そろそろ手伸ばすダンジョン攻略!

第75話 知らぬ間にちょー遠征!

「さて」


長い長い事情聴取が終わり、自分の部屋まで帰って来たけど、異界にこもるかな。


「クート様はいらっしゃいますか?」


「はい!」


「ああ、良かった。いらっしゃったのですね」


「はい。ご要件は?」


「国王陛下からの褒美の件です」


「褒美……ってことはスキルオーブ!?こんなに早く?何故?」


「忘れないうちに渡しておく。とのことです」


「ああ…。ありがとうございます」


「いえ、それでは」


…まさかこんなに早くスキルオーブが届くのは予想外だったな。有り難いものだ。それじゃあ異界に……の前に、森にゲートを開いておいて夕食に向かう。


ゲートを開いておいたらゴレイチが勝手に気付いて素材なんかを持って帰るだろうし。異界に入るのは夕食を食べて、皆が寝静まった夜にしよう。


俺は一足先に、夕食が用意される場に行き、他を待つ。数分経ったら他の召喚者達が集まってきた。その中にはやはり生徒会メンバーは居ない。近くの年配の教師に聞いてみると。


「他の生徒会メンバー?ああ、君は書記の粟瀬君か。生徒会のメンバーはそれぞれが決まったグループを受け持つように配置されてるみたいだよ。というか、知らなかったの?」


「あー、自分は基本的に訓練に参加せずにぶらぶらしてますからね。あんまり他の生徒との交流が無いんですよ」


「へー、ってそれは大丈夫なのかい?勝手にサボったりするのは良くないけど…」


「大丈夫ですよ。しっかり許可は貰っているので」


「そ、そうか。なら良かったよ。僕らの管理不届きで生徒が罰せられるのは本意じゃないからね。なんて、そんなことを言っても説得力は無いけどね」


「…先生も大変なんてすね」


「ああ、心配させちゃったかな?でも大丈夫だよ。僕ら教師はこの国では食いっぱぐれることは無さそうだから」


「え?なんでですか?」


「job『教師』っていうのはこの国、いやこの世界でも有益で、条件も分かってるけど難しい職業らしいんだ」


「条件って?」


「10年間人を教えること。ってさ」


それは………。


「そんなに難しいですか?いや、長いことは分かるんですけど」


「分かりにくかったね。10年間分の秒間教えることが条件なんだ。少しわかりやすく言えば3億2000万秒になるかな。

それでもわかりにくいか。


10年間でも日夜問わず教え続けるなんてのは難しいよね。1時間、3600秒のうちに実際に教えてる時間は3600秒だろうか。

答えはノーだね。


なら1日のうち何時間教えているのか。睡眠や食事、トイレの時間は教える時間に入らないよね。だから10年間分の秒間であり、教師職であることではないんだ。長くなっちゃったけど、実質10年じゃなくて16、7年とも取れるかな。


それだけの時間教えるにはこの世界は危険過ぎて教える時間を取れなかったり、教える相手が居なかったりでダメなようなんだ。

もちろん、召喚された全ての教師がjobを取れた訳では無いよ。新任なんかは取れてないからね」


「へー」


なんか長い話を聞いてしまった。お陰で何を聞いていたかを忘れてしまった。って生徒会の話だけどちゃんと聞けてたか。


「長話に付き合わせて悪かったね。さぁ、粟瀬君も席に着いてご飯を食べなさい。明日から大変なんだから」


「?ええ、はい」


大変?明日から何かあるのか?後で燐之助にでも聞いてみるか。



食後。


「燐之助!」


「ん?あ、九雲人か!久々に会ったか?」


「いや、そこまで長い間話してなかった訳じゃないと思うけど?」


「そうだったか。最近は訓練が忙しくて時間感覚が変になってたみたいだ」


「そうなのか。お疲れ様。そういえば明日ってなんかあるのか?」


「?なんで知らないんだ?ああ、もしかしてあれも免除なのか!?」


「だからあれって?」


「遠征だよ!ダンジョン遠征!」


「ああ、ってもうそんな時なのか!全然知らなかった…」


「まあ、訓練に参加してなかったなら仕方ないか。元々はもう少し先の話だったみたいだけど、何故か予定が繰り上げになったんだ」


予定が繰り上げって……今日の裁判のせいか!ダンジョン…楽しそうだが、それはゲームの場合の話だよな。


「燐之助…気を付けろよ?」


「当たり前だろ。毎日やる訓練のお陰でこの世界が夢か何かじゃなくて現実だってことは理解してるから。まぁ、それでも分かってない奴らも居るっぽいけど…」


「そうか。お前が理解してるならいいさ」


「おう!心配してくれてありがとな!と、そうだそうだ。天聖からの伝言で、ありがとう。次の情報も期待してるってさ」


「…次、次って何を聞きたいのか分からねぇよ…」


「また前回みたいにメモ渡せばいいんじゃねぇの?」


「それもそうか?」


「そうだよそうだよ。そういえばこれ、返却だってよ」


「何を…ああ、前に渡したメモ帳か。ありがとう」


「別にいいぜ~。俺はただの使いっぱしりだからな!」


そう言うと燐之助は自分の部屋に帰っていった。俺も戻るとしよう。部屋に戻ったら新しいスキルの獲得だな。『し』のお陰で一気に広がったからな。


あー楽しみだ!

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