第76話 色々実験。ちょー理解!

よし!自分の部屋に戻って来たから、蝋燭を消して異界に入る!

入るとちょっとした山のように、沢山積まれたホブゴブリンやオーク、他にも数種類、知らない魔物の死体が混ざっているようだ。今ゴレイチはその死体を解体しているようだ。


「ゴレイチ!」


「!クートさん!帰って来たんですね!」


「あれ?なんかまた流暢りゅうちょうに喋れるようになった?」


「そうなんですか?自分ではあんまり分かりませんが、そうなら嬉しいです」


「確実に流暢になってるな。今はそれよりもこの魔物たちの死体だな。もう森へのゲートは消して大丈夫か?」


「はい」


森へのゲートを消して完全に俺たちだけの世界になった異界でゴレイチから話を聞きながら解体を進める。


どうやらゴレイチはオークをある程度の数確保すると、オークの居る領域よりも少し奥まで入ったようだ。新しく手に入った魔物の死体は、

火を吹く大トカゲのリザード。

泥に身を潜めるカエルのマッドフロッグ。

風に乗り、空に浮かぶ綿毛のエアリアル。

の3体だ。


それぞれが意外と小さく、それなりに纏まった数が居たようで出来るだけ狩ったようだが、ゴレイチの腕では、技量的な意味ではなく量的な意味で、全ての死体を持ち帰ることが出来なかったようで、結果死体の半分以上を遺棄してこの数らしい。


それでも魔石だけは全て回収したようで、今回の収穫は。ゴブリン14体、ホブゴブリン3体、オーク8体、ゴブリン・ソードマン1体、ハイオーク2体、リザード2体、マッドフロッグ5体、エアリアル9体となった。


ゴブリンとオークの上位種も居たのには驚いた。そして魔石を解析して更に驚いた。


リザードの魔石(微小)…リザードの火属性魔石。魔力を含み、供給することが可能。小さな魔石ではあるが、内包魔力を使用後に崩れることはせず、もう一度魔力を貯めることが可能。貯めた魔力は火属性に強制的に変換される。

10/25


マッドフロッグの魔石(屑)…マッドフロッグの水属性魔石。魔力を含み、供給することが可能。とても小さな屑魔石なため、使用後は崩れて無くなる。

5/6


エアリアルの魔石(屑)…エアリアルの風属性魔石。魔力を含み、供給することが可能。とても小さな屑魔石なため、使用後は崩れて無くなる。3/6


聖属性意外の属性付き魔石は初めて見た。そしてそれを手に取ってみると新しい発見があった。

リザードの魔石は温かく、マッドフロッグの魔石は水が垂れており、エアリアルの魔石の周りは風が循環している。


無属性は言わずもがな、聖属性の魔石は周りの空気が少し浄化されてるような感じだ。今の1番大きな魔石が聖属性で魔力量が642だが、正直に言うと聖属性である必要性が無い。


空気が浄化されてることが本当なのか分からないのはスキル『聖界』で浄化しているせいで、基本的に異界で浄化されてない場所が少ないせいだ。


それならば今回手に入れた属性付き魔石を成長させる方が良いだろう。ということでまずはそれぞれの魔石を『合成あせい』を使い合成する。


リザードの魔石2つで、19/49の火属性魔石。

マッドフロッグ5つで、16/27の水属性魔石。

エアリアルの魔石8つで、20/41の風属性魔石。

 

エアリアルの魔石を1つ残したのは検証のためだ。


前に聖属性の魔石と無属性の魔石を合成した時に、無属性の魔石がそのまま聖属性の魔石に合成されて、聖属性のみの魔石になったことから、

魔力量の大きい方の属性魔石が小さい方の属性魔石を染めてしまうのかと思っていたが、もしかしたら無属性が他の属性に染まりやすいのでは?


と思ったわけで、すぐに実験をしてみることにする。


エアリアルの魔石3/5と、ホブゴブリンの魔石13/27を『合成』!


すると…。


風属性の魔石(微小)…風属性魔石。魔力を含み、供給することが可能。小さな魔石ではあるが、内包魔力を使用後に崩れることはせず、もう一度魔力を貯めることが可能。

16/32。


よし!

予想通りだ。

無属性は他の属性に染まりやすいってことが分かったな。

他の魔石もそれぞれで合成しておいて、

ゴブリン68。

ホブゴブリン50。

オーク160。

ハイオーク202。

ゴブリン・ソードマン110。

風属性73となった。


ゴブリン・ソードマンの魔石はこんな感じだ。


ホブゴブリンの魔石(小)…ゴブリン・ソードマンの無属性魔石。魔力を含み、供給することが可能。小さな魔石ではあるが、内包魔力を使用後に崩れることはせず、もう一度魔力を貯めることが可能。17/110。


ハイオークも似たようなものだった。

これを見て分かったことが、

おそらく屑魔石が魔力1〜10、

微小魔石は10〜100、

小魔石は100〜500ってこと。

そして中魔石からは分からない。分かるのは500以上ってことだけだな。


さて、魔石の合成だが、

火属性魔石にはハイオークの魔石を、

水属性魔石にはオークとゴブリン・ソードマンの魔石を、

風属性に残りの魔石を合成して、


火属性が251。

水属性が297。

風属性が191となった。


火属性の魔石は熱を放出し、

水属性の魔石は流れる水の量が増え、

風属性の魔石の周りの風が強く吹いている。

聖属性の魔石よりも分かりやすい変化だ。


魔石の魔力は聖火でMPを回復しながら満タンにしておいた。いつか水属性の魔石で水筒を作ったり、風属性の魔石でクーラーを作ってみたいな。

魔道具とかまだ見たことないんだよな。


またリック達に聞くことが増えたな。というか商会の事を聞かないといけないし。ああ、誓約もしないといけないのか。やることが多いな。今は忘れて次にやりたい事に移るとしよう。


あ…。


「ゴレイチ!素材島で休んでていいぞ!お疲れ!」


「はい!休ませて貰います!ベッドありがとうございます!」


ゴレイチはホーリーアップリンや、アップレープを持ち島に帰って行った。さて、次にやるのはお待ちかねのスキル作成だ!


「クートさん!後ででいいので自分のステータスポイントを振り分けて欲しいです!」


「分かった!」


完全に忘れていた。

ステータスの確認もしないといけないな。

『寄生』でどれだけ成長したかも楽しみだ!

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