第30話 スキル屋で、ちょー散財!
そして翌日、ついにスキル屋に行く日がやってきた!
城での朝食をパッパと食べ終え、『異界』から書類を取り出し、門番のところへ。今回の門番はあのからかいがいのある若い門番じゃなくて、気の良さそうなおっさん門番だ。
「はい門番のおっさん。これ書類。見るなら早めに頼むよ」
「おお、えらく急いでるな。なんか用事でもあるのか?」
「いや、嬉しいことがあるから、つい急いじゃってるだけだよ」
「はい、確かに王女様の許可証だね。通っていいよ」
「ありがとうございます!」
だいぶすんなり通れた。でも結構朝早くに出てきてしまったな。先に冒険者ギルドで依頼を見ておくか。
そして着いたギルド。扉を開き中に入る。真っ直ぐにクエストボードに向かう。置いてある依頼は……
『薬草採取 5本一束 5束で銅板1枚 常設』
『ゴブリン討伐 3体 銅板3枚
討伐証明右耳 常設』
『ホブゴブリン討伐 1体 銀貨1枚
カッパー2人以上 討伐証明右耳 常設』
『商会馬車護衛 銀板4枚 拘束時間一ヶ月
迷宮都市レスフォーまで・往復 シルバー以上』
色々な依頼があるな…。薬草採取のクエストには絵が付いている。分かりやすくていいな。商会馬車護衛が気になる。迷宮都市も気になる。だが拘束時間が長いな。
一ヶ月も拘束されたら王女様に逃げられたと指名手配でもされる可能性があるからな。
もっと自由に過ごしたいが、それはこの国で誰も口を挟むことが出来ないくらいの存在になってからだな。
そしてこんな依頼もある。
『冒険の森奥地調査 1パーティ金貨1枚
拘束期間1週間以上 ロワーゴールド2人以上』
『荷運び 報酬出来高
拘束期間1日 ランク問わず』
『錬金助手 1日銀板5枚 指示に従う者
注意として従わない者には報酬を支払わない』
色々な依頼があるんだな……と、ボーッしていると、後ろから声が掛かる。
「お、クート早いな」
「ん?リックか。他のみんなは?」
「ああ、他のは後で来るってさ。先にスキル屋に案内したらどうだ?って」
「そうか!ならすぐに行こう!案内してくれ!」
「わ、わかったわかった。すぐに行くから落ち着けよ」
あぁ、これが落ち着いていられるか。俺の可能性を更に伸ばせるんだ。今1番欲しいスキルは『鑑定』の為の『ん』、と『て』だ。『か』と『い』は『せいかい』に入っているからな。
あるといいんだが…。
「ここがスキル屋だぜ」
「おお、ここが……」
白く大きな、キレイな店がそこにあった。
店の前には帯剣した男が2人立っていた。
少しビビったがそのまま入った。
色々なところにケースが置いてある。
中には何も無かった。
あれ?え?何も無い?
「クート、中をよく見ろよ」
「え?うん」
中を確認すると紙が置いてあった。
『スキル『脚力』 金貨2枚』
「その中の紙を受付に持って行って、金と紙を出せばスキルオーブやスキルの宝玉、魔導書とかを出してくれるんだよ」
「おおおおお!」
「お客様、どのようなスキルをお求めでしょうか?」
男の店員が話しかけてきた。
「あ、ハズレスキルってどこにあるかわかりますか?」
「はい、こちらにございますよ」
店員さんに連れていかれると10数個の紙が置かれてあった。
「これは……多い方なんですか?」
「ええ、はい。いつもなら10種類でも多い方なのですが、今日は17種類もあるのですから。お客様の予算と、どのハズレをお求めかお聞きしても?」
(銀貨1枚は残して置いて)「予算は金貨1枚、欲しいスキルは1に『て』、次点に『ん』ですかね」
「『て』と『ん』ですか…『ん』ならば可能です。銀貨5枚になります。ただ『て』は人気のスキルですので、当商会にはございません。あったとしても金貨3枚以上ですのでお客様の予算ですと…」
「そうですか。では『ん』を……『ん』は幾つありますか?」
「え、ええと……在庫は4つとなりますが…複数買われるので?」
「はい。『ん』を2つお願いします。あと『き』や『ひ』はありますか?『よ』や『う』も確認して欲しいです」
「わ、わかりました。少し確認します。(『ん』を2つ?それにそんなにたくさんのハズレを買ってどうするんだ?ハズレスキルは複数を繫げることは出来ないのに。ま、これも仕事か)」
店員はカタログポイものを確認している。
「なあ、クート…」
「どうしたリック?」
「そんなスキル買って大丈夫なのか?『ん』を2つなんてよ…」
「大丈夫に決まってるだろ?ちゃんと考えて買っているし、俺の
「そ、そうだな。そうだよな!これ以上考えないことにする!」
「おう、そうしてくれ」
「お客様。『き』と『よ』、そして『う』はありましたが、『ひ』はございませんでした」
「ありがとうございます。それぞれの値段は?」
「はい。『き』が銀板6枚、『よ』は金板1枚、『う』は銀板5枚です。いかがいたしますか?」
『よ』と『う』で『
「どうして『よ』はそんなに高いんですか?」
「『よ』は『預』、預金の預となり、MPを使用することで使えるアイテムボックスになるからですね」
そういうことか。俺の予算的に買えるのは『き』か、『う』のどちらか片方のみ……。まぁ、値段聞いた時点で決めていたけど。
「では『き』を加えてください。残りの銀板3枚で買える他のスキルを教えてください」
「わかりました。確認してきますね」
店員が教えてくれたスキルの一覧↓
銀貨5枚『ぬ』『を』『の』
銀板1枚『お』『せ』『わ』
銀板2枚『つ』『や』
この中から銀板3枚になるように…………。
「お買い上げありがとうございました!またお越しください!」
今回の
懐は寒いが、心ポカポカだ。
「なぁ、リック。スキルオーブを使うのってどうやるんだ?」
「手に持って使うと念じるだけだぞ。それにしても凄い買いっぷりだったな。俺には真似出来そうにないや…」
「いや、真似したらダメな買い方だったろ。使い方教えてくれてありがとう」
オーブを『異界』にしまってリックと話す。
「クートの買い物に付き合ってたらもう昼じゃねーか!もうあいつら待ってるかもしれない!すぐ行くぞ!」
「おう!」
流石に買うのに迷い過ぎたか…ま、過ぎたことを気にしていても意味は無いだろう。それにしても今日は帰ったらどんなスキルを作ろうか…フフフと、考えながらリックに着いて行った。
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