて城に戻りベッドで寝る。


城のベッドよりも異界の自作ベッドの方が寝心地が良いなんて……。

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